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メディカルハーブを育てませんか#4|微生物とオーガニックな土作り

自宅のプランターで、無農薬、無化学肥料(できるだけ無肥料)でハーブを育てるのに一番肝心な「土作り」についてご紹介したいと思います。土作りは奥が深いので長くなってしまい更新も少し遅れました(汗)。またちょうど先日、オーガニック宅配野菜のパイオニアである、オイシックス・ラ・大地㈱の藤田会長のお話を伺う機会があり、あらためて土づくりの大切さを感じています。

農薬や化学肥料に頼る土づくりのデメリット

農薬や化学肥料に頼った通常の土づくりは、メリットもありますがデメリットもあります。土中の微生物、小動物を殺し肥料を与え続けなくてはいけないため、残留農薬や農作物のミネラル不足など体に良くないことに加え、家庭でのプランター栽培の場合は土がすぐに悪くなり、交換しなくてはいけないのでかえって面倒です。土の廃棄は重労働ですよね。もちろん環境にも良くないです。

また、農薬が体に良くないことはイメージしやすいですが、化学肥料がなぜ良くないのかというと、栄養過多になりやすく、それにより害虫がつきやすくなるために農薬をまかなくてはいけないという悪循環になりやすいのです。また余剰な化学肥料によって発生する「硝酸態窒素」はタンパク質と結びつくことで発がん性物質になるといわれています。また有機肥料は質の悪いものがあり、有機肥料なら何でも良いというものではありません。むしろ質の悪い有機肥料なら化学肥料のが良い場合があるぐらいです。

自然栽培の土づくりをおすすめするワケ

自然栽培、自然農法、無肥料栽培、色々な言い方があり「有機JAS認証」のような法による明確な定義づけが無いこれらの農法は、要は作る人、食べる人、地球にも優しい微生物の力を借りた循環型農業と言えると思います。そのような土づくりは難しいイメージがあるかもしれませんが、実はそんなことはなく、家庭菜園で農薬を使うほうがコツがいるかもしれません。家庭菜園は利益や効率を重視した農業ではないので、むしろ自然栽培のほうが理にかなっています。またハーブはもともと雑草のように強いものが多いので野菜に比べて、より簡単に自然栽培が可能です。

自然栽培の土作りは自然の循環について知ることから始まります。土のなかでどのようなことがおこっているのか。微生物や小動物が植物や動物の死骸等を分解し栄養素に変えています。最近の野菜や農作物はミネラルが圧倒的に少ないと言われますが、ミネラル不足は様々な成人病の原因としてあらためて注目されています。またここでいう微生物は根圏微生物のことで、植物と共存して植物を元気に育てる微生物です。土中環境の健全性は人間の腸内環境と似ていると言えます。人間も腸内環境を整える為、乳酸菌や酪酸菌などの微生物を積極的に摂取しますよね。それと同じことが土中でも起こっているということですが、最近QRTがこの根圏と微生物の関係性を映像化することに成功し、農業での最適化が期待される研究が発表されました。

また、良い土の条件としてよく言われるのが「団粒構造」というものですが、これは土が団粒状になっていることにより、土と土の間に程よい隙間があり、排水性が高いが保水性もあり、通気性があり、植物が根を張りやすい状態のことを言います。微生物の力を借りた土づくりの場合は、この団粒構造が自然と形成されます。農薬を使うと微生物が死んでしまい、この団粒構造が崩れるのです。

プランターの土作り

プランターでの土づくりは畑と違い、狭い範囲の面積でより人工的な環境なので、それにあわせて土作りをします。造園や農業の「土作り」のプロ達は、皆さんそれぞれの一家言をお待ちで、ブレンドの比率や、「〇〇産がベストだ!」「基本用土は鹿沼土が良い!」「いや鹿沼土はだめ!」などなど、植物や環境によっても適正な土が違うので、これが正解!というのは、なかなか断言しにくいし、するものでもないと思います。

とはいえ、ポイントやコツはあります。土作りは上記の「団粒構造」になるようにブレンドするのが基本です。その辺のカチカチの地面の土で育てても育ちにくいのはイメージしやすいと思いますが、良い団粒構造の土はほどよくふんわりしっとり、嫌な臭いはなくむしろ土の良い香りがします。

あらかじめこのような状態になるよう基本用土に土壌改良剤がブレンドされているものを培養土といいます。「ハーブ用の土」と書いてあるものはハーブ用の培養土ということになります。これらを購入しても良いですし、自分でブレンドしても良いのですが、余らせてしまうことを考えると培養土と腐葉土を購入し、後述のようにミルフィーユ状に入れるのをお勧めします。

培養土を選ぶときのポイントは、製造会社名(販売会社名)が記載されているものにすること、100均や廉価なものは、農薬や害虫が入ってる場合もあるため使わないようにします。

つぎに土のph値(アルカリ性か酸性か)ですがハーブは弱アルカリ性を好むと言われますが、中性でも弱酸性でも問題なく育っているケースもあり、ラベンダーなど地中海沿岸原産の植物以外は極端に酸性に寄ってなければそこまで気にしななくてもよいと思います。ハーブ用培養土はたいてい「ph調整済」となっています。

また気を付けたい重要なポイントは、肥料が混ぜられていないものをできるだけ選ぶことです。肥料が予め入っていると、どの程度入っているのかが分かりづらく調整しにくいのです。また肥料の質はピンからキリまであり、悪質なものを入れると、とたんに土全体が汚染されてしまいます。自然栽培では極力肥料を控えめにすることで、丈夫で健康な土にします。人間も現代人は過食気味で栄養過多であることが病気を引き起こすという説がありますが似ていますね。栄養が多ければ植物は大きく早く育ちますが、本来大きくて早ければ良いというものではなく、植物にとって丈夫に育ちやすい適正な速度と大きさがあります。過剰な肥料はある意味ドーピング材のようなものです。

逆に入っていたほうが良いものは、基本用土(赤玉土や黒土、鹿沼土など)に排水性を高めるためのパーライト、ph調整、雑菌抑制、害虫忌避のためもみ殻燻炭などの炭類です。

これらの培養土と別に腐葉土を用意しますが、腐葉土は「土」と書いてますが、厳密には土ではなく植物性の堆肥です。広葉樹の落ち葉でしっかりと発酵した良質なものを選びます。できれば国産のものが良いですが海外産なら殺虫剤がまかれていない良質なものを選びます。腐葉土は微生物が住みやすくなる土づくりに欠かせません。

これらの腐葉土と培養土を混ぜるのですが、あらかじめ混ぜようとすると比重が違いすぎてうまく混ざりにくいので、下から培養土+腐葉土+培養土+腐葉土というようにミルフィーユ状に3〜5層重ねていきます。割合でいうと、体積で培養土5:腐葉土1ぐらい。最後は培養土で終わらせてマルチングの役割をさせます。

これらを既にご紹介した不織布プランターに入れていきます。1番下には床からの熱を遮断するのと排水性を高め、根腐れ防止も兼ねてパーライトをネットに入れて3〜4センチ敷きます。ネットに入れる事で、土と混ざらず再利用しやすくします。ちなみにこの土づくりは、ハーブ用なので野菜だと変わってきます。

最初の土作りは以上です。ふぅー、長かったですね。お付き合いありがとうございました。苗の選び方、水やり、その後の育て方などは、またあらためてご紹介します。






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