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学習塾を開業するも、赤字で倒産した話⑥少ない収入。なのにどんどん出ていく経費。




ひとつひとつ振り返ると、なかなか肝心なところにたどり着かないな。

とりあえず、収入や経費のことをふりかえってみよう。


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まずはお月謝。

生徒さんからいただくお月謝は8000円。

そして半分の4000円は会社に納める。

つまり、自分の収入は1人あたり4000円ということだ。

す、少ない。


いや、契約した当初は、少ないとは思っておらず。

まぁ、そんなものかな。

なんて思っていた。


だけど。

教室をオープンし、日々の業務におわれるようになり、気付いた。

あまりにも少ない。

割りに合わないにも、程がある。

と。


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そう。

業務は想像以上に大変だった。

「週2回」

「1日3~4時間」

「スキマ時間でお仕事できます」


いやいや。

それって。

生徒さんが塾に来ている時間帯だよね。

その時間内に全ての業務が終わるのか?

答えはもちろんNO。

目に見えないような、地味な作業が延々と続くのだ。

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まずは、教室が始まる前。

リビングを教室仕様に整える。

机を運んだり、ファイルやカゴを用意したり。

自宅を教室にする、ということでテナント料はかからない。

それはいいんだけど。

毎回、教室仕様にセッティングするのが大変だった。

まぁ、これくらい平気だよね。

なんて思っていたけれど、

実際やってみると、想像以上に大変だった。

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授業中が、これまた大変だった。

①生徒さんが放課後にくる。

②テキストを切り離して1枚ずつ問題をとく。

③出来たら、先生の机にあるカゴに入れる。

④先生が採点をしている間に、次のプリントをとく。

⑤先生はカゴに出されたプリントを、次から次へと採点する。

⑥採点済みのカゴに入れる。

⑦生徒さんがプリントを受け取り、間違えたところをやり直す。

⑧また提出のカゴに入れる。

以下、ループ。


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それだけではない。

「せんせーい!」

「これ分かりません!」

質問も次から次へとくる。


「答えを教えるのではなく、考え方やヒントを教える」

というのが、この学習塾の方針。

それがまた、大変だった。


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実はマルチタスクが苦手な私。

その頃は、そこまで自覚していなかったんだよね。

だけど、やってみてわかった。

しんどい。

しんどすぎる。

採点している途中でも、生徒さんから質問があれば対応。

学年も教える内容もバラバラ。

プリントの答えは手元にあるが、質問に答えられるように予習も必要だった。

生徒さんの人数は4~7人だった。

収入を増やしたければ、もっと生徒さんを募集しなければいけない。

でも、その人数ですでにキャパオーバーだった。

同時に何人も見ながら、事務手続きも同時進行で行う。

いやいや。

ムリだよ。


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全問正解したら、帰ってOKというルール。

分かるまで、何回でもやり直す。

「自分で考える力をつけさせてください」

研修で言われたとおり、キチンと真面目にマニュアル通りにやっていた。

だから、なかなか進まなかった。

今思えば、ガチガチに真面目すぎだったな。

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その他、

①毎月の教室便りの作成

②保護者面談

③チラシのポスティング

④テキストの管理&発注

⑤毎月の研修

等々。

お金も体力も時間もメンタルも、どんどん奪われていく。

お月謝の半分は会社に納めたが、それだけではなかった。

テレビ広告費や新聞広告費。

あれもなんと毎月引き落とされる。


「研修は無料です!」

なんてうたい文句があったように、確かに研修そのものは無料だった。

だけど、交通費は自己負担。

回数が重なると交通費もバカにならない。


働けどはたらけどなお、わがくらし、楽にならざり。

手元にはお金はほとんど残らなかった。


(つづく)


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