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採用広報の目的と効果について。コンテンツ作成時に意識したいこと。

お疲れ様です。
みほ(https://twitter.com/miho_career)です。

アウトプットしたいなと思いつつ全然進んでいなかったnoteですが、ここ1年くらいで色々なことにチャレンジできているので、少しずつまとめていきたいと思います。

今回は、採用広報についてです。

なぜ採用広報について話そうと思ったのか

普段は中途採用をメインに活動をしており、採用の実務をゴリゴリ進めることももちろん好きなのですが、性格上、「採用マーケティング」や「採用広報」の領域など1対Nへのアプローチや採用企画領域が得意だなと感じてき始めている今日この頃です。

ちょうど1年前くらいから社員インタビューの企画に携わらせていただくことが度々ありました。何度か携わる中で、自分の中で仕事の型ができてきたこともあり身近な人にこの話をしたところ「勉強になる!」と言われたことがあったので、であれば、と思い振り返りも兼ねてお話していけたらと思った次第です。

誰に需要があるのか?という話をすると、これから採用広報を始める人事の人、専門は広報だけど採用広報も担当することになりましたという人、採用広報を始めたものの手探りでやっている人、あとはこの仕事において手戻りをなくしたい、と思っている人にはお役に立てる内容にはなっているかなと思います。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

採用広報の目的は何か

最初に、採用広報は何のためにするのか?というお話からしていきたいと思います。

私のnoteを少し見ていただいた方であれば、「またかよw」と感じると思いますが、毎回私はとりあえず「前提」や「目的」みたいな話を本題の前に挟むことが多いです。

(経験上、ここがズレると話がスッと入ってこないような気がしておりまして、必ずお話するようにしています。)

まず、採用広報とは「企業が求める人材を採用するための広報活動」と定義されています。

で、企業が求める人材の採用を成功させるために何がキーになるか?を挙げるとすれば、良質な母集団の形成、選考中の候補者の離脱防止、の大きく2つであると私は考えています。

(企業の認知拡大という観点もあるのですが、私が採用担当であり年度の短期的な採用目標数を追っている立場でもあるので、ここはマーケ・セールス視点に寄った解釈で話を進めます。)

なので、採用広報をする目的は
・ペルソナに合致した候補者を集めるため
・内定後辞退を含む選考中の離脱防止のため

となります。

なので、採用広報で社員インタビュー記事を作る際は、上記の2つの目的が果たされている記事になっているかどうか?がポイントです。

記事コンテンツ作成の進め方

では、インタビュー記事コンテンツの作成はどのように進めていくのか。私が実際にやっていたことをまとめてみます。

全体像はこんな感じ。

・採用における課題の特定
・ペルソナの再確認と人選
・記事の目的/ゴールの設定
・インタビューの骨子作成
・本人に事前に質問内容を共有
・インタビュー/写真撮影実施
・執筆

断っておきますが、私は広報のプロでもプロのライターでもなく、あくまで両面型人材紹介会社の営業経験がある現役採用人事です。

過去に勤めた会社で顧客事例インタビューのプロジェクトを進めたことがあります、くらいのイチ個人の経験に基づいたやり方です。

採用における課題の特定
そもそも応募数が少ないのか、欲しい層の応募がないのか、応募はあるけど途中で離脱してしまうのか。離脱しているとすればそれはなぜか?などをまずは整理します。

課題によって、どんな社員にどんな内容を話してもらうかが変わってくるため、まずはここを明確にしていきます。

ペルソナの再確認と人選
課題が分かったら、記事の読み手(ターゲット)はどんな人なのかを改めて確認します。

ペルソナもいくつかパターンがあると思うので、そのペルソナの中でもどんな人向けの記事にするのか良いか?その読み手に響く社員は誰なのか?の視点で人選していきます。

記事の目的/ゴールの設定
誰向けの記事で、誰にインタビューするかが決まったら記事の構成に取りかかります。
まずは、この記事の目的・ゴールをまとめていく。ゴールは読み手の心理状態まで考えていくのがポイントです。

