【読書記録】『人魚の森』高橋留美子

 ◆「生きている」とは何なのか。

 人魚の肉を食べ不老不死となった湧太は、まっとうな人間に戻るため、手がかりを探して旅をしているお話です。
 人魚の肉は、合えば湧太のように不老不死になりますが、合わなければ命を落としたり、化け物のような姿となって永遠にさまようことになる、という設定です。たとえそのようなリスクがあると分かっていても、さまざまな理由で人は手を出してしまいます。

 「永遠の命」をテーマに扱っている作品では、永遠の命というものも考えものだ、というメッセージを含ませていることは多いです。
 ただ、今、ひとりひとりの命をいともたやすく奪っている世界がすぐそばにあります。そんな現実を目の当たりにすると、「少しでも長く生きたい」と切実に願い、「永遠の命」に手を出してしまう登場人物達を、なんとなく以前のような視線で見られなくなったのは私だけでしょうか。

 うーん、私が持っている版が見当たらない……。


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