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「言わぬが仏…」じゃん

ワタシのダンナは変わり者である。変わり者と言われると喜ぶ。嘘じゃない。
ダンナ曰く「変わってるね〜」は俺にとって最大の褒め言葉だ!とまで言う。それ自体もう変わってる。
ある休日の車の中での事。どんな内容の会話だったか忘れたが相変わらず変わってんなぁーと思ったので思わず「奇を衒うよね〜笑」とワタシは笑いながらダンナに言った。いつもは人の話にそんなに興味を示さないダンナがそんなワタシの言葉に突然食いついてきた。
「え?なんて?きをてらうってどーゆー意味?」と聞いてきたので「ん〜なんかさ、ほら、変わってる?的な?人と違う事する?的な?」ワタシはちゃんとした意味も調べずにうろ覚えの説明をした。すると案の定嬉しそうに、「それってオレのことじゃん!」とますます奇を衒う事を言ったりやったりし始めてはこっちをチラチラ見てくる。「オレってさ奇を衒うよね〜!」と何度も何度も「奇を衒うオレ!」を狭いジムニー の中でアピールしてきた。おそらく「奇を衒う」という言葉がカッコよくきこえて気に入ったのだろう。運転中渋滞してたり、のろのろ運転の車があるとすぐに文句を言うのにこの日は「奇を衒うオレ」に夢中で渋滞も気にならないようだった。それはそれで横にいるワタシにとっては嫌な気持ちにならずに済むのでありがたいことだったのだけど、その分、奇を衒う「気」が充満してきて息苦しかったので窓を全開にしたのを覚えている。
ウザいくらいテンションが高くなっていくダンナの横で何の気なしに「奇を衒う」という言葉を口走ってしまった自分の事を悔いていた。なのでダンナの奇を衒う話はほとんど聞いてなかった。そんな事とはつゆ知らずダンナは自分が発する奇を衒った発言や動きでさらに上機嫌になり、まるでジャックと豆の木のジャックのように上へ上へとどんどんどんどん登って行った。その豆の木を根っこから切ろうか迷ったが、まだ登り切ってなかったので危ないから切らずにいた。
さて
その日は買いたいものがあったので街へ出掛けて色んなお店を見て回っていた。歩いてる間も隙さえあれば気持ち悪い歩き方をしてみたり急にスキップしてみたり変な事を言ってみたり買い物はそっちのけで「奇を衒う」ことに全力を注ぎ込んでは、ワタシの反応を確認していた。こんな大人見たことない…
もともと人前でふざけたりする事に抵抗がないタイプなのは知っていたけどこの日のダンナは容赦なかった。見てられなかった。連れだと思われたくなかった。1人にして欲しかった。
そんなこんなでその日は思う存分奇を衒えたようでダンナが上機嫌なまま無事2人で自宅へ帰った。そう、豆の木を切るタイミングは…無かった。

そーだ!と思い
帰ってすぐワタシは「奇を衒う」の意味をちゃんと見ておこうと思い携帯を取り出し検索した。
え〜っとキ、ヲ、テ、ラ、ウ……?

【奇を衒う】
わざと普通と違う行動をして、他人の注意を引こうとすること

ん??待って待って、ただの変わり者って意味じゃないの〜⁇

わ、わ、わ、ざと?わざとって…
他人の注意を引こうと…って…
ただの承認欲求 満たされたい人のことじゃん…構ってちゃんじゃん…
カッコ悪いじゃん…


でも今日のダンナ…そのものじゃん!
じゃあ、やっぱ正解じゃん!
アイツ、「奇を衒う」プロじゃん!
プロならすごいじゃん!
いや別にすごくはないじゃん!
なんならダセ〜じゃん!😂

なんのはなしですか?じゃん!


じゃんじゃん♪
(↑おしまいって意味じゃん!)
じゃんじゃんうるさいじゃん!

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