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伊藤美喜雄:山形県立産業技術短期大学校庄内校非常勤講師、元山形県公立高等学校校長、元山…

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伊藤美喜雄:山形県立産業技術短期大学校庄内校非常勤講師、元山形県公立高等学校校長、元山形大学農学部非常勤講師。2020年秋の叙勲で「瑞宝小綬章」受章。『生きる糧の宝庫』(はるかぜ書房)『現代に生きる夏目漱石』(はるかぜ書房)『夏目漱石の実像と人脈』(花伝社)等の著書。

マガジン

  • 夏目漱石『文学論』序、『人生』、『家庭と文学』英語対訳

    夏目漱石『文学論』序、『人生、『家庭と文学』英語対訳49 回シリーズです。

  • 夏目漱石『家庭と文学』(英語対訳)

    夏目漱石『家庭と文学』(英語対訳)の15回シリーズです。

  • 『文章の名手・藤沢周平作品の魅力』(英語対訳)

    藤沢周平の作品は、文章に詩情があり、人間の心の機微が巧妙に表現されている。風景描写の美しさと心理描写の丁寧さが際立っている。『橋ものがたり』『せみ時雨』『三屋清左衛門残日録』『溟い海』『暗殺の年輪』藤沢周平『日暮れ竹河岸(たけがし)』(英語対訳)からその例を紹介しよう。

  • 夏目漱石とイギリス(マガジン)

    夏目漱石はなぜイギリスに留学し、なぜイギリスでの生活が作品などに反映しているのか?について18回シリーズで詳述する。

  • 『草枕』、著作の裏側、名作に登場するお茶・紅茶への思いなど

    夏目漱石(1867年~1916年)作品『草枕』(1906年・明治39)の創作の裏側などについて15回シリーズで、名作に登場するお茶・紅茶への思いについて12回シリーズでマガジン化。

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ライフワーク夏目漱石研究のマガジン・著書(英語版)出版めざす !

 夏目漱石研究をライフワークにしているが、英語語圏の文学愛好者に発信するため、『現代に生きる夏目漱石』Natsume Soseki Living in the Present Age --His Essays and Short Stories --[English Version,]刊行をめざしています。章ごと、作品ごとマガジンで毎週目安に発表し、添削や感想を寄せていただき、アップデイトしていきます。画期的な著書にしたいと思います。

    • 夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)9

      家庭と文学 9  これはただに親子の関係にのみかぎったわけではない。すべてのことにおいて、社会の組織は日一日と新しくなりつつある。 したがって、かかる時代において、ご維新まえの趣味傾向をそのままに表わすようなものを作れ ば、それでただちに家庭向きになるとはけっして言わぬ。けれども、そうかといって、現在の社 会状態が、まだ西洋におけるほど恋愛の自由を与えていない今日にあって、西洋におけると同じ 程度に恋愛を鼓吹するものを作り、あるいはそのような西洋文学を根こぎにして輸入する

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      • 夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)8

        家庭と文学 8  以上は今日の小説の今日の家庭に入れられないゆえんを説明したのだが、要するに、この『家庭と文学』なる問題は、恋愛を全然除却するかしないかの問題にはならないまでも、少なくとも 恋愛を表現するうえに立ち、いかに取り扱ったらばいいかの問題となる。つまり、その取り扱い 方に関して、家庭の監督者はどれだけの自由を許すか、子女たるものはどれだけの独立行動を主張するか、また文学者はどれほどまで恋愛を鼓吹するか、これが要点なのである。  自分はこの問題に対して、ここに截然

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        • 夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)7

          家庭と文学 7  ところが、わが日本の新文明というものは、全然西洋から移植された。文学ことに小説なども、その直輸入品の一つなのである。日本在来の社会状態の推移と相並行して自然の発達を遂げたものではないのだ。現在の社会組織を持続するためには、やはり忠孝のごとき観念が最もたいせつなものと考えられ、他の諸観念は依然としてこの観念に圧倒されている。かかる時勢におい て、右に述べたような西洋文学が直輸入されたのであってみれば、そこにいろいろの不調和や、 不満や、不平の起こるのは無理

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        • 夏目漱石『家庭と文学』(英語対訳)
          9本
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        • 夏目漱石『文学論』序、『人生』、『家庭と文学』英語対訳
          43本
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        • 『文章の名手・藤沢周平作品の魅力』(英語対訳)
          171本
        • 夏目漱石とイギリス(マガジン)
          0本
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        • 『草枕』、著作の裏側、名作に登場するお茶・紅茶への思いなど
          27本
        • 「日々是好日」日々のつぶやき
          39本

        記事

          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)6

          家庭と文学 6  西洋では一般に、本人に愛がなければ結婚はできぬ。しこうして、かく結婚に愛を必要とする のは、やがて結婚の自由を許しているゆえんなので、また恋愛に大なるシグニフィカンスを置いている証拠なのである。かくのごとく恋愛に大なるシグニフィカンスを置いている社会におい ては、だいたい、検束なき恋愛が実際に存在する。ただに検束を受けないのみならず、ときには 忠孝等のためにこの恋愛を捨てるのが不徳である、罪悪であるとさえ考えられている。つまり、 この恋愛なるものは社会組織

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          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)6

          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)5

          家庭と文学 5 で 恋愛などのごときも、恋愛を描いた作品がないではないが、その恋愛たるや(西鶴(さいかく)だけは別として)たいてい皆、世の中の義理なるものとの葛藤(かつとう) なので、葛藤の結果は義理の勝利によって解決せらるるものと決まっていた。もしこれがさかさまに行けば、世人の同情は去ってしまい、その興味も失われてしまう。つまり、当時の小説に、 恋愛を単に恋愛として描いたもののないのは、もっぱら身を恋愛にうちまかせることは道徳的でないという当時の考え、その考えと相伴っ

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          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)5

          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)4

          家庭と文学 4 さて、自分の見るところによれば、この恋愛の取り扱い方に関して、従来小説の一般に受けたる非難は、けっして根底のない非難ではなかった。そのような非難を受けたのは、けだし当然の ことなのである。というのは、今日わが国の小説は、爾余(じよ)の種々なる文化とともに、西洋からして輸入された、まさに直輸入品の一つに属する。したがって、この直輸入品を現在の家庭に入れようとすると、そこにいろいろふつごうなことが起こってくるからだ。  そもそも、いずれの社会にあっても、そ

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          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)4

          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)3

          家庭と文学 3 恋愛の表現をことごとく除去し去って、文学特に小説ができうるやいなや、これは実際やって みなければわからぬ。できるとも、できないともいえぬ。これが言えなければ、恋愛の表現を全 然除却し去るべきやいなやは論題外となる。で、それは論題外としたところで、徙来の状態より してこれを見れば、ちょっとした写生などのようなものは別として、文学とくに小説脚本の類に おいて、恋愛の表現を全然欠乏しているものはあまり見あたらぬ。    かの家庭の少年少女に悪影響 を受けさせ

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          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)3

          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)2

          家庭と文学 2  家庭の少年少女に対して、文学の与うる感化は、それがかれらを利するか、かれらを害する か、もしくはかれらを利しもせず、害しもしないか、この三つの中の一つである。しこうして、 ある種の作物を家庭に入れて悪いというのは、それが単に利を与えないというのみではなくて、 なお害になる点からというのであろう。  それならぱ、家庭の少年少女に対して、ある種の読み物が害となるとは、そもそもそれがいか なる点において害になるのであろうか。いかなる場合においてそれが有害無害の

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          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)1

          家庭と文学 1   さて第一に家庭と、——元来、家庭とはどういうものをいうか、わたしにはよくわからないのだが、しかし、とにかく、人間がたったひとりでいては、家庭にならぬ、家庭を作っているとは言えないらしい。家庭といえば、どうしてもふたり以上の家族が一団となり、協同の生活をしていなければならぬ。しかのみならず、一般の場合においては、家庭ということばを聞けば、同時に必ずまた少年少女を 連想する。すなわち、家庭には子女があるという、これだけのことはまず明らかであるように思 う。

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          夏目漱石「家庭と文学」(英語対訳)1

          ◎日々のつぶやき 39

          39 「一浪」と「人並」  「浪人」が死語になる?「浪人」とは高校卒業後すぐに大学に入学するのではなく、卒業後受験勉強に時間を費やし、1年以上のブランクを経て大学を受験したり入学した者を指す言葉です。「大学受験浪人」と呼ばれます。これは、学校においては「高校浪人」や「中学浪人」も稀にあるため、これと区分するために大学を付して、念押ししていると言えます。また、景気が悪い時期には、大学を卒業しても、希望の企業の門戸が狭い事から、アルバイト等で凌いで改めて次年度の定期採用試験を受

          ◎日々のつぶやき 39

          Ⅴ 日本文化の英語解説 20

          20 Toshikoshi-soba(年越しそば): *Toshikoshi-soba means ‘year-crossing buckwheat noodles'. It is customarily eaten toward the end of New Year's Eve. The custom was started by busy merchants in the Edo period with little time to eat at the end of

          Ⅴ 日本文化の英語解説 20

          Ⅴ 日本文化の英語解説 19

          19  O-seibo,Nenga-jyo(お歳暮・年賀状、クリスマス): *Most typical of Japan’s many customary gifts are the chugen and seibo gifts. The chugen (mid-year) gift often serves instead of the greeting in the hot summer months to inquire after the health and wel

          Ⅴ 日本文化の英語解説 19

          Ⅴ 日本文化の英語解説 18

          18  Onsen,Bonenkai,Washoku(温泉・忘年会・和食): *The most popular outings in Japan are trips to Onsen (hot springs). Most of the company groups spend the day at nearby leisure facilities for a relaxing soak before gathering in the banquet room to ea

          Ⅴ 日本文化の英語解説 18

          Ⅴ 日本文化の英語解説 17

          17 Sumo,Jyudo,Kendo,Bushido(相撲・柔道・剣道・武士道): *Japanese national sport, Sumo has existed since ancient times. Originally it was a Shinto rite connected with prayers for the harvest. Sumo has gradually evolved into a spectator sport. Profession

          Ⅴ 日本文化の英語解説 17

          Ⅴ 日本文化の英語解説 16

          16  Tera・Jinjya:(寺[temple]と神社[shrine]) *Temples are related to Buddhism and shrines are related to Shintoism. Overlapping religions, Japanese beliefs are probably among the most complicated in the world because of the openness to all religi

          Ⅴ 日本文化の英語解説 16