【KenG: The Noble Guy.】

オレは映画が大好きだ。
特にアメリカやイギリスの英語映画。

SFやアクション映画を見るときは帰国後も映画館に良く通っている。

大好きなエイリアンシリーズの最新作、
『Prometheus』を観るため平日午後半休をとって品川の映画館へ行った時の事。
上映前にチケットを買い、近くのアンナ・ミラーズで遅めのランチ。
糖尿病になる前の事でいたって健康だったオレ。
しめにはパフェを堪能。

映画館へ戻る途中、おなかが『きゅるきゅる』言い始めた。
映画館までは少し遠い。
より近くにある商業施設のトイレに向かう数分の間に状況は急悪化。
一歩一歩が勝負となる。

ようやくトイレにたどり着くと男性が一人、個室ドアの前で待っている。
彼の後ろに並ぶこと数分。
前の男性が個室トイレに入り、更に数分が経過。
『物理の法則』など無視して一秒が一秒じゃなくなる。

そして個室トイレの向こうではガタガタと音がしていよいよオレの番!
となったと同時ぐらいに、別の男性がトイレに入ってきてオレの後ろに並んだ。
すると男性は幼い女の子を自分の前に手ほどきした。
女の子の顔を見れば誰が切羽詰まっているのかは一目瞭然。

この時オレは、『葛藤』という言葉の本当の意味を知る。

オレは「どうぞ…」と
ぎこちなく微笑み親子の横を通りトイレから出ていった。
その姿はまるで目の前の事しか入ってこない程集中した顔つきの
皇帝ペンギン。

商業施設にはボーリング場があることを思い出し、映画館に向かわず進路変更。
『大人数が利用するボーリング場。 個室トイレも複数あるはず!』
そう自分に言い聞かせ、
「トイレお借りしまーす!」
と有無を言わせぬ足取りでトイレサインの方向へ向かう。

ボーリング場スタッフも足早にトイレに向かう皇帝ペンギンに、
ご利用者様のみです、とは言えなかったのだろう。

足取りも軽く別人のような顔をしてボーリング場を去る
元皇帝ペンギン。

思い存分映画を楽しんだ午後の出来事さ。

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