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「歯周病予防」をモデリングする

このあいだの歯科検診で歯科衛生士さんから歯みがきをめちゃくちゃ褒めてもらい、嬉しさのあまり呟いてしまいました。

自分は歯ブラシだけでなく、フロス、歯間ブラシ、洗口液も併用しており、歯のメンテナンスには気を使っている方だと思います。しかし、これだけ口腔ケアをやっていても一度も褒められたことはありませんでした。

しかし、あることを変えたら状況が変わった。それが普通の歯ブラシから電動歯ブラシを使うようになったこと。

これほど劇的な効果を生み出した電動歯ブラシの効果について構造化してみたいと思いまして、今回は歯周病予防のために健康な歯を保つ構成要素をゆるくモデリングしていきます。

日本人の3人に2人は歯周病?

モデリングの前に、まず口腔ケアの課題の大きさについて調べます。テレビCMでも「30代の3人に2人が歯周病」というキャッチコピーが使われているくらい歯の健康に悩んでいる人は多そうです。

実際の状況について解像度を上げて理解するために、キャッチコピーの根拠となっている厚労省の統計結果「平成28年歯科疾患実態調査」から歯にトラブルを抱えている人の結果をグラフにしてみました。

「平成28年歯科疾患実態調査(厚生労働省)」よりグラフを作成

この調査データでは歯周組織に所見がある人の割合が3人に2人となっています。普通に考えると「所見がある人=患者」ではない可能性がありますよね。また歯石自体はほとんどの人が付くものなので、CMは歯周病予備軍も含めて主張を展開しているのだと思います。

では患者として実際に症状が出て困るのはどんな人たちか?

これは歯周ポケットの深さが4mm以上になっている人達からではないかなと思います。そう考えてみると調査結果から30代では「3人に1人」が歯周病に悩んでいる可能性はありそうです。CMよりは人数が減るとはいえ、かなりの人が歯周病に悩んでいることは間違いなさそうです。

ということで、歯の健康維持に困っている人は多いことが確認できましたので、今回のモデリング結果は多くの人に参考になると思います。

まずはモデリングの定義から

ではモデリングを始めていきますが、お決まりの定義を定めていきます。今回のモデリングの目的は「歯周病を防ぐ効果的な歯みがきをする」ことなので効果的な歯みがきの定義をこのようにしてみました。

定義 :自分の歯に歯周病を発生させる危険を排除する歯みがき
ゴール:歯科検診で褒められるくらいの歯の健康状態を維持する

以降の記事で紹介するプロセス図のモデリング記法やツールの詳細についてはこちらの記事で説明しています。

よい歯みがきをモデリングする

まずは「よい歯みがき」をモデリングした結果です。

歯みがきのPRePモデル

まずはモデリングで図解した歯みがきプロセスの見方ですが、フローチャートと同じく左から右に流れていきます。このプロセスは歯みがきをして歯の健康を損なう虫歯菌や歯周病菌を取り除くことを表現しています。

いわゆる普通の歯みがきプロセスをモデリングしてみるとこのような図になります。

プロセスを分析する

モデリングしたプロセスを分析する手順はこの2つです。

1.矢印が集まる重要な構成要素を探す
2.重要な構成要素から左に遡っていき根本原因を把握する

まず注目する構成要素を探すことになりますが、これは一目瞭然で「歯(歯磨き後)」ですね。この結果から、歯磨き後の状態を作る構成要素が良い歯みがきには必要となります。

ルール1:矢印があつまる要素に注目する

次にプロセスを左に遡ってみると、根本原因が虫歯菌歯周病菌とわかります。これは当然のことですよね。

ルール2:矢印があつまる要素から左に辿っていく

歯みがきの仕上げ品質を一番左右しているもの

根本原因のほかに、もう1つ大事なポイントは注目する構成要素に点線の構成要素があることです。点線は属人化されてしまう構成要素のため注意が必要です。

点線は属人化する要注意ポイント

このモデリングしたプロセス図には歯みがきノウハウが含まれており、これが良い歯みがきをするために一番重要な構成要素となります。

というのも、根本原因である虫歯菌や歯周病菌は自分でコントロールできるものではないからです。これらの菌はほとんどの人の口腔内に一定数存在しており、人間が食事をする以上はゼロにすることが出来ません。

プロセス分析の結果、虫歯菌と歯周病菌は時間経過とともに自然増加してしまうため根本原因にはなってはいるものの、後工程にある歯みがきノウハウが歯みがきの良し悪しに影響を与えるため、こちらの対策を行うほうが重要です。

つまり今回のモデリング結果から歯みがきノウハウにより、人によっては歯肉の健康を損なう結果になっていることがわかります。

電動歯ブラシを使えば歯周病予防できる

今回の解決策のポイントは、属人的な歯みがきノウハウをどこまで標準化できるかにかかっています。今回は冒頭で既に解答していますが、有効な解決策は歯みがきノウハウを代替できる電動歯ブラシを使うことです。

電動歯ブラシなら手で磨くよりも正しいブラッシングができます。もちろん手動でも完璧なブラッシングは可能ですが、そのときに完璧に仕上げるためには歯みがきノウハウとして高品質な内容が要求されます。しかもその品質を毎日安定させる必要もあります。これはかなり難しいはずです。

今は手軽な値段で電動歯ブラシが買えるので、歯みがきノウハウを極めるよりも電動歯ブラシを使うほうがお手軽かつ効果的です。

このあたりの話をPodcastで議論しようとしましたが、話し手2人が電動歯ブラシを使って圧倒的な効果を既に実感してしまっている状態だったため、別の解決策を話すより「電動歯ブラシはスゴイ!」という話になってしまいました・・・

ただし今回のモデリングに対する分析観点などは議論していますので、気になる方は聴いていただけると嬉しいです。

ブラッシング指導機能の効果が絶大だった

私は以前にも電動歯ブラシを使っていたのですが、その時はPodcastで話すほどの絶大な効果はありませんでした。

今回の効果を得られるようになったのはブラッシング指導機能を使い始めてからです。私はPhilipsのHX9954という製品を使っていますが、ソニッケアーアプリによるブラッシングサポートのおかげで、磨き残しがかなり減ったのだと思います。

以前の電動歯ブラシが5年以上は前の製品だったので、買い替えて技術の進化の恩恵を受けられました。改めて技術の進化はスゴイです。ということで歯周病にお悩みの方は最新の電動歯ブラシで改善するかもしれません。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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