OpenSea vs Blur、クリエイターフィーの現状について

2月18日、OpenSeaより3つの方針変更に関する発表がありました。

1/ 期間限定でマケプレ手数料が2.5%⇒0%
2/ 一部のNFTコレクションでクリエイターフィーの料率を選択式に
(二次流通の出品側が0.5%以上で指定可能}
3/ 他のマケプレのブロックを解除

これは取引量でOpenSeaを上回りはじめたライバルとなるNFTマケプレ「Blur」に対抗した施策です。本記事では今回のOpenSeaの方針変更がクリエイター、コレクターにどういった影響がでるのかを中心に解説していきます。

※取引ごとにクリエイター側に支払われる手数料はNFT界隈では「ロイヤリティ」と呼ばれています。OpenSeaはロイヤリティという言葉は適切ではないと主張し「クリエイターフィー」と記載しています。本記事でもロイヤリティをクリエイターフィーと表記します。

背景:マーケットプレイス「Blur」とは

https://blur.io/

22年末から大きく取引量を伸ばしているNFTマーケットプレイス。イーサリアムのNFTのみを扱います。他のマケプレでの出品/購入もできるアグリゲーターとしての機能も持っています。マケプレ手数料は0%、ローンチ当初は、クリエイターフィーも0%(任意で上乗せして支払いは可)でした。
参考:以前書いた解説記事 Blurとは

OpenSeaの主な収入源はマケプレ手数料。Blurは独自の仮想通貨「$Blur」を中心としたビジネスモデルとなっています。マケプレを使用するほど$Blurを獲得できるミッションを開催し取引量を増やしました。2/14に最初の$Blurエアドロップを実施。Blurの企業評価額は10億ドルに上りました。また2/14以降では、デイリーでOpenSeaの取引量を上まわっています。

青:OpenSea/オレンジ:Blur

OpenSea vs Blurを時系列でみてみましょう

22年10月
Blur、正式ローンチ

22年11月
Blurほかクリエイターフィーをスキップできるマケプレの台頭をうけ、OpenSeaは以下の発表。

・今後ローンチするNFTコレクションは一部のマケプレをブロックするコントラクト(オペレーターフィルター)を含まない場合、OpenSeaでのクリエイターフィーは0%になる。
・既存のNFTコレクションは一定期間経過後にクリエイターフィーは0%となる(この方針は後日撤回された)

この時期の各マケプレの対応は、以下の記事で記載しています。

22年12月
Blur、クリエイターフィーを0%⇒0.5%に変更。今後も段階的に料率をあげていく方針を発表。

23年2月
Blurがシステムの穴をついてOpenSeaのオペレーターフィルターでブロックされていたNFTコレクションも取引可能にする。(OpenSeaからブロックされてもseaportの仕組みを経由)

23年2月14日
Blur、OpenSeaでの取引をブロックを推奨。この時点ではOpenSeaがBlurをブロックしていたため、両方で100%のクリエイターフィーを獲得することはできない事態に。クリエイターはOpemSea,Blurどちらにつくかを選択すべき、と主張しました。

2月18日
OpenSeaの新方針発表、Blurのブロックが解除される。

クリエイターフィーの現状

①オンチェーンロイヤリティが含まれない、22年12月以前リリースの多くのNFTコレクション
⇒OpenSea/Blurともに最低0.5%。0.5%以上で二次流通を出品する側が指定して出品できる。自分の利益を削ることになるため、Blurではほとんどが最低の0.5%で出品されているのが現状です。

②OpenSeaが指定するコントラクト(オペレーターフィルター)が含まれているもの
⇒NFTプロジェクト側が指定したクリエイターフィーを獲得可能

オペレーターフィルターを搭載したコントラクトのOpensea上の挙動についてはyuk6raさんが解説してくれています。

ではオンチェーンロイヤリティとは?

NFTコレクションのコントラクトにクリエイターフィーの情報を含めること。具体的にはロイヤリティ標準規格「EIP-2981」などがコントラクトに書かれていることを指します。これは「このNFTコレクションのクリエイターフィーは○%ですよ」という情報のみとなり強制力はありませんが、OpenSea/Blur/X2Y2などマケプレ側がこの情報に基づいてクリエイターフィーを支払う対応をはじめています。(参考:EIP-2981とは)
ただし、現時点のOpenSeaではEIP-2981を含むだけではクリエイターフィーを受け取ることができずオペレーターフィルターも必要となります。(ソース)

各NFT発行サービスもEIP-2981を含むコントラクトに対応済みです。利用者の多いManifold、thirdwebでの発行ではEIP-2981およびオプションでOpenSeaのオペレーターフィルターを選択可能です。

ここで注意が必要なのは、NFTは基本的に発行後にコントラクトを追記することはできません。21年までにリリースされたNFTコレクションの多くにはオンチェーンロイヤリティが書かれていないため0.5%~のクリエイターフィーとなります。いま多くのNFTプロイジェクトは2.5%~10%のクリエイターフィーを設定しているため、継続的な収入が減少する可能性が高くなります。以前、OpenSeaは該当するNFTコレクションに対してコントラクトの移行を推奨していました。

またBlurは取引をおこなった側のみならず、取引がおこなわれたNFTコレクションにも $blur をエアドロップしました。活発な取引があったNFTコレクションは現時点で数百~数千万円分の時価総額となるトークンを受け取っています。

二次流通の出品側にとってはどうなるのか?

Blurが目指しているのはNFTがFT(仮想通貨)のように、活発な流動性を持つことです。マケプレ手数料を0%に設定したこと、および、入札にトークンを付与に繫がる特典を与えたことでBlurで活発な取引がおこなわれるようになりました。

一報、OpenSeaもBlurと同等にマケプレ手数料を0%にしましたが、同じ取引でもBlurでは $Blur のエアドロップを獲得できる権利がある分だけ利用価値が高くなっています。ちなみにOpenSeaもエアドロップをほのめかすツイートをしていました。エアドロップへの期待でOpenSeaを利用するという動機も生まれています。

NFTをマケプレで購入する側はどうなるのか?

マケプレ手数料、クリエイターフィーともに「NFTの二次流通出品側」が負担するものです。NFTを購入する側にとっては特に影響がありません。クリエイターフィーが安い取引ほど、出品価格は安くなる傾向があります。

以上、OpenSeaとBlurの発表からクリエイターフィーやマケプレの現状についてまとめてみました。

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