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子どもは欲しかった?

正直、関心がなかった。
結婚にも子どもにも。

結婚したら、自分の姓を失う。
運転免許証、保険証、銀行口座・・・時間と大きな手間をかけて、アイデンティティの一部を失う手続きをする。
そこまではまだいい。職場で旧姓を使用すれば自分は変わらずにいられる。

妊娠・出産は?
つわりがある、仕事をセーブせざるを得ない、産休・育休で休む必要が出てくる、復帰後も時短勤務で一線から外れる・・・何より酒が飲めなくなる!まったくこれまでどおりとはいかない。

加えて、〇〇ちゃんのママと呼ばれ、名字だけでなく、完璧に自らのアイデンティティを失ってしまう・・と思っていた。

子供の頃から趣味は仕事と言えるようなバリバリ働く大人に憧れ、家庭を持つことは自分のキャリアを狭めるものだと思っていた。
母に、代理母をやってくれるなら孫を作ってあげてもいいよ、と言っていた中学生だった。結婚にも憧れはなかった。

そんな私が子どもを授かった。

希望どおりバリバリ働く生活を10年ちょっとして、社畜にも、飲み会にも飽きてきた頃だった。
引き続き子どもへの関心が高いわけではなかったが、欲しくなった時に産めない年齢になっていたら嫌だな、というのが大きかった。夫の希望もあったこと、最大の親孝行になるだろう、と思ったという理由もあった。
簡単に妊娠するわけではない、と思い、とりあえず妊活を始めたら、我が子はすぐに来てくれた。

つわりはほとんどなかった。(これも本当に感謝)
さまざまな制度を使って体を気遣いつつ、周りにも頼りつつ、セーブしすぎることなく社畜的マタニティライフを過ごした。タクシー帰りだってした(一回だけね)。
産休が楽しみでしかなかった(産休・育休で休むことは不利益しかないと思っていた中学時代の私に教えてあげたい。)。
妊婦に人びとはやさしかった。
飲み会で飲めないだなんて辛すぎる、と思っていたが、へっちゃらだった。シラフでの飲み会も楽しいものだった。

子どもを産み落としてみたら・・

今まで感じたことのない感情を覚えた。
生まれてきてくれたことがありがたくて、お子が尊すぎて、顔を見るだけで感謝で泣けた(ホルモンの影響だったのかもしれないけど)。
子どもを産んだら、仕事に復帰しても時短などで、一線から外れることになると恐れていたが、むしろ今はいかにワークライフバランスの整った(むしろライフを中心とした)働き方ができるかを模索している。

まるで180度、考え方が変わり、これまでの価値観が崩れ、新しい価値観が出来上がった。子どもが生まれる前と後で人生が変わった。子どもの誕生日は、自分の2回目の誕生日だ。

こんな感情が自分にあることを知らなかった。こんな幸せがあることも知らなかった。
教えてくれてありがとう。私のところに来てくれてありがとう。

◯◯ちゃんのママって、喜んで呼ばれよう。




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