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除草請負氏

 私の今の居場所の家、元は遺跡みたいだったらしいです。
 

 離島の家の賃貸文化、私の常識を180度以上ひっくり返してくれます。ふるさと愛知、おそらくその他の県、物件を他人に貸すとなったら、いくらその物件のオーナーさんであっても、私物を置きっぱなしにして貸すことは、まず無いのでは?家具、家電製品全て引き上げ、押し入れも倉庫も空っぽにしてお貸しします、だと私は思ってます。
 今いる離島、オーナーさんの洋服、食器、キッチン周り用品、もう使ってないだろ〰️みたいな釣り道具、工具、家電製品、いつのお酒?調味料?その他、全部残ってる。それでいて、
「あるもの好きに使っていいさーねー。」
だそうです。
今のお仕事柄、リフォームを依頼される案件が多々あるのですが、まぁ、私物の山のすごい事。大体この、言っちゃぁ悪いけどゴミの山との格闘からスタート。ゴミの山を捨てるという形で減らせるのならまだしも、捨てられない族の多さに驚きます。
「今は拭き掃除よりも断捨離するべし。」
と喉まで出かかるけれど、施主さんに対してお説教するわけにもいかないですし。
 しかも私物ジャンルを超えてる?、仏壇が安置され、御位牌を残したまま貸す、それはアリなのか!という風習があります。お供えのお茶、お酒を替えてお線香を上げるなどの面倒見をキチンとやってくれるなら貸します、とか。だから、お盆や旧正月などは仏壇に手を合わせに帰郷するから、その数日間は貸し家を空けてね(出てってね)、みたいな条件。たまげる。そして、その条件でも借りたいほどのこの島の住宅不足。縁がなけれ住めない島だなぁと感じます。

 ひるがえって私の居場所、元遺跡。仏壇は引き上げてくれてるから良しとして、コンクリートの外壁のみ残ってて、屋根は無し、床も無し。数年前までお墓参りに帰省してたここのオーナーさんは、この外壁内にテントをはって数日過ごして、ご自宅に戻るような事をしてたらしいです。
 棟梁はその遺跡に屋根をつけ、床をはり、シンクやコンロ台、電化製品などなどを導入して住めるようにしました。
 昔ながらの正方形を四つの部屋に区切った平家トタン一軒家の周りや後ろは砂地の、、手を入れれば畑、放置すれば草が伸び放題の荒地。
 その更に後ろに50センチ程のコンクリート壁の囲いが2つ、元豚小屋があります。とは言うものの、この豚小屋の全体像が分かったのはもっと後のこと。ここが豚小屋だと知らしめたのは、我が愛ヤギ ミー子さんです。

 豚小屋と分かる以前そのエリアの景色は、黒くて細い種が服や靴にまとわりつく、日本全国どこでも爆発的な繁殖をする雑草(実はこの地域では食べてたみたい)が、私の背丈ぐらいに伸びてそれが塊となって茂ってる、そこに木が生え、つる植物が絡んでいる。もう、見ぬふりしようと決め込んでました。だってまだ残ってる家の中のゴミ山と向き合い、畑をやるのもままならない、そんな状況で、敷地内端っこの植物の塊とか、無視無視。

 そこに、ミー子投入。丸2日ぐらいで、草と木の葉、つる植物、ほぼ完食しました。そして、コンクリートの壁が現れて、
「ここは、豚小屋だったんだね〰️」
が、正しい順番。

「ミー子、あんたはホント天使だねー。この土地の浄化に一躍買ったよ。」
と、垂れてる耳を撫でてやりました。
この耳が時に天使の羽みたいに私には見えてしまう。
事実、ミー子の存在をきっかけにこの豚小屋が更なる浄化を迎えます。
このエピソードはまたの記事で。

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