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丹下さんの美術館がリニューアルしたはなし。

3月15日、世界的に偉大な建築家、丹下健三さん設計の「横浜美術館」がリニューアルオープン。2021年の3月にクローズした美術館で、3年に及ぶ大規模な改修工事があり、ようやく今年のオープンを迎えた。

3年長かったよ、待ってたよ。私は、当時の仕事の現場があったので、みなとみらいに少しの期間通っていたのだが、オープンが楽しみで楽しみでしょうがなかった。桜木町駅から現場に向かうと外観を見られないので、わざわざみなとみらい駅から通っていたほどだ。(ちょっとだけ電車賃が上がる)
あんな素敵な立地に、そしてあんな素敵なデザインの美術館があるなんて、最高でしかない。3月15日にリオープンするのを知り、意気込んで当日に行ってきた。今回は、その時のお話を。

横浜美術館へ。


横浜美術館の正面

3月15日は金曜日。オープン日といえど平日、ということでお昼頃を目掛けて向かった。みなとみらい線の「みなとみらい駅」。ここから歩いてすぐの美術館は、何人もの人が出入りし、スタッフの方が誘導しているのが見えた。つい最近までは静かで人影がなかった場所だったのが嘘のようで、本当にワクワクする光景だった。

1989年に丹下健三さんによって設計された美術館。「世界のタンゲ」と称された偉人である。人柄を辿ってみると、丹下さんは建築のことにしか興味がなく、自分の過去を振り帰る回顧展も開いたことがないような方だったそうだ。自分の過去になど、興味がないということだろう。自分のことしか考えていない私にとって、「建築」のことしか考えていないっていうのが、どんなことなのか想像を絶する。

横浜美術館のデザインも、丹下さんの他の建築に違わず、尊厳と威厳がじわじわと感じられる。なんだろうね、建築に興味ない人でも絶対振り向くでしょ、というエネルギーがある。
特にこの横浜美術館は、広場や商業施設に面していて、家族連れが楽しんでいる姿が見られることもあり、そのギャップと、美術館が子供達をまるで、見守っているかのような雰囲気がまたいい。


両翼に伸びる通路

みなとが、ひらく。

「みなとが、ひらく。」は、この美術館のメッセージとして公開されたもの。ロゴが可愛いので、ぜひ見てみてほしい。美術館を、「港」と見立て、誰にでもオープンな美術館に。というメッセージが込められている。
性別も人種も、国籍も全部超えた、「誰も」が自由に楽しめる美術館。
入ってみると、丹下さんの設計当時の思いも、「開かれた美術館」だったと気付かされる。


天井のルーバーとグランドギャラリー

ワクワクしながらゲートを潜ると、(ゲートを潜るまでに何分もかかったわけだが)広大な空間が迎えてくれる。天井のルーバーから光が差し込み、空間に届く光が本当に美しい。
このエリアは「グランドギャラリー」と呼ばれるエリアで、無料で入り、楽しむことができる。今は、横浜トリエンナーレが開催されているので、このグランドギャラリーには様々なアートが展示されている。

グランドギャラリーは、「じゆうエリア」として全ての人に開かれる予定で、椅子やテーブルが設けられ、そこに座って語ったりできるようになる。
というのも、横浜美術館はまだ、全館がオープンになっているわけではない。先述の「じゆうエリア」や、他にも、図書室のオープンが今年の秋に控えている。そして楽しみなのは、「ミュージアムショップ」や「カフェ」も今秋オープンすること。どんな内装になるのか、本当に楽しみでしかない。

建築の話に戻る。(脱線しがちなのは許してほしい。)
このグランドギャラリーの天井には、ルーバーが設置されている。このルーバーは、1989年の開館当時からあったのだが、当時は、ほとんど使われなかったそう。使わない期間が長く、そのまま故障してしまったそうだ。なんて勿体無い。それを今回の大改修で、ルーバーを復活させた。ありがとう!ルーバーを動かしてくれたことに大感謝!これを見られたことが幸せ。

天井のルーバーから光が差し込むことで、館内は光で満ちて、美しく輝いていた。オープン初日の天気は快晴。本当に素晴らしい景色を見ることができた。グランドギャラリーまではフリーなので、何回も行きたくなる。
アートはもう見たけど行きたい、という方にもおすすめ。

お気に入りになった廊下

横浜トリエンナーレ

私はその後、横浜トリエンナーレを体験したのだが、この展示は、ぜひ多くの人に見てほしい。比較的闇落ちしやすい私だが、自分の悩みなどなんでもない、何より、比較にならない、というか、今まで何を考えて生きてきたんだ、しっかり生きろ。と自分を叱咤激励したくなる展示だった。

一つ一つの作品が素晴らしい、というわけではない。(どの口が。)そもそも、視点はそこではないと思う。この作品が私たちに何を伝えようとしているのか、私たちが何を受け取るか、受け取ろうとするか。そっちが問題だと思う。なので、受け取り手の姿勢も問われる展示だった。受け取り手の中に何があって、どう取るかで正直、アートって評価が変わるよな、と実感。

そもそも、「興味ない」という言葉って恐ろしいなと。
「興味ないし。わかんないし。」と言い放った時点で、目の前の事象との接点が切れる。もちろん選択肢というものがあるわけで、興味を持つかどうかは自分で選べる。だが、例えば、「今起きていること」「見たくないもの」を初見で「興味ないし」で断ち切っていいものかと、考えさせられた。

いや、私自身今まで、「興味ない」を言い続けてこなかったか?
良くも知らないくせに、「興味ない」を言い放ってこなかったか?
この驕り高ぶった自分自身を、改めさせられる展示だった。
(とまあ、常に自分のことを考えている。反省。)

展示内容については、ぜひ HPを見てみてください!体験してほしい。横浜トリエンナーレは、横浜美術館含め、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路など、5箇所で開催されている。どの場所も面白いので、ぜひ!

そのあとはカフェへ。 


ブルーボトルコーヒー外観

BLUE BOTTEL COFFEE みなとみらいカフェ

建築とアートに圧倒されて脳みそが疲れたので、カフェインと糖分を探す旅へ。先述したように、この美術館の前には、MARK IS(マークイズ)という商業施設があったり、少し行くと、Kino Cinemaが入るTSUTAYAがあったり、カフェはありすぎるほどだ。
その中で私が選んだのは、BLUE BOTTLE COFFEE みなとみらいカフェ。

ここは「SUPPOSE DESIGN OFFICE」によるデザイン。天気がいいと、公園に面したガラス窓が開かれて、光がそそぎ、そこでコーヒーを楽しむことができる。何度も来ているが、本当に素敵なカフェ。

混んでいるように見えて、意外に席を取ることができるので、ぜひ。
席に座れなくても、外のテラスでいただくのもおすすめ。美味しいコーヒーの香りを楽しむことができる。

店内でランチも

終わりに。

今回は、横浜美術館をご紹介しました。ぜひ、リオープンしたこの機会に、足を伸ばしてみてください。

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https://www.instagram.com/p/C4pzJYiveV1/

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📍横浜美術館
■設計
丹下健三

■竣工
1989年

■住所
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1

■アクセス
みなとみらい線(東急東横線直通)「みなとみらい」駅
(3番出口)からすぐ

■時間
10時~18時(入館は閉館の30分前まで)

■休館日
木曜日、年末年始

■企画展
第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」
会期:2024年3月15日(金)-6月9日(日)
チケット:2,300円

参考資料





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