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さすらいの高レベルくん

原発の使用済核燃料を再処理するとできる究極の放射性廃棄物=ガラス固化した高レベル廃棄物のことを わかりやすく説明した絵本です 1996年に作ったものに すこしだけ 手をいれました 

さすらいの高レベルくん


どこへ行くのか さすらいの高レベルくん


げんぱつどん というかいじゅうを 知っていますか?
「ほうしゃのう」というどくを出す
たいへんきけんなかいじゅうです
(くわしいことは「かいじゅうげんぱつどん」
https://note.com/mie629/n/n657d0d7e21d1をみてね)
このげんぱつどんが たべのこしたエサは
とてもあぶないほうしゃのうのごみになります
日本のえらいおじさんたちは 
このエサの残りの中から まだ食べられるものを取り出し
もう一度げんぱつどんに たべさせようとしています


取り出すものは プルトニウム
耳かきいっぱいで 何百万人を ガンで死なせるという
地球(ちきゅう)でもっともあぶないどくのひとつ
核(かく)ばくだんのざいりょうにもなるし
何万年も 何十万年も ほうしゃのうを出しつづけます
プルトニウムを取り出すさぎょうは とてもきけんです
ほうしゃのうで空気や海をよごすし 
あぶないほうしゃのうのごみも たくさん出てきます
世界のほかの国は あぶないし お金もかかるし
「もう やーめた」といいました 
でも 日本は まだまだ やる気です


「どうして日本はやめないの?」 子どもたちは
えらいおじさんたちに きいてみました
「日本は資源(しげん)が少なくて、石油(せきゆ)や天然(てんねん)ガスも 外国(がいこく)から
買っています」
「プルトニウムは 日本でできる大切(たいせつ)な資源(しげん)」
「未来(みらい)の子どもたちに エネルギーをのこすためには プルトニウムが 必要(ひつよう)なんです」


「こどもたちのため」というおじさんたちは 
とてもあぶないプレゼントを 子どもたちにのこそうと
しています 
それが このお話のしゅじんこう 高レベルくん です
プルトニウムを取り出すとできてしまう高レベルくