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スカウト媒体で「出会いたい人に出会う」ために。

お疲れ様です。
みほ(https://twitter.com/miho_career)です。

フリーランスになってそろそろ一年が経ちます。ダイレクトリクルーティングに注力したい企業様も多く、ありがたいことにご相談いただくことも増えてきました。

今日はスカウト採用において、会いたい人に会う(=母集団の質を上げる)ために意識していることや常に考えていることをまとめてみました。

運用のHOWの部分というよりは、スカウト採用を実施するにあたってのスタンスや考え方、全体のオペレーション設計、担当者の在り方の観点で話ができればと思います。


要件を安易に下げない

よくある間違いは、スカウトを送付しはじめて返信率が全然上がらない状況が続くと「今のリストに送っても返信がないから、リストの条件を広げよう」という発想になって、本来の会いたい人物像からより遠くなってしまう層にまで送付対象を広げるやり方です。(よくある”要件を下げる”という表現のものがこれです。)

これだと本末転倒。
仮に返信があったとしてもカジュアル面談をしたら「あれ?」となったり、応募してもらっても一次面接でお互いマッチせずお見送りか辞退になってしまうので、お互い時間の無駄で人事が疲弊するだけです。

返信が来ない理由は、届けたい人に届けたい情報が伝わっていないから。

その原因がタイトルなのか、スカウト文なのか、求人票の中身なのか、送付時間帯なのか、狙っているターゲットと条件が市場とズレているのかなど色々あり、そこを解消しないことには返信率は上がりません。

でも、リストが枯渇気味なんだけど!という気持ちもよく分かります。
その場合は要件を下げるのではなく、類似した経歴・スキルを持つ別のターゲットを設定し母数を増やしその人と会ってみるというやり方です。
求めている要件に対して下の層にアプローチするのではなく、横の層にアプローチするイメージです。

分かりやすい例でいうと、カスタマーサクセス経験者を探したい時に、カスタマーサポート経験者も対象者に加える人がいますが、そうではなく「法人営業経験者」を加えてくださいということ。
これは営業とカスタマーサポートの優劣の話ではなく、カスタマーサクセスで成果を出せる人と類似した経験・スキルを持っていて、同等のパフォーマンス出せる可能性が高い属性の人は誰か?を考えたら、それはカスタマーサポートの人ではなく営業職の人ですよねということです。

エンジニアの場合も同様で、Ruby経験かつ設計経験がある人と会いたいと思っていてリストが枯渇した時に、Ruby経験はあるけど設計経験がない人を探すより、Ruby経験はないけど別の言語で設計経験がある人のほうがおそらく求めるスキルセットと近い人と出会えるでしょう、というような感じです。

とはいえ、スカウト返信云々の話は、先ほど述べた「誰に何をどのように伝えるか」という観点が重要ですので、リストを増やすと同時にターゲット別や求人票、スカウト文別に効果検証と改善を週次や月次でしっかり行っていく必要はあります。

量に逃げない

スカウト返信率や応募数は悪くないのだけど、応募してくれた候補者がなかなか面接に通らず内定承諾に課題がありますという企業も少なくないです。

この場合にやってはいけないのは「量に逃げること」です。
返信率にあまり課題がない場合、応募数を確保することにあまりストレスがかからないため「あ~またダメだった、よーし!スカウト頑張るぞ!!」ととにかくまた母集団を作ろう!となってしまうことがありますが、この場合の課題はここにあります。

応募してくれた人の多くが面接で話してみたらお見送りになってしまったということは、求めている人物像から少しズレている人が多く応募されているということ。
ということは、今出している求人票やスカウト文に書いてある内容は会いたいと思っている人ではない人の心に響いており、本当に会いたいと思っている人には響いていないということになります。

スカウト返信率が良い・応募数が多いからと言って、母集団形成が上手くいっているというわけではありません。
この場合は、スカウト返信率が下がったとしても求人票やスカウト文の内容を改修する必要があります。
それをやらないと、数をこなしているのになかなか決定が出ないループから抜け出せなくなります。

カジュアル面談で現状把握を

さて、話は少し変わりますが、カジュアル面談ではどんな話をしていますでしょうか。

面接ではないので会社の魅力を伝えることに注力しているとは思いますが、母集団の質を上げていくには、会社の魅力を伝えて終わらずに面談に参加していただいた方の声をきちんと聞くことが重要です。

なぜ返信をしてくれたのか?どんな点に興味を持ってくれたのか?を聞いてその情報を蓄積していくことです。面接ではないので尋問みたいになるのは避けたいところですが、冒頭に少し聞くくらいなら問題ありません。

そこから、今出ている情報(求人票やスカウト文など)のどこに興味を持たれているのかを把握する。

そうすると、伝えたい部分が伝わっていないとか、間違って伝わっているとか、ズレが少しずつ見えてくる。
これを元に今出ている情報の修正を行うことで、徐々にピントが合ってきます。

カジュアル面談をした後に振り返りを行っていない、なぜ興味を持ってくれたのかを聞けていない、というところに心当たりがあればぜひやってみていただくことをおすすめします。

走りながら考える

採用市場は季節性もありますし、1~2か月で競合環境を含めて外的環境が激しく変化していきます。過去にこれをやって成功したから今回もこのやり方がうまくいくという保証もありません。

私がスカウト採用をやってきて大切だと思うのは、現状をしっかり把握して適切な策を都度都度打っていくということです。
継続してやり続ければ、応募数を維持したまま面接の通過率が上がったり、仮にスカウト返信率が下がったり応募数が減ったとしても、最終面接にたどり着く人数が増え、そのまま内定承諾に繋がってくることが大いにあります。

イメージとしては、こちらで書かれているOODAループの考え方が近いと感じていますが、まさに「走りながら考える」という動きをしなければいけないのが採用活動です。
採用は営業だ!と言われることがあり、それ自体は否定しませんが、どちらかといえば採用は事業開発的な要素が必要で、その意識で動くことも大事なのではないかと私は思っています。

おわりに

たまに「エージェント採用より安いからスカウト採用をやりたい」という声も聞きますが、スカウト採用できちんと結果を出すためにはスピード感を持って市場を見ながら細かく効果検証と改善を繰り返す必要があります。
採用コストは少なくて済みますが、想像以上に労力がかかります。

(スカウト媒体運用ができるリソースがない場合は別途、人件費やRPOへの外注費がかかります。損益分岐点を計算したことがありますが、やり方を間違えるとトータルコストはエージェント採用より高くつくケースもあります。)

スカウト採用のメリットは、自社から求職者にダイレクトに会社の魅力をアピールできることはもちろん、採用市場の動向が分かったり、ターゲット人材のキャリアの課題やニーズを知ることができることです。

そこで得た経験や気づきは採用力強化や採用ブランディング強化に活かせますし、自社サイトからの応募数を増やすことへと繋げていけると思っています。
目の前の採用目標数だけでなく、未来を見据えてスカウト採用の推進を行なっていきたいですね。


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