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最近の転職市場と採用活動で大事にしたいこと。

お疲れ様です。
みほ(https://twitter.com/miho_career)です。

今日は、最近の感想を述べる回です。
徒然なるままに。

候補者体験を良いものにしたい

私は、採用における「候補者体験」というものに人一倍敏感で、候補者の心情を理解したアプローチをするということについては結構考えてきたタイプです。

私は20代半ばから何度か転職してきましたが、派遣社員だった経験も含めて、縁があった会社とそうでない会社、結果に関係なく、選考を通じて良い気付きを与えてくれた会社やファンになった会社もありましたし、逆にこの図太い私でも、面接官の一言に傷ついたり不快な思いをした会社もありました。
転職活動において、自分の感情が大きく動く経験や、良いことも悪いことも含めて自分のキャリアについて考えさせられる経験をたくさんしてきたほうだと思います。

候補者体験云々ということに敏感になってしまうのは、これまでの経験から、企業と個人の接点の場に感情移入をしてしまいやすいんだと思います。

面接担当は月数十件の面接を対応をしている人も少なくなく、その中の候補者の1人ですから、通過した人はともかく通過しなかった人のことを覚えていないのは仕方ないと思います。

でも、候補者の立場からすれば、人生の分岐点で出会う会社の1つです。転職するに至った背景が一人一人にあって、それが新たな挑戦をしたいという前向きな理由の方もいれば、やむを得ない理由、致し方ない理由など、葛藤の末決断をした方まで様々です。

いずれにしても、転職するということはなにかしらその人のキャリアに課題があることは確か。良い体験はいいとしても、その課題を解決するためにリスクを取って転職してみようと一歩踏み出した候補者に不快な思いだけはさせたくないと、過去の自分に重ね合わせて思うわけです。

もちろん私は人事サイドの人間なので、候補者体験の向上が採用数の達成や採用ブランディングに影響するということも分かっていますし、そういった意味でここを強化したいという想いも当然あります。

が、今日は少し個人側に寄った視点で書いていきたいと思います。

スカウト市場における違和感

人事としても利用していますし、求職者側としてもお世話になったスカウト媒体。ダイレクトリクルーティングが注目され始めてきた頃から比べると、ここ数年は利用企業も大幅に増えた印象があります。

しかしこのスカウト媒体。最近少し違和感を覚えます。企業特性や募集ポジションに関係なく「とにかく量を」というやり方が目立つ。

私は営業時代から、量はやって当たり前、量は質に転化する、というような巷でよく言われていることは全部だいたいやってきているので、何か目標達成をしようとした時に量が大事なのは十二分に分かっています。
また、最初は効果検証を含めて量をやってみて傾向を見る、ということもありますし、質に転化させること前提で量をやっていることもあり、目的を持った量施策自体に何か問題があるとは思っていません。

が、全体感として「受け取った人がどう感じるか?」という視点が大きく抜けている印象を受けます。
スカウト経由でカジュアル面談をした方から「なぜ返信をくれたのか」の回答として「経歴をちゃんと見てくれていると感じたから」と言われました、と報告を受けたケースも少なくありません。
ということは逆に考えると「経歴を見ていないで送ってきたであろうメッセージが多い」ということ。

私も自分が利用していた際に、希望条件として人事のみにチェックをいれているにも関わらず、営業職かつ年収上限が現年収を100万円程度下回っている求人が添付されたテンプレ一括送信をしたであろうメッセージが送られてきたこともあります。

不要・不快なら見なければいいと言われればそれまでですが、これは受け取った求職者にとってはあまり良い気のするメッセージではありませんし、企業側にとってもマイナスブランディング。こういう体験は私だけではなく、様々なところから聞こえてきます。

よく話題になる「スカウトが来てカジュアル面談をしたらお見送りの連絡がきた」という話は論外としても、こういった企業本位というか、とりあえずの母集団増やしで一括で送信される大量のメールには少し違和感を覚えます。

もちろん、一括送信メールで内定承諾に至ったケースもありますし、それが勝ち筋である企業や職種・ポジションもあるので、サービス自体を否定するつもりはありません。

ただ、ここで話をしている候補者体験という観点で見た時には、やり方を間違えると、本来の「企業から(自分に合った)スカウトが来る」という体験を通じた転職活動ができるこの種のサービスの良さが少し失われているように感じるというか、最初にこのスカウト採用の文化を作った事業者が実現したかった世界観とはだいぶズレてきているのではないか、と思う今日この頃です。

求職者がエージェントを利用するメリット

エージェントを使う求職者はどうか。
最近は一時期に比べまた増えてきているようにも感じます。

私が考えるエージェント使うメリットは大きく2つあり、1つは面談を通して自身のキャリアの棚卸しのサポートをしてくれること。もう1つは情報を整理して第三者の意見を添えて伝達してくれることです。

時々、エージェントを利用する人に優秀層はいないだのなんだのとXでも言われていたこともありますが、私は決してそんなことはないと思っています。

私は人事の経験もあり、エージェントの経験もあり、リファラル採用のお声がけを複数いただいた経験もありますが、それでもエージェントを併用で使って転職活動をしたことが過去にあります。

それは、上記で述べた後者のメリットがあるから。
年齢と職業柄、キャリアの棚卸しは半分趣味みたいなもので定期的に自分でできるため、それをやってもらう必要は、私の場合はありません。

が、2つ目の情報の整理と伝達についてはかなりありがたい。
大量に送られてくるメールや色んな求人媒体にある情報が多すぎて、頭の中で処理しきれない。
大量の求人の中から自分が自分の力だけでは出会えていなかった、自分に合うかもしれない企業をピックアップしてくれる。自分で調べなくていいので工数もかからない。さらには自分に代わって売り込んでくれる(≒推薦してくれる)わけです。

これを分かっている賢い人や転職支援のプロにキャリアの壁打ちをしながらきちんと転職活動をしたいという人は、きちんと転職支援をしてくれるエージェントを頼りにしている傾向があります。

なので、人を介さないサービスを利用している時と変わらないような状態、例えば条件しかヒアリングしない面談、求人を送るだけの提案、になると求職者がエージェントを使う意味がなくなってしまう

「求人を紹介する」という作業のような対応ではなく、スカウト採用やその他の採用では体験できないような転職支援ができるかどうかが求職者体験の向上のキーになります。

また、補足しておきますが、エージェント側が求職者に大量の提案メールを送ること自体を悪という人がいますが、送ること自体は悪ではないと個人的には思います。

特に大手エージェントは提案の幅が価値であり、他社にない求人も多く持っていることが多いです。量が問題なのではなく、先ほど述べた、情報の整理と伝達がきちんとできているかどうかが論点。
それがきちんとできていて、求職者を自分が望む方向へスムーズにエスコートできるならば、量が多いことは求職者の選択肢を広げることに繋がるため価値と言えます。

採用活動において大事にしたいこと

上記の話の共通点であり課題になっているのは、情報がありすぎて良くわからない、どの会社が自分に合うのか分からない、自分がやりたいと思っている求人に出会えない、ということ。

まとめると、企業は、届けたい人や届けるべき人に届けたい情報が届けられていないというようなことかと思います。

私が採用活動をする中で大事にしているのは、どのような手段(採用チャネル)であっても、誰にどのような情報を届けたいのかをはっきりさせること。また、誰にどのような価値を提供している企業で、あなたのどんな力を求めていて、あなたにどんな未来を提供できる企業なのかをはっきりさせること。

広く言えば採用ブランディングの話になりますが、この部分に注目せずにスカウト運用をスタートしている場合「スカウトを頑張っているのになかなか決まりません。」という状態になってしまっていることは多々あります。
エージェント採用も然り。推薦は来るけど要件と違う人が来る、という状態がこれでしょうか。

KPI管理がしやすく”やっている感覚”が得られる量の部分に目がいきがちで、こういったブランディング(広報も同様)の話は目に見えにくく、どう改善されているかが分かりにくいため劣後されがちですが、こういった部分の大切さは今後も伝えていきたいと思っています。



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