見出し画像

4月に読んだ素敵な本を紹介します

先月は、引っ越し準備中に本棚の奥から発掘した本を読みました。4年前から、30年以上前の作品まで。いつもと一味違った読書体験をさせてくれた本を紹介します。

4冊読んだのですが、そのうちの『ライオンは眠れない』については、既に感想を別記事にまとめています。よかったらこちらも読んでいただけますと幸いです。

迷路の外には何がある?/スペンサー・ジョンソン

迷路を舞台に小人たちの「チーズ」をめぐる冒険が描かれた世界的ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』の続編です。

この『迷路の外には何がある?』が発売された2019年2月末、私は一度目の転職活動中でした。当時この本を読み「変化」に立ち向かう大きな勇気をもらった記憶があります。

このシリーズは、小人たちが迷路の中で食料としていたチーズが、ある日突然消えてしまうところから物語は始まります。

迷路を踏み出して新しいチーズを探しに行くか、「再び戻ってくるかも」と期待して待ち続けるのか。そんな小人たちの葛藤と冒険を通じ、ビジネスや人生において大切なことを説いてくれます。

一作目では「新しいチーズ」を求めて一歩踏み出したほうが主人公ですが、続編では「チーズが再び現れる日を待ち、その場にとどまった人」の、その後の物語が描かれています。

「変化に対する恐れ」に、どう立ち向かえばいいのか。勇気を出してたどり着く「迷路の外」にいったい何があるのか。この作品が遺作となったスペンサー・ジョンソンはもちろん、その家族の熱い想いもこもった一冊で、個人的にはやっぱりこの続編のほうが好きだなと実感しました。

妊娠カレンダー/小川洋子

30年以上前の本、味わい深い

1991年の芥川賞受賞作。小川洋子さんは、これまでよく読んできた作家の一人ですが、この本は一度も読んだことがありませんでした。

姉の妊娠から出産までを見守る、妹の日記を読み進めるような形で進行していく同書。「妹」という特別な立場だからこそ芽生える、複雑な感情がリアルに、生々しく描かれています。

小川さんの作品では、一般的には「良くない」と思われる感情も「純なもの」として描写されていると感じます。言葉にするのが難しいですが、そのさらりとした肌触りというか、神秘的な世界観が好きです。

『妊娠カレンダー』でも「妹」の冷静で静謐な雰囲気が、逆に読み手をハラハラさせます。じんわり冷や汗をかかされるような、小川さんの魅力を再確認できる一冊でした。表題作のほかに、2つの作品も収録されています。

本当に強い人、強そうで弱い人/川村則行

こちらは兄が実家に残していた本棚から発掘しました。著者は精神科医で、数々の著書を持つ川村則行さん。「本当の強さとは何か」について、たくさんの人の心と向き合ってきた川村さんならではの視点で解説されています。

「強さ」と一言で言っても、それをどう捉えるかは人それぞれです。そのせいで「強さ」を履き違え、他人を必要以上に傷つけてしまったり、本当の意味で自分や大切な人を守れなかったりする。

この本のおもしろいところは「本当に強い人」の対比が「弱い人」ではなく「強そうで弱い人」になっている点だと感じました。見かけ倒しではなく「本当の強さとは何か」を、著者と一緒に考えることができます。

特に、大阪出身の川村さんならではユーモアが、今の時代に読んでも新鮮でした。「性善説」「性悪説」とも違う「性アホ説」、初めて聞きましたが納得させられました。笑


他は段ボールに入れちゃったので2冊だけ

以上、1991年〜2019年と幅広い年代の本を楽しんだ4月でした。新しい本ばかりでなく、ときにはこうして時代を越える名著を発掘して読もうと思います。

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。いただきましたサポートは、自己研鑽やライター活動費として使用させていただきます。