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どっちも諦めないために 優先順位をつける

働くことと、親であることと、どちらも選びたい自分は欲張りだろうか、と語る想いを、目にしました。

うーん、欲張りではないと思うんですけどね。

でも、欲張りかもしれない、って、自分の在り方への不安を感じる場面があるのは分かる気がします。
親である自分に対して、子どものことを、もっとちゃんと見てあげないとだめよ、とか、手をかけないとだめよ、って言わることもあるかもしれません。
また、職場では、子どもがいることで、周りに迷惑がかかっているんじゃないかと気を遣うことも多いだろうし、もしかしたら「困っているんだよね」って直接言われたことのある人もいることでしょう。

ただ、そういう状況は、「どちらか」を選んだとしても、変わらないと思うんです。

例えば、もし仕事をやめて、子どものためにかけられる時間が今よりずっと長くなったとしても、まだ「足りない」かもしれません。子どもに対して、どれくらい関わったらいいのかなんて、基準はないですものね。もしかしたら、子どもに手をかけすぎることで、逆に良くない場合もあるかもしれません。「これくらいがちょうどいい」という答えなんてないのだから、何とも分からないんです。

また、仕事に関して言えば、誰もが、それぞれに異なるプライベートがあり、個々に事情を抱えているはずです。子どもがいることだけが、周りの負担を増やす理由かどうかは分かりません。介護とか、自分の体調とか、学びたいことがあるとか、考慮してもらいたい事情は、それぞれにあると思うんです。そういう個々の事情も考慮して、それでも誰かに負荷が集中しないような仕組みが作れないうちは、個人が何かをあきらめたとしても、それだけで解決する訳ではないと思うんです。

働くことも、親になることも、どちらも諦める必要はないんじゃないのかな?と私は思います。ただ、諦めないからと言って、それまでと変わらずに、どちらも全力で向き合えばいいのか、と問われれば、そこは、ちょっとチューニングした方がいい。
つまり、どちらも諦める必要はないけれど、優先順位は決めた方がいいんじゃないかな、ということです。

私は、「働くかーさん」という立場になって、16年が過ぎました。
はじめての育休後、職場に戻って、時短で働き始めました。宿泊を伴う出張は全部無理、と、復帰の最初にお伝えしました。
時短勤務ではお給料は少なくなるし、出張が無理などと制約があれば仕事の評価だって低くなるかもしれません。それでも私にとっては、「働くこと」と「母であること」のどちらも諦めないために、「母であること」の優先順位を高く設定しておくのは、必要なことでした。いざという時の判断基準を、迷わなくていいからです。

復帰して半年過ぎた頃に組織変更があり、「新規開発」を担当する部署の所属になりました。メンバーは上司と私の2人。上司は、出張を伴う業務を全部担ってくれました。その代わり、出張先でのヒアリングと現地調査を元に、企画を作ったり、書類をまとめたり、事前準備をしたりするのは全部私が担当しました。作業量は多かったかもしれませんが、遠出ができなくても自分がちゃんと役立っていると思える作業分担はとても有難かったです。イヤな顔もしないで、外に出かける仕事を全部担ってくれた上司には本当に感謝していますが、普段から社内にいるよりも外で人と会うことの方が多い人だったので、彼にも向いていたのかもしれません。
総じて適材適所だったと思います。
正直に言えば、私も現地に行きたいと思うことは何度もありました。事前準備だけではなくて、現地の人に会ったり、子どもたちとのイベントの運営を手掛けたりしたかった。でも、我が子との時間と、仕事の時間と、どちらも諦めないために、その中の一部は手放す必要があったんですよね。

上の子が小学生になった時に、色々なタイミングが重なって、個人事業主になりました。個人事業主になった理由はいくつかありますが、その中の1つは、子どもに困ったことがあった時に、いつでも対応できる働き方がいいな、と思ったからです。

子どもたちは成長しましたが、私は今でも個人事業主として働いています。家で仕事をする時間が長いです。
夕方になれば、あぁご飯を作らなくちゃ、と思って、仕事を切り上げ、時間をかけて夕飯の準備をします。そこの優先順位は、変わらない。
子どもが体調の悪いことがあれば、仕事はキャンセルしたり、オンラインに変更したりして、家にいます。病気の時って、心細いですからね。
優先順位を決めているから、そこは迷わないです。それで失う取引があるなら、仕方ない。

男性も、女性も、人生において求められる役割(ロール)は、何種類もあります。働くこと。父であり母であること。介護の担い手。ボランティアグループの一員。もちろん趣味や遊びのコミュニティも。

自分が生きる上での肩書を、そのうちのどれか1つの役割だけに絞る必要はないと思います。結婚したから趣味を諦めなくてもいいし、子どもを授かったから仕事を諦めなくてもいいし、年を取ったから趣味を諦めなくてもいい。
ただ、いくつもの役割があるからこそ、優先順位は決めておいた方がいい。優先順位を決めるということは、場面場面においては、一部の何かを手放す必要もあるということです。でも、それは、役割全部をあきらめることとは全然意味が違います。

自分の複数の役割を全て諦めたくないからこそ、優先順位は必要です。時には何かを手放したとしても、それは、もっと大きなことを守るだめだと思っています。

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