見出し画像

「これも、デートだろ?」

下山の時にそう言って
わたしの肩を引き寄せた。

ちょっと強引な、でも優しい彼の行為が
とても清々しくも思えた。

木陰から脱出した戦士みたいな気持ちで
身体も心も開放感に満ち溢れながら
歩く道。

早朝とは違う空の晴々とした天気の中、、

「楽しかったか!?」

そう言ってわたしは前回と同じく笑顔で
「うん!」って返す。

また登れるかな?って質問に

「二度あることは三度あるんだぞ^ ^」って
笑顔で返してきた。


帰りの車の道中、
いつものようにわたしの膝に手を添えて運転する。

その手を見た瞬間、わたしの手はいつのまにか
彼の手を両手で握っていた。

彼はその様子に驚き照れくさそうに

「いつもなら、周りを気にして手を繋がないし他の車から見えちゃうとか言いながら隠すくせにな^ ^」と話す。

わたしの頭の中の優先順位は
そんなことではなく


ただただ彼に
いつも以上に「安心と信頼」を確信し
握り返す行為となったのだろうと思っている。


とりあえずのリアクションでもなく
いやらしい考えでもなく

自然と手を重ねたい衝動に
駆られただけ。

それぞれに守るものはあり
限られた時間で惜しいけど、


日を増すごとに大切にしてくれると実感できる感情と出会わせてくれる。


┈┈┈┈┈┈┈ ꕤꕤꕤ ┈┈┈┈┈┈┈┈

早朝、山登り身支度をして家を後にする。

時間通りに駅に迎えにきてくれ
サラッと飲み物を一緒に買い


山のふもとへ。

彼と山に登るのは二度目。

私に合わせてゆるやかなコースでスタート。

今回は途中からの分かれ道で
「どっち挑戦する?」となげかけられ、


半分登ったところで急坂コースへ変更。


数日前から雨上がりの地面は
少しだけ湿っていて


たまにお互いに滑りそうになりながらも
進む。


木漏れ日と癒しの鳥の囀りは
相変わらず。

前進しながらもたわいもない話や
家族の話など


普段積極的に話さないことを伝えられるのは
この癒しの環境のせいかもしれない。


わたしの一歩先を行く彼の後ろ姿は
いつもの様に逞しくカッコいい。

手を握りたくなる衝動を抑えながら
(山登りだからあんまりふざけられない笑)

「大丈夫か?休憩するか?」
といつもの場所まで行き着いたら声をかけてくれ

落ち葉があるベンチで休憩。

たくさんの会話をしなくても
お互いに居心地が良く


過ぎていく登山者と挨拶を交わしながら

目的地までリスタート。


「これも、デートだろ?」


そう彼が言った。


あの時私上手く返せなかったけど


そうだよ、わたしの唯一無にの
素敵な時間、

間違いなくデートだね♡


MIMIKO

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?