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あなたの組織で誰も発信しないのは、「透明性の追求」が原因かも

「情報の透明性が大事」
「情報の非対称性をなくすことが大事」とよく言われますよね。
「知らないうちに大事なことが決まっていた」という状況は、モチベーションを下げるどころか不信感を生むので、上記はとても大事です。

リモートワークが広まる以前にも、飲み会の場や喫煙所での会話などで、似たようなことがありました。そのため、無理して飲み会に行ったり、タバコを吸わないのに喫煙所に行ったりする人もいたかもしれません。

いずれにしても
・クローズドな場ではなく、オープンな場で議論する
・口頭で合意した内容でもチャットツールや情報共有ツールで適宜共有する
・情報共有ツールを活用し、誰でも必要な情報にアクセス可能な状況にする上記をすることで、情報の非対称性や不公平感を減らすことは重要です。

情報の透明性が高まれば、
・不信感が生まれにくい
・誰でも必要な情報にアクセスできるので、何度も同じことを言わなくて済む
・新しく入ってきた人も過去の経緯を含めて知れるので、すぐに活躍してもらえる
などメリットは非常に大きく、さまざまなツールを使ってコミュニケーションを行う働き方において、情報の透明性を確保することは必須事項と言っても過言ではありません。

しかし、過度に情報の透明性を高めることを意識した結果、逆に不信感を生み、モチベーションを下げるケースも存在します。
このような現象は「透明性の負の影響」として知られています。

透明性の負の影響

① 心理的安全性の低下

ある企業では、全ての会議を記録し、社員全員がアクセスできるようにしました。しかし、これにより社員たちは自分の発言が全て記録されることを意識して、発言を控えるようになりました。結果として、会議の質が低下し、創造的な議論が減少しました。

これはいくつか研究もあり、
例えば Edmondson(1999)は職場の透明性が高すぎると、社員が「監視されている」と感じ、心理的安全性が低下すると指摘しています。心理的安全性が低下すると、社員はリスクを取ることを避け、保守的な行動を取るようになります。

例を挙げると、「DM禁止」や「プライベートチャンネルの作成禁止」の会社です。全てパブリックで発言することを求めるための措置なのですが、そういった会社から以下のような相談を受けることは少なくありません。

それは、
「雑談チャンネルをつくったんだけど、全く発言がないんです」
というような、コミュニケーションが活性化しない相談です。

多くの人が入っているパブリックチャンネルで発言することを躊躇する人は、少なくありません。オフィスで例えると、「執務室の真ん中でいきなり一人で話し始める」ようなものです。よほど関係性が作れていれば別ですが、ハードルが高いと感じる人は多いはず。
参加人数が多いチャンネルで気軽にやり取りできない人は存在しますし、そうなると「発言しない」という選択をする人ばかりになります。

② 情報過多によるストレス

全てのログを残し、共有されることで情報過多になり、本当に重要な情報が埋もれてしまうということもあります。
情報の文書化や共有に熱心なスタートアップに入社した人が、「『情報は全てありますので見ておいてください』と言われたけど、多すぎて逆に時間がかかる。でも確かに情報はどこかにはあるので、聞きにくい」といった悩みを抱えている例もよく耳にします。
情報があっても、これだと本来の目的を果たせているとは言えませんよね。

Bawden & Robinson(2009)は、「人は、情報が多すぎると処理することが難しくなり、結果として効率が低下する」と指摘しています。
重要な情報が埋もれてしまうことで、意思決定が遅れたり、誤った判断を下すリスクも高まります。

情報の透明性は大事だけど、行きすぎると負の影響があることがお分かりいただけたかと思います。

どうしたらいいのか

対策としては以下のようなことが考えられます。

  • 行きすぎた管理ルールの徹底は、闇をうむのでやめる

  • 情報記録の目的を共有し、監視のために使わない

  • 「情報を全て残す」をゴールにするのではなく、必要な情報にアクセスしやすい状況をつくることを目指す

ただ、言うは易し行うは難し、です。
次回のnoteでは負の影響を生まない情報管理の仕方について、具体的な事例とともに説明していきたいと思います。

上記のようなことに悩んでいる方は、ぜひこちらからお問合せください!
noteでは書けない事例なども踏まえてお話しさせていただきます。




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