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周辺によって浮き上がる存在 レミ・シャイエ監督『カラミティ』
アメリカの西武開拓時代。新天地を求めて厳しい旅をする一団。その中にいた少女、マーサ・ジェーンの成長ストーリーであり、フランスおよびデンマークのアニメーション映画。実在した、初の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンと言われる女性の子供時代である。
「信念を曲げない」「男まさり」「自分らしく」…公式サイトのコメントなどに見られる、当然に生じうる感想を見るにつけ、どうにも違和感を感じてしまっていた。確か
慈悲こそ公正ーデスティン・ダニエル・クレットン監督映画『Just Mercy』
最初に主張したい。この映画の邦題はミスリーディングだと。邦題である『黒い司法 0%からの奇跡』からイメージされるのは、「司法制度の闇」である。だが少なくともこの物語において、人を救ったのは司法制度だった。黒人の問題だから「黒い」という言葉を使い、裁判のストーリーだから「司法」という言葉を持ってきたのならあまりに安直で不適切だと思う。
また、言うまでもないが、ジャズも黒人の悲しみから生まれた音楽で
フランク・キャプラ監督『群衆』
作品との出逢いはたまたまだった。ゴールデンウィーク中に、映画を1本観たいなと思い、自宅にあるDVDから未見のものを選んだ、というに過ぎなかった。「あまりよくできた作品じゃないな」と思ったままに、フィルマークスに感想を公開したことを今となっては後悔している。その後何日か、本作への違和感に悩まされることになった。そして英語版のウィキペディアを見てみて、その違和感が邦題に原因があることに気づいた次第であ
もっとみる庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
『新世紀エヴァンゲリオン』はウィキペディアによると1995年から1996年に放送されたテレビアニメ作品である。当時の影響はすさまじく、黒や赤の画面に、縦横無尽にメッセージが散りばめられた表現の衝撃はよく覚えている(蛇足だが、同時期に同じく人気を博したNHKドキュメンタリー番組『映像の世紀』のオープニングにも似た手法が使われていて、そちらも格好良くて好きだった)。テレビシリーズ終了後も、映画作品とし
もっとみるイグナシオ・フェレーラス監督『しわ』
Amazon.com・アプリ「映画ランド」でも投稿した映画レビューを、「Filmarks」でも投稿しました。
(以下、見やすさを鑑み、本文を追記します)
(2020/8/16付「アマゾンレビュー」、及び「映画ランド」に掲載のレビューと同じ内容です)
スペインといえば私の大好きなフラメンコの故郷。自分とは歴史が違う、骨格が違う、発想が違う。そんな人々の舞踊やカンテ(唄)を見聞きするたびに、彼ら
アーサー・ジョーンズ監督『フィールズ・グッド・マン』
なぜか新聞社からのレヴューに「寓話」というワードがあるが、寓話ではなく実話である。なおかつ「自分のキャラクターが無断利用されているのを放置したときに考えられる(とは言っても超悲観的な弁護士すら想定しないであろう)、最悪のシナリオが現実化したケース」と言っていい。本件映画はそのキャラクターの作者に降りかかった悲劇を追ったドキュメンタリーである。
問題となったキャラクターは"ペペ(Pepe)"という