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たまにはタイムカプセルみたいに

引っ越しの荷づくりをしていたとき、自分の部屋から「写ルンです」見つけた。「大切にしまっていた」と言いたいところだけれど、それは思いがけず見つかったもの。正直、見つけるまでずっとその存在を忘れていた。

残り枚数は0だから、このカメラの中には私がシャッターを切った写真が27枚分も入っている。昔から「写ルンです」を買うことはよくあったので、その中にいつ頃の写真がおさまっているかは想像がつかなかった。

「引っ越しして、生活が落ち着いたら現像しに行こう」と、そのまま福岡に持ってきて、先日ようやくカメラ屋さんに持っていった。

「期限が切れているから、きれいに現像できるかわかりませんが……」と言われて心配だったけれど、無事にカメラの中に眠っていた写真たちと出会うことができて安心した。一枚一枚、スマホに移しながら確認してみる。

思い出した。この写真を撮ったのは、5年前の3月末のこと。当時、私は初めて担任を経験した教師2年目を終えるところだった。同じ学年の担任をしていた同僚の先生と「慰安旅行」と称して、春休みの時期に鎌倉へ旅行に行ったのだ。

鎌倉を訪れたのは、このときが初めて。ちょうど桜も咲いていた時期で、街並みを歩いているだけでも楽しかったような記憶がある。

たしか、江ノ電のフリーパスを買って散策した。私は中井貴一さんと小泉今日子さんの『最後から二番目の恋』が大好きだったので、同僚にお願いして極楽寺駅で下車し、聖地巡礼をさせてもらったのも懐かしい。

もちろん『SLAM DUNK』のほうも。せっかくなら電車が通っているときにシャッター切ったらよかったのに!なんか踏切遠いし!と、5年前の自分につっこみたくなる一枚。海が撮りたかったのかなあ。

今の私が一番気に入ったのは、この海の写真。長く放置してフィルムが劣化したせいか、白っぽいのだけど、そこがむしろいい味出している気がする。大変だった一年を振り返りながら、浜辺を歩く時間も楽しかったな。

データをスマホに送ったあと、急いで一緒に旅行した当時の同僚に写真を共有した。「5年越しに現像しました、遅くなってごめんなさい」と言葉を打ちながら、なんて返事がくるだろうとそわそわしていたのだけど。

「タイムカプセルみたいに出てきてくれて嬉しい!」そんな言葉が返ってきて、うわ〜!良いこと言うなあと思った。確かにこれは、5年前の私が意図せず部屋の中にしまったタイムカプセルみたいなものだ。

いや、せっかく撮った写真を5年も放置した私が、自分でそう言うのはさすがにおこがましいか。でも正直「たまにはタイムカプセルみたいに、寝かせてみるのもいいな」なんて、思ってしまう自分がいる。

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