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合う仕事って

これまで1万人を超えるキャリア相談をさせていただいているキャリアコンサルタントです。ここ10年くらいは、プロのキャリアコーチや、転職支援会社のキャリアカウンセラーさんの育成支援も多くやらせていただいております。
多くの方々のご支援をさせていただいてきてよくある相談は「私に合う仕事を探したい」というもの。

自分に「合う」とはどういうものなのか、考え方を深掘っていきたいと思います。


私は、自分軸と社会軸が折り重なる(FITする)部分を「合う」と定義をしています。
ここでいう自分軸・社会軸とは、

自分軸(自分らしさ:多くはwill×can)
   
:やりたい・ほしい・なりたい・ありたい
    出来る/出来そう・知っている・やったことがある・向いている

社会軸(環境/状況が求めてくるもの:must)
   
:生きていく上での制約条件(身体的/宗教的/金銭的/家系的など)
    職務・組織適合性
    スキルトレンド

平たくいうと、「自分らしさ」が発揮できる環境か否かです。


Will×Canなどでよく聞く自分軸(「好き」だし「得意」な領域)は比較的、1人でも考えやすいかもしれませんが、より難しく抜けがちな視点が
「Must軸」とも呼ばれる社会軸。

このMust軸も人によって、文献によって色々な定義があるのでここでは私の解釈でご理解ください。
今日は、自分に合う環境を探求するための「Must社会軸」の構成要素を分解して考えていきましょう。

①身体的/宗教的/金銭的/家系的などの制約条件について
自分軸:「やりたいし、能力的にもできる」んだけど、
社会軸:「実家の借金」「家族や自分の体調が悪くなった」で今は「やるべきではなくなった」ということも時にあるでしょう。
こういう環境下の仕事は、自分らしく働けないんです。

社会軸は、自分ではコントロールしにくい急なことも多いです。
これが「制約条件」で、MUST軸の大きな構成要素です。

よくWant(欲しい条件)が強くなったもの(どうしても欲しい・譲れない)という意味で「年収500万円、土日休み、これはMUST。絶対!」と言う人がいますが、私の定義では、それはWillの中の「Want」。
こういうWantは紹介会社や人事担当者に、なんとかいろんな条件つけられて交渉されると思います。
(480万円でどうですか?水曜休みですけど、どうでしょう?など。)

本当に譲りたくないんでしょうから、Wantも上手く交渉したいですけど
Mustは、身体的/宗教的/金銭的/家系的などの事情なので、ほぼ覆せない条件。なので交渉の範疇にないんですよね。

まず、Must軸がある方は、改めてどうして・何が必要なのかを明確にして、自分に合う環境を言語化すると良いでしょう。

②組織適合性について
自分もですが、会社もどんどん変化するので、合う会社だったのが
「なんか合わなくなった」って言う
人もいますよね。
逆も然り。入社前よりも、会社が自分の考えに寄ってきた、と表現している方もいました。

組織適合性がそれで、設立間もないベンチャーと、歴史の長い大手では、同じ仕事でも仕事の進め方や仲間が違う。
事業フェーズも然り。新規事業立ち上げ部隊と、老舗サービスチームでは同じ会社でも、求められる諸々が違うかも。
一般的にアーリーステージの組織では、人も少ない・実績もない・マニュアルもない・ないない尽くしなので、1人で幅広い視野で行動範囲も広げていかなくちゃいけないし、短期間の成果を求められがちです。
業務スピード・判断&遂行力・責任の幅などで合う/合わないが出てきそうですね。

自己分析はよく進んでいる人が多いけど、こういう合わない理由がわかるとスッキリされることが多いので、社会軸も考えてみると良いと思います。

③職務適合性について
職務適合性とは、その「仕事」に求められる要件です。
色々なやり方はありますが、「誰に・何を・どうする」仕事か、から考えると分かりやすいです。
※この求人に受かるかどうか、受かるためには何を理解したら良いか?というワークにもつながります。

■誰に
まずは「誰に」。
こちらも色々な分け方はありますが、法人向け(BtoB)か個人向け(BtoC)かで、ざっくり求められる人物像って異なる気がしませんかね。

(もちろん業種にもよるんですが)
法人向けだと(例えば企業の基幹システム開発や、商業施設の開発デベロッパーなどをイメージしていただく)大きな金額を、その領域のプロに対して、アポ取り・プレゼン・商談・稟議があって、金融機関や法律家を巻き込み、複数の人が関わってくるお仕事。
対象顧客の情報はHPで一定公開されているので事前リサーチ可能、先方へ訪問し数回の商談、よりロジカルな金額交渉中長期的な納期管理、コミュニケーションは少し固めで、スーツ着て、諸々の書類作成も求められるんですかね。