例)
<目的>
・●●業界出身者の応募数の増加/魅力付け
・働き方(WLB)の懸念の払拭

<ゴール>
・転職理由(キャリアの課題)に共感できている状態
・〇〇経験を活かしながら△△にチャレンジできる環境だと感じている状態
・●●なカルチャーに魅力を感じている状態
・プライベートと仕事が両立できる仕事だとと思えている状態

採用メディアや別のライターさん(外注など)に依頼する場合の仕事は、ここまでになります。

外部に依頼する場合でも、目的とゴールを明確にしてから依頼することでアウトプットの精度が上がるため、任せきりにせず細かく設計しておくといいです。

インタビューの骨子作成
(場合によっては外注)
上記の目的・ゴールを元に記事の構成と大まかな内容を決め、それを元に質問項目をまとめていきます。

質問項目は気持ち多めに作ります。
ヒアリング内容が少ないことによって記事に厚みが出ず、追記するために再度時間をもらうとなると相手の負担をかけてしまうため、ちょっと多いかな?くらいの感覚で進めることを推奨します。

インタビューした内容全てを使用する必要はなく重要なところだけカットすれば良いので、多めに聞いておくのがおすすめです。

例)
<インタビュー骨子>
タイトル
小タイトル①
└これまでの経歴、転職理由、入社理由
小タイトル②
└仕事内容、やりがい、before・after
小タイトル③
└今後のキャリアとプライベートについて
小タイトル④
└組織・カルチャー、メッセージ


<質問項目>
・これまでの経歴を教えてください
└前職はどんなことをしていたか
・転職しようと思ったきっかけはなんですか
・入社の決め手は何ですか
└具体的なエピソードも教えてください
・現在の仕事内容を教えてください
・どんな時にやりがいを感じますか
└具体的なエピソードも教えてください
・未経験から入社して苦戦したことはありますか
└それはどのように乗り越えましたか
・将来どのようなキャリアを考えていますか
└それはなぜですか
・会社の魅力(好きなところ)はどんなところですか
└なぜそう思うのですか
└具体的なエピソードあれば
・休日は何をしていますか
└趣味はなんですか
・最後に転職を検討している方にメッセージをお願いします
└どんな人が向いていると思うか、どんな人と働きたいかを踏まえてお願いします

本人に事前に質問内容を共有
(場合によっては外注)
上記をドキュメントやスプレッドシートなどでまとめて、2日前くらいまでに本人に共有しておきます。
ここでできれば本人と20~30分程度の打ち合わせをしておき、どの部分をより話してほしいか、話にくい部分はないか?等を事前に聞いておくとインタビューがスムーズです。

インタビュー/写真撮影実施
(場合によっては外注)
インタビューは30~60分。
事前の打ち合わせの濃度やインタビューそのものの情報の深さにもよりますが、2,500~3,000文字くらいだと30〜40分でもわりとヒアリングできる印象です。

そして一通りインタビューができたら、最後に最初に設定した「ゴール」が達成できる情報を引き出せたのか?を確認してたら終了してください。

そして写真撮影ですが、できればインタビューを受けてくれる方がより素敵に見える服装などを事前に提案するのが良いです。
クリエイティブは会社の印象を左右します。この人素敵!この人カッコいい!と思ってもらえることが重要。その人の魅力を最大限引き出せる写真を撮ってください。
あとは、写真に映り込むデスクが散らかってないかなどの周りの環境にも注意しましょう。

執筆
(場合によっては外注)
文字おこしは基本、別の方にやってもらっていたのでここについて述べることはありません。

文字おこし後の編集作業からやることが多かったのですが、前述している目的・ゴールと記事構成案を見て、必要な箇所に必要な話を要約して入れていき、小見出しや質問のセリフを違和感のないようにきれいに整えれば、基本的には大丈夫かなと思っています。
アバウトで恐縮ですが、目的・ゴールと記事構成を先にきちんと作っておけばまとめるのはわりとスムーズにできます。

