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長文には秩序が必要になる/作家の僕がやっている文章術147

長文には、秩序が大切になります。

一貫性を持たせると言いかえると、イメージしていただけるかもしれません。

<文例1>
千駄ヶ谷の「鳩の森」は、もとは蕎麦屋の間借りで、ランチにカレーを商っていたところ、評判になりカレー屋を本気でやっているうちに、これだけ週替わりのメニューを展開できるなら、いっそレストランにと推されて、いまではイタリアンバーになってしまったという、わらしべ長者のような由来を持つイタリアンレストランだ。

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私は、基本的には単文で書くことを推奨しています。

時間が変わる/場面が変わる/状況が変わる

1文のなかに、上記の要素が入り乱れると、読者には読み取りにくくなるからです。

もうひとつ、例文を読んでいただきましょう。

<文例2>
小学生のときの夏の楽しみといえば、学校のプール開放に通ったことと、線香花火を公園で両親と妹と、はしゃぎながらやったことと、そんな夜に蚊取り線香の煙をながめながら、母にうちわであおいでもらいながら、いつの間にか眠ってしまう心地よさとが思い出されるが、私の今年、小学四年生になる娘の楽しみは、スマホゲームと、学校で会えない友だちとLINEをすることと、ジャニーズの動画をYouTubeで観ることになっていて、私が子どもの頃とはずいぶん違うようだ。

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文例2は、一貫性があると著者が思い込んで書いた文章です。

一貫性に思えるもの≒小学生の夏

しかし時間軸で、文章をひもとくと、次のような構造です。

私の小学生時代≠私の小学生の子どもの現在

昼間のプール開放≠夜の線香花火と、寝入った心地よさ

スマホゲーム≠LINE≠動画を観る

時間も、場面も、状況もすべて別次元の内容を文章化しています。

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では、時間と場面と状況を切り分け、単文で書くと、どのような文章になるでしょうか。

読みやすい文章を書くコツが分かる、文例3を読んでいただきましょう。

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