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「青い熱」が人を動かす

「常識を覆す結果を出すためには、常識を覆す努力が必要だからね」高校生のとき、恩師からそんな言葉をもらった。人からもらった言葉の中で特に深く心に残っていて、頻繁に思い出してしまう。

今日、映画『BLUE GIANT』を観ているときも、その言葉が頭をよぎった。「世界一のジャズプレーヤーになる」と宣言する主人公・だいは、ジャズに魅了されたその日から毎日泥臭く練習を重ね、着実に夢に近づいていく。

「すごいヤツだけど、これ漫画の世界だから」言い訳がましく、そう言いたくもなる。でも、今朝のWBC決勝戦で選手たちの勇姿を見た後だと、現実世界にも間違いなく「努力の天才はいる」と認めざるを得ない。

うーん、でも「努力の天才」って表現はどうだろう。「常識を覆す努力ができる力」は才能というより「自分の可能性をどこまでも信じられる」「純粋に、その対象を愛し続けられる」人だけが持つ、突き抜けた熱量みたいなものだろうか。

作中では、そんな突き抜けた熱量を持つだいのことを「赤い炎よりもっと熱い“青い炎”」にたとえていた。熱すぎる「青い炎のような熱量」はやがて周囲を巻き込み、周りの人間たちの心まで熱くしていく。

これも「漫画の世界の話だから」とは全然思えない。私たちの生活の中でも、今朝のように「青い炎のような熱量」に強く心を動かされる瞬間がある。

そんな午前中の大きすぎる余韻の中で映画を観たせいか『BLUE GIANT』がどうしてもWBCと重なってしまって、そんな突き抜けた熱量の持つ影響力を確信した。

つい、こうやって今朝のことを思い出しながら映画を観ていた私だけど、最後の演奏シーンは、音楽に没入して涙が止まらなくなってしまった。

だいはジャズの魅力を「音に感情を乗せられるから」と語っていた。彼が組んでいるジャズバンドは歌がないので、演奏に言葉は一切登場しない。

だけど彼のバンドが鳴らす、言葉のない音だけの世界には確かに感情が乗っていた。それを受け止めているうちに自然と涙があふれてきて、エンドロール後は余韻で言葉を失った。言葉があれば表現できる・通じ合えるなんて、けっこうな奢りなのかもしれない。

かっこよすぎ映画パンフ選手権優勝

そして、私の一番好きな色である青のことが、今日でもっと好きになった。落ち着いた色にも見える青は、実は何よりも熱い情熱の色なのだ。

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