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6月に読んだ素敵な本を紹介します

先月はなんだか小説欲が爆発して、今まで読みたかったものを一気読みしました。ドラマの影響で読んだエッセイも含めた4冊を、先月読んだ本として紹介したいと思います!

傲慢と善良/辻村深月

「恋愛ミステリの傑作」と紹介されている、この『傲慢と善良』。さらに帯の「人生で一番刺さった小説」という言葉を見て「ミステリなのに?」と、最初はその内容がまったく想像ができませんでした。

読んでみると、テーマは「婚活」。私はあと半年ほどで30歳を迎えるのですが、数年前から「婚活」は周りの人との話題によく挙がります。この小説の登場人物たちが語る結婚観・恋愛観に触れるうちに、どんどん自分の傲慢さに気づかされる感覚がありました。

読みながら、思い当たる節があったことも認めます。そうやって傲慢さと向き合うのは怖いし、けっこうきついです。けれどそうして自分の傲慢さに気がついてから、やっと変われる部分もあるかもしれない。私自身の結婚観も、ものすごく揺さぶられた一冊でした。

ひと/小野寺史宜

両親を失い、たった独りになった二十歳の青年。彼が「ひと」とのさまざまな縁の中で、自分の人生と向き合っていく物語です。

主人公を取り巻く人々のやさしさも沁みるのですが、私はこの主人公自身の人柄がすごく好きだなと終始感じていました。何気ない語り一つ一つに「周りの人を大切にしたい」という思いが滲み出ているような。

そして、そうやって人を大切にできる彼だからこそ、人から愛され、縁をつないでいけるのだと徐々に納得することができる。少しの嫌味もなく、周りの人を大切に想うことから生まれる縁のあたたかさを教えてくれる作品でした。

正欲/朝井リョウ

『傲慢と善良』の解説で朝井リョウさんが登場したとき「あ、『正欲』も読まなきゃ」と思い立ちました。読み進めるのが怖くなる感覚は『傲慢と善良』『正欲』のどちらにも共通しているかもしれない。

「多様性」と、私を含めた誰もが簡単に口にするようになった今の時代。そこで発生する矛盾に気づいていながらも、はっきりと口にする人は誰もいなかったように思います。

その役割を、朝井さんが担ってくれた。「多様性を重んじる世の中」で、私たちが逃げることを許されないことに対して、問題提起してくれた。そして、一瞬どうしようもなく感じる世界の中で、出口を見つけようとまでしてくれる。

どこまでも難しいテーマの作品であるものの、筆者がこの問題と正面から向き合おうとしてくれたことに、ありがたさを感じました。

ナナメの夕暮れ/若林正恭

『だが、情熱はある』観ておられましたか?私は前クールのドラマの中でも一番好きな作品で、毎週楽しみに観ていました。特に若林さんへの印象が大きく変わり、直接彼の文章を読んでみたいと思ったのです。

本を手に取ったとき「東大生に聞いた人生が変わった1冊」と帯に書かれていて、すごく驚きました。でも冷静に考えれば、私自身もドラマを観て、心を動かされた一人。そう考えると、この本にもそれだけの強い影響力があるというのも、納得できます。

「たりない」自分を自覚しながら、気になることをぐるぐる考え続ける過程はけっこう辛いです。でも若林さんは、考えること、向き合うことをやめないで、なんとか結論に辿り着こうとします。

「細かいこと気にしがちな自分、嫌だな」とすぐ思ってしまう私からすれば、若林さんの「内省」に対する根気強さにはすごく勇気をもらえます。その意味では、私にとっても「人生が変わった1冊」と言っても過言ではないかもしれません。


以上、6月に読んだ4冊の本でした。もはや紹介するまでもないくらい、知名度も評価も高いものばかりでしたね。4冊とも、折にふれて読み返したいな。

余談ですが『ナナメの夕暮れ』の解説も朝井リョウさんだったので、先月は意図せず朝井さんの思考にたくさん触れた一ヶ月になりました。笑

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