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[政党紹介2023] 公明党ってどんな政党?

みなさんは現在、自民党と連立を組み、与党として国政に参加している公明党がどのような政党か知っていますか?本記事では公明党の基本情報や政策について解説していきます。

基本情報

参考資料: [1][2]

公明党は衆議院・参議院で3番目に多くの議席を保有しており、自民党と連立を組んで与党として国政に参加しています。また、公明党は1964年結党と、日本の国政政党の中でも長い歴史を有している政党であるということが分かります。

政党の変遷
公明党は長い歴史を持つ政党ですが、その長い歴史の中で、連立政権に参加したり、他党と合流したりしています。公明党に関する主な出来事の年表は以下の通りになります。 [3][4]

1964年:池田大作創価学会会長(当時)の発意によって公明党が結党される。
     (※1)
1967年:衆議院議員選挙で25人を当選させ衆議院に初進出。
1969年:69年の衆議院議員選挙では47議席を獲得し、国会の第3党になり、 
    政界のキャスティングボートを握る(※2)ことで、政党として大きく
    成長。
1983年:結党以来最高の59議席を衆議院で獲得。
1993年:衆院選では52名が当選し、同年に発足した細川連立政権に参加。
1994年:羽田連立政権に参加。
同11月 :羽田内閣総辞職後、公明党は、国会を中心に活動する「公明新党」
    と地方を中心に活動する「公明」の2政党に党を分割する「分党・  
    二段階方式」を取る。「公明新党」は新進党に合流し、一方で地方
    を中心に活動する「公明」は独自に活動を続ける。
1998年:新進党が解党し、2つに分かれていた「公明」と新進党に参加して
    いた勢力が合流、今につながる公明党が再結成される。
1999年:自民党、自由党、公明党の3党による連立政権が発足。
2000年:森内閣に、自民党、保守党と共に連立を組んで参加。
2001年:第一次小泉内閣に、自民党、保守党と共に連立を組んで参加。
2003年:第二次小泉内閣に、自民党と連立を組んで参加。自公の2党による
    連立となり、現在に至るまで、民主党政権期を除き、その2党によ
    る連立が続く。

公明党の変遷[3][4]

(※1)創価学会は仏教系の宗教団体ですが、公明党と創価学会の関係は、あく
  までも支持団体と支持を受ける政党という関係であるため、政教一致に
  はあたらないとの立場をとっています。この議論は既に国会の論戦の場
  でも決着済みであるようです。
(※2)キャスティングボートを握るとは、国会において2大政党の勢力が拮抗
  している際に、少数政党が、いずれかの陣営につくことで政局の動向を
  左右する状況の事を指します。

公明党と自民党が組んでいる、連立政権についてさらに詳しく知りたい方には、連立政権の仕組みや歴史などについて詳しく解説した以下の記事をおすすめします。

政党の主義主張
公明党の立党の精神は「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」です。公明党は、2022年参議院選挙の政策集において、
・全世代型社会保障の構築
・出産育児一時金の増額
・住宅手当などを通じた「住まいの保障」
・専守防衛の下、防衛力を強化
などの政策を掲げており、人間の生命や生活、教育、福祉、平和、といった概念を重要視する姿勢が分かります。 [5]

2022年参議院選挙における公明党の詳しい政策は以下のリンクから閲覧できます。

また、公明党は綱領で以下の方針を示しています。

一、〈生命・生活・生存〉の人間主義
二、生活者重視の文化・福祉国家
三、人間と自然の調和
四、人類益をめざす地球民族主義へ
五、世界に貢献する日本
六、草の根民主主義の開花と地方主権の確立
七、民衆への献身とオピニオン・リーダー

綱領の3では、環境汚染と資源枯渇から、地球を守ることが人類にとっての最重要の課題と位置づけ、エコロジーを重視する立場を示しています。
綱領の4では、核戦争や、国境を超える環境汚染の深刻化、エネルギー枯渇、人口爆発、飢餓、貧困などの地球規模の問題を解決するために、一国のみの利害に固執する国益という考え方から、地球益・人類益優先に切り替える必要を示しています。
綱領の6では、従来の中央集権体制を変革、地方分権を徹底し、地域の自主性・多様性を尊重し、地域と住民に関わる問題を自ら決定できるような、地方主権の確立を目指すことを示しています。
綱領の7では、理想の追求とリアリズムの徹底の姿勢を共に持ち、現実と理想の両立を図ること、そして「庶民の党」としての立場からいかなる社会であっても民衆側に寄り添うことを述べています。 [6]
このように、人間の生命や生活、教育、福祉、平和を重視する姿勢は綱領の中にも見て取ることができます。 [7]

特徴的な政策
公明党は教育や福祉、また平和政策を重視しており、それらの分野で掲げた政策を多く達成しています。

1奨学金制度の拡充
従来の日本の公的奨学金は、限られた学生しか利用できませんでしたが、公明党は奨学金拡充を進め、1998年3月の公明党提言をもとに第2種奨学金が発足、奨学金は希望者がほぼ全員借りられるものへと変化しました。その後も公明党主導で初の給付型奨学金が実現し、2018年度から本格実施されるようになりました。 [8]

2平和安全保障法制
2014年に集団的自衛権の行使が容認され、翌年に平和安全法制が成立しましたが、公明党の主張により、武力行使の「新三要件」が閣議決定に盛り込まれることになりました。

新3要件の概要は、日本への武力攻撃でなくても、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が、日本の存立を脅かし国民の権利を根底から覆す明白な危険がある場合、自衛隊の武力行使を認めるという内容。

公明党ホームページより引用 [9]

この要件があることで、日本は自国の存立と無関係な他国防衛だけを目的とした集団的自衛権の行使ができなくなる、と公明党は主張しています。 [10]

3軽減税率
消費税率が10%に引き上げられる際に、家計の負担軽減を目的として、公明党が主導し、一部の商品の税率がそのまま据え置きとなる軽減税率が導入されました。また最終的に、政府・与党内で当初議論されていたよりも広い範囲を軽減税率の対象とすることになりました。 [11]

他の政党との関係性
公明党と自民党は現在連立政権を組んでおり、公明党からは斉藤鉄夫副代表が入閣し、国交相に就任しています。選挙においても両党は協力関係にあり、相互に候補者を推薦したり、選挙区の調整を行ってきました。しかし今年に入り、公明党は、東京での自民党との選挙協力の解消を発表するなど、その関係に影が見えています(現在は東京での選挙協力を復活させることで合意)。また、公明党は憲法改正をめぐって自民党の憲法9条改正案に反対を表明するなど、両党は完全に立場を一致させているわけではないようです。
また、公明党は日本維新の会とかつて協力関係にありましたが、次期衆議院選挙では協力関係を解消し全面対決となる見通しです。これまで日本維新の会は、看板政策である大阪都構想実現に向けて公明党の協力を得るため、公明党の現職がいる大阪・兵庫の計6小選挙区で対立候補の擁立を見送ってきました。しかし大阪都構想が2度にわたって否決され、また日本維新の会が大阪市議会で過半数を握ったことで協力関係を続ける利点が少なくなり、関西における両党の「持ちつ持たれつ」の協力関係は解消に至ったようです。 [12][13][14][15][16]

支持層の特徴

公明党の地域別得票率 [17]

地域別でみると、公明党は北関東・近畿地方・中国地方・四国地方、そして特に九州地方で得票率が高いことが分かります。また、公明党は仏教系宗教団体である創価学会を支持団体に持ち、創価学会と公明党は支持団体と支持を受ける政党という関係にあります。選挙では創価学会の会員からの支持を得ており、他にも企業や団体、民間NPOまで幅広い層からの票を集めているようです。公明党は国会から市区町村の議員まで全国津々浦々に幅広いレベルで議員を持ち、国会議員と全国の地方議員が結ばれる、強いネットワークを保有していることも強みの一つになります。 [18][19][20]

参考文献・リンク
[1]衆議院.会派名及び会派別所属議員数.衆議院.2023‐11‐10.
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm (2023-12-03)
[2]参議院.会派名及び会派別所属議員数.参議院.2023-12-03
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/212/giinsu.htm (2023-12-05)
[3]
公明党.公明党の素朴な疑問.公明党.
公明党の素朴な疑問 | 公明党 (komei.or.jp) (2023-12-03)
[4]公明党.沿革/公明党について.公明党.
https://www.komei.or.jp/komei/history/ (2023‐12‐03)
[5]公明党.マニフェスト/参議院選挙2022特設サイト.公明党.
https://www.komei.or.jp/special/sanin2022/manifest/ (2023‐12‐03)
[6]公明党.綱領/公明党について.公明党.
https://www.komei.or.jp/komei/platform/ (2023‐12‐03)
[7]
公明党.新宣言/党概要.公明党.
新宣言 | 党概要 | 公明党 (komei.or.jp) (2023‐12‐03)
[8]公明党.子育て・教育こそ希望/TOPICS.公明党.
https://www.komei.or.jp/content/kyouiku2018/ (2023‐12‐03)
[9]公明党.防衛指針の見直し 新3要件の下、日米安保を強化.公明党.2014‐10‐13.
https://www.komei.or.jp/news/detail/20141013_15180 (2023‐12‐03)
[10]公明党.「平和の党」が金看板/TOPICS.公明党.
https://www.komei.or.jp/content/heiwa2018/ (2023‐12‐03)
[11]公明党.「大衆福祉」の推進力/TOPICS.公明党.
https://www.komei.or.jp/content/fukushi2018/ (2023‐12‐03)
[12] NHK.公明 東京で自民との「協力関係解消」決定 なぜ今回の事態に?. NHK.2023-05-25.
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230525/k10014077351000.html (2023‐12‐03)
[13]公明党.東京での選挙協力解消/ニュース.公明党.2023‐05‐28.
https://www.komei.or.jp/komeinews/p296802/ (2023‐12‐03)
[14] NHK.自民と公明 次の衆院選 東京での選挙協力復活で正式合意.NHK.2023-09-04.
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230904/k10014183401000.html (2023‐12‐03)
[15]毎日新聞.公明、自民の9条改憲案に反対表明 衆院憲法審査会で.毎日新聞.2023‐04‐20.
https://mainichi.jp/articles/20230420/k00/00m/010/261000c (2023‐12‐03)
[16]産経新聞.維新と公明、全面対決へ 次期衆院選で協力関係解消.産経新聞.2023‐06‐25. 
https://www.sankei.com/article/20230625-4HLN6TEHXZJFNBEWTRJJQINRJQ/ (2023‐12‐03)
[17] TBSテレビ.「10代と20代は圧倒的に自民党?!」「れいわを一番支持するのは東京の40代?」~データから見えてくる選挙の意外なリアル、投票する前にちょっとのぞいてみませんか?~. TBS NEWS DIG.2022-07-07.
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/88854?page=2 (2023‐12‐03)
[18]公明党.公明党の素朴な疑問.公明党.
https://www.google.com/url?q=https://www.komei.or.jp/faq/&sa=D&source=docs&ust=17 (2023‐12‐03)
[19] withnews.公明党ってどんな政党?創価学会との関係は…山口代表に聞いてみた.withnews.2021‐10‐18.
https://withnews.jp/article/f0211018007qq000000000000000W0fp10101qq000023786A (2023‐12‐03)
[20]公明党.ネットワークが公明の強み(上)/ニュース.公明党.2019‐02‐16.
https://www.komei.or.jp/komeinews/p21625/ (2023‐12‐03)


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