見出し画像

大人はみんな、「社会人」に擬態して生きている。

ここ数日、やけに朝起きるのがつらい。

限界まで布団で粘って、なんとか始業までに体裁を繕って、「社会人」のスーツで全身すっぽり覆って、
だから私はまだなんとか社会人でいられている。


許されるのなら昼まで寝ていたい

私はほんとうは、ちゃんとした人間じゃない。

たぶん睡眠のデフォルト設定は22:00‐14:00だし、起きてる時間もお布団でぐうたらしてるし、ごはんは自分のためだけじゃ作りたくない日の方が多い。掃除なんてもってのほか。
めんどくさがりだからExcelの関数覚えるのだけは早かったけど、誇れるところなんてそれくらい。人とかかわるのも基本苦手だし。

でも、普段はちゃんと朝7時に起きて、社会人をやっている。

それだけでも、ものすっごく褒めてほしい。
「朝7時に起きて働いている」だけで褒めてほしいと思うくらいには、私は怠惰な人間だ。

「ちゃんと社会人してる」程度では、誰も褒めてくれない

朝7時に起きて、電車に乗って会社に行くことは、私にとってはもはや偉業で、毎朝会社のトイレで私は自分に特大のハナマルをあげている。
でもその程度では、誰も褒めてくれない。
なんならそれで褒めてなんて言おうものなら「私は朝6時起きです。あなたは恵まれている」なんてクソリプが飛んできそうなくらい。

おまえの起床時間なんて知らねえよ!
私は自分が朝、布団から出ることがどのくらいの困難で、それを乗り越えるためにどれだけの精神力と仕事への忠誠心が必要だったかの話をしているの!
みんなちがってみんなえらい!私もえらけりゃおまえもえらい!6時起き、すごい!でもおまえがえらいことではわたしのえらさは霞んだりしない!それでいいじゃん!!!

(まだ来てもいないクソリプにキレ散らかすの図)

子供の頃は大人って、もっと「大人」だった

大人になったら早起きも満員電車も9時‐17時で働くことも全然平気で、仕事が終わった後同僚と一杯ひっかけて帰ってきちゃっても、また翌日からバリバリ働けるもんなんだと思ってた。

30歳を迎えた今、
なんなら体力は学生の頃が一番あったし、コーヒーはおいしいからじゃなくて眠気覚ましのために飲むし、仕事から終わったら当たり前のように夕飯は作りたくないし、明日の朝もまた仕事だと思うとそりゃ酔わないとやってられない。
大人って、子供の頃の私が思っていたより、ずっと子供だった。

毎朝、眠い目を必死でこすって、「起きるのやだ~」「会社いきたくない」っていう子供をなだめすかして、コーヒーぶちこんでなんとか「社会人」って書いてあるスーツを着て、化粧をする。

満員電車で乗り合わせた人の顔を見ると、だいたい同じスーツを着て、同じ化粧をしてあるのがわかる。
たまに平日朝からちゃんと髪巻いてる綺麗なお姉さんとかいると、たぶん年下だろうに「このおねえさんすごいなあ」って、私の中の小学生の尊敬の声が聞こえる。
電車で寝てる人がいた日には、もう同士としか思えなくて、すごい共感しちゃう。

そういう目で自分の職場を眺めてみると、
休日遊び疲れて仕事どころじゃない人とか
家事に育児に大忙しで、心に余裕のない人とか
みんなそれぞれ「社会人」の面じゃない、プライベートを持っていて、それが仕事にも影響しているのがみえたりする。

みんな仕事の時間だけは「社会人」のスーツを着て、なんとかここにいるんだろうなあ。
あれ、社会人に擬態してるのって、私だけじゃない?

みんな、言わないだけで、ひょっとしたら私と同じくらい「社会人」やるの必死だったりする??

社会人である前に、私たちはただの動物である

おなかすいたら判断力は鈍るし、失恋や離別があったら仕事にならなくなるし、冬はねむいし夏はあつい。

社会人やってると「ちゃんと仕事ができる」は当たり前だと思ってしまうし、自分にもそのハードルを課してしまいがちだけど
社会人である前に、わたしもあなたもひとりの人間、動物である、
という当たり前の事実を忘れないでいたい。

その方が、社会人として、人にやさしくできる気がする。



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?