その他のポイントとしては、社内用語や略称、その業務に携わっていないと分からないだろうなという細かい話や専門用語などは使用せず、サクッと記事を見に来た人にも分かるような内容になるように別の言葉で置き換える、くらいでしょうか。

また、ここまで述べておいてアレなのですが、よほどのファンでない限り、転職活動中、さらに複数社受けている状態で1社の記事をがっつり読み込む人はなかなかいないのではと思ったりもするので、いかに分かりやすく、ぶつ切りにならずに、ストーリー調の話の展開にしておく、とかも大事ではあると思います。

採用候補の効果

ここまでは私が実際にやってきたことについてお話してきましたが、ここからは、採用広報の業務をやってみて大事だと思ったことをお話していきます。

先日このようなツイートをしておりますが結局のところ、”誰にどんな情報を届けるのか”の視点は採用においてとても重要です。

広報PR領域の方もよく言われますが、広報は効果を数値で表しづらい。
そのため、社員インタビューの記事が何に効いているのか分かりづらいと感じている人も多いと思います。が、これは実際に面接をしていると効果はかなり実感します。

選考前、選考中の候補者に見てもらった時とそうでない時とでは面接の雰囲気、内容がぜんぜん違います。

何が違うかというと、一つ目は、お互い合わないかもな…と感じる候補者との面接の割合が徐々に減っていくこと。
(これが全ての要因ではないにしても、一次面接の通過率が上がってきたりします。)

二つ目は、質疑応募の時間でいただく質問の精度が高くなるためより深い話ができ、その人の個別具体的な魅力付けや懸念点解消ができること、が挙げられます。
(最終面接待ちのステータスの方のうち意向度の高い方が増えるイメージです。)

採用目標人数が増えてくると、面接件数をこなしてもなかなか決まらない、面接が多すぎて忙殺、みたいな経験をしたことがある人事の人も多いと思います。
(私はこの忙殺される感じの仕事がとても苦手でした。)

なので、こういうコンテンツがあると共感を得られる人が集まり、逆にあまり心に響かない人は応募しなくなるので、仮に母集団が減ったとしても、最終面接までたどり着く人数は変わらなかったりすることも多いです。
効率よく自社にマッチする人を採用する上では有効だなと改めて思います。

また、こういうコンテンツがより必要だなと感じるのは、スカウト採用の場合です。

求職者の方と直接お話ができない状況の中でターゲット層の求職者の心を動かしエントリーを促さなければいけない。
だいたいの情報はスカウト文や求人票でなんとかなりますが、文字情報だけだと人の心を動かすには少し弱い。そのため、このようなストーリー性やエモーショナルな要素を含んだコンテンツなど組み合わせたほうがもちろんですが返信率は高くなります。

また、記事を作ったら作ったでそのままにしておくのではなく、スカウト文中に「こちらは〜〜〜〜の記事なのでぜひ見てください」という一言を添えてリンクを貼り、確実に見てもらう導線もお忘れなく。

おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございました。

全体的な超個人的な感想を述べますと、この「社員インタビュー」の企画、率直に、両面型人材紹介の経験×企業人事の経験がとても活きる仕事だな感じました、ということでしょうか。

医療系人材紹介会社の時代は、地方でHPすらなくて、パッと見何をやっているか分からない病院や介護施設を担当することが多かったこともあり、いかにしてその法人の魅力を引き出し、求職者に伝えていくか?を思考してきた経験があります。

求職者側では、その人がどんな想いで何をやってきて、何ができる人なのか?ということをキレイに言語化し法人側に伝えることで「ぜひ会ってみたい」と思ってもらえる工夫をしてきた経験もある。

人材紹介業と採用広報。
やっている業務は一見違うように見えますが、目的や思考のプロセスはまあまあ同じで、企業の良さを引き出し、人の良さを引き出し、それを伝えるべき人に伝えていくこと。
結局、そういう仕事が好きなんだろうなということに気づいた経験でした。

“こんな人と出会いたい”
を実現するための採用広報と母集団形成。
引き続き頑張っていこうと思います!

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