個人向けは(例えば、コンビニや飲食店、スーパーやアミューズメントパークをイメージ)比較的安価で、一般消費者の対象層は広めで、お客様は自分のお財布事情に合わせて、自分で決断することが多い。どんなお客様がどれくらい入店するか、チケット前売り・予約制じゃない限り把握しづらく、顧客情報はなかなか入手できない。(プロは、お天気や背格好からして、お財布事情までを読み解くんでしょうが、ショップ待ち受け型だと予定が立てにくい)

なので、よりスピーディに(朝の駅前コンビニとか、オフィス街の昼の飲食店とか、神業ですよね)即断決裁に対応金額が小さいため受注件数多く顧客・商品管理することが求められ、顧客がプロではないため丁寧でより分かりやすい説明対応力と、土日祝まで柔軟な対応、可愛がられるコミュニケーションが求められる、とか。

更に、個人の中でも、どの地域の、どの年代、どんな職業、子供向けか大人向けか、、、でも異なります。法人の中でも、、、。

個人向けでも、不動産や自動車などは高額商品で、訪問営業だってありますから、そうすると基本的には法人向けの考えに近くなると思うので、個別の業種・職種から考えられると良いですね。

■何を
「何を」
は、扱う商品やサービス。
無形/有形、高額/低額、大量/少量、部品/完成品、、、それぞれに特徴があって働き方や求める要件が変わってくるので考えてみてください。

■どうする
「どう」
は1日の流れ、仕事の流れ(誰とどこで何を使ってどのくらい関わるか)、お金の流れ。営業なら売り方など。

例えば私がご支援している人材紹介会社さんにも色々あります。
新卒学生専門の人材紹介事業では、登録学生さんの内定・入社までをフォローしますが、当然ですがお一人の入社先は1社なので、1回きりのご支援。翌年3月に卒業するので、常に新規対応です。
医師専門の紹介事業は、常勤も非常勤もあって、お一人のドクターが複数の病院で掛け持ちで就業されることもあります。非常勤先を変える・増やすごとにご相談にあがります。
看護師派遣事業も、お一人の看護師が複数の病院で勤務することがあったり、売り手市場のためか比較的転職回数が多い方も多く、10年もコーディネーターやっていれば何度もお一人をご支援することがあったり、給与支払いや派遣期間中のフォローもするため、長くお一人に寄り添うことが多いです。
同じ人材紹介/派遣業でも、こうして必要知識はもちろん、関わり技法・コミュニケーション力・その他技能、思考/志向も変わってくるのが分かりますかね。なので、同じキャリア支援の仕事でも、合う・合わないは出てくると思います。

スキルトレンド
スキルトレンド
は、時代がそうさせているので、個人でどうこうコントロールできにくいものです。
これからは紛れもなくデジタル社会に突入し、SDGs・多様性・創造性、新しいキーワードも出てきます。ご自身の希望のキャリアの先には、更に何が求められるか。
今はそれでよくても、この先もそのままで良いのか?とご自身に問いかけてほしいですね。
時代に逆行してチャンスを作るのも良いですが、その波を乗りこなし先取して、社会に合わせていけるに越したことがないでしょう。
今から準備しておくことはないかワクワクしながら、考えていきたいですね。


仕事選びのポイントって、本当に色々な要素が絡んでますよね。
こういうところを、お一人おひとりに合わせて対応できるようになりたいというキャリアコンサルタントさんのご支援もしていますが、意外にも自己分析・企業分析・社会分析などがゴチャゴチャされたまま結局「欲しい条件が適うか否か」で済ましてしまうこともあるようですので、ご参考になれば幸いです。

※ご自身のキャリア相談はもちろん、
キャリア支援者側のご相談、人事ご担当者様、教育担当者様のご相談もたくさん承っております。
大手企業や教育機関等に導入していただいている高額プログラムも、オリジナルにご予算に合わせて企画・ご紹介いたします。
まずは、お気軽にご相談くださいませ。
HP:インフィニティ キャリアコンサルタント

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