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人類がある限り「占い」は不滅!!


人類は太古の時代に、自然現象から観念的なことまでを、どうにかして伝え残そうと、文字という記号を創り出した。
その形成期の跡を現代に色濃く残す「漢字」という文字をモチーフに選び、私は創作している。
古代に生きた人間の感覚を抽象、概念化、凝結したものを、今一度、スライムのように解凍し、現代社会やそこに生きる私たちの精神世界の中に滑り込ませてみる。
そのスライムが纏わり付き、浮かび上がってきた形や線を、「書」として留めようと試みている。

この記事は、そんな一書家であり現代アーティストの日々の記録である。


「占」という漢字

今回の作品のモチーフとなる漢字は「占」です。

シンプルな文字ですが、これまた興味深い成り立ちを持っています。
「占」の上部の「卜(ボク)」は、亀の甲羅の裏側に縦長の穴をあけ、そこを火で炙って出来たひび割れの形象を表しています。
このひび割れの形で未来の吉凶を定めていたんですね。

そして下の「口」の部分は神への祈りの言葉を入れる器の形。

このような占いを行うことが出来たのは国の権力者だけで、その結果は神の意思(神意・真意)であり絶対的なものであることから、「占める」「独占する」という意味に使われるようになったのだとか。
「占い」は「まつりごと」「政治」そのものだったんですね。

陣地取り、縄張り争い

「占める」という言葉で幼い頃の「そろばん塾」を思い出します。

私は小学生の頃、家のすぐ近所にあったそろばん塾に通っていたのですが、その教室でそう大きくない横長の机に幼な友達と二人で隣り合って座った時、「真ん中からこっちは私で、そっちが〇〇ちゃんの場所」と一人心の中で確認します。

それなのに、なんと!友達がそろばんに夢中になっていくに従い、彼女の肘がこちら側に少しずつはみ出してくるではありませんか!
「ええーーーっ、私の場所狭くなってやりにくいやん、、」と私はもうそのことでもう頭がいっぱいになり、そろばんどころではなくなり、しかし大人しい一つ年下のその友達には悪気なく、ただそろばんを入れるのに一生懸命なだけ、というのもよく分かるので、何か文句を言うことも出来ず、全く集中できなかったことを思い出します。

幼いながらに、自分の陣地に侵入された気分だったんですね。(かっなりセコい!)

そして、今は秋、運動会のシーズン。
このnoteの記事を書いていると、風に乗って川向こうの小学校の運動会の賑やかな放送の声や音楽が聞こえてきます。

この子どもたちの健やかな様子を見物する微笑ましいイベントにも、親たちの激烈な争いがあるんですよねぇ。
自分たち家族の観覧席を確保する為、どれだけ朝早くに運動場に行き、前の方に広いシートを敷くことができるかの場所取り合戦です!(って、面倒くさがりの私は一度もやったことがありませんが、、)
しかし、今は行き過ぎ防止とかで、いろんな制約や決まりがあるみたいです。
でも、その情報をいち早く手に入れた人は上手くいい場所を確保できるのです。

そう自分たちの居場所をちゃっかり「占める」ことができるのです。

占いは未来予測

さて、話は「占い」に戻します。

迷信を信じる気持ちや、神を崇める信仰心は昔と比べ薄れたよう思われる現代ですが、それでも占星術や占いは廃れることなく、あらゆるところに占いのコンテンツは存在していますね。

新聞、雑誌、冊子、チラシと紙面がどれほど少なくなっても、占いのコーナーは必ず残るのだとか。
ホント人間は占い好き!
そういう私の一日も、毎朝7時、LINEに届くほんの数行程度の短い占いを読むことから始まります!(笑)

今日一日の運勢から遠い将来の事まで、人間、どうしても先のことを知りたくなるんですよね。

そうそう!余談になりますが、今やYouTuberとなられたオタキングの岡田斗司夫さんが『占い師の話』という著書で、古代のシャーマンから中世、近代を経て現代に至る占い師の変遷とその役割、みたいなのをとても興味深く書かれているので、よければ是非!
Kindleで無料で読めますので。

世の中には、占星術やタロット、辻占いなど、無数の占いがありますが、信憑性の高い?占いってだいたいが過去の膨大なデータから導き出されたものを咀嚼解釈した結果、だと言われていますよね。

そう考えると、科学技術やコンピューターが進んだ現代、世界の国々の情勢や経済・気候変動などにおいて、膨大な情報やデータ分析により導き出される「未来予測」は、現代の「占い」みたいなものかな、って思います。

作品『Occupy ー占』

そんな「占」という文字から感じて見えたものを筆と墨で形にしたのが、新作『Occupy ー占』です。


『Occupy ー 占 』
2022  紙・墨

【ステイトメント】

今や多種多様なデータや情報が、全人類に平等に開放されたようでもあるが、しかし、それらをいち早く手にできる種族はいて、それによって立てられた未来予測で、優先的に土地や株やモノやネットワークを占有していく。
その様は、王族が占いの結果を独占した昔とそう変わらないのではないか。

なんと欲深いことよ、と思いながらも遅ればせながらも自分の居場所や取り分を確保しようと足掻く、自らの浅ましさを思いながら、ひしめき合う「占」を書いた。

ひょっとして、未来予測のためのデータも・・・

こうやって、「知るものと知らざるもの」の違いが「持つものと持たざるもの」を生むことになるのは、どの時代も同じなのかもしれないなぁ、って思います。

ひょっとして「未来予測」は、予想でも占いでもなく、その前にれっきとした「大計画」があり、その方向の「未来予測」を立てられるよう、エビデンスとなるデータや情報は取捨選択、もしくは操作されているのでは?と訝しんだりしてしまうのも、さまざまな情報の見過ぎかもしれませんね。


ゆるゆるな感じの「Ocuqy」たち。

では、次のモチーフとなる漢字を、乞うご期待!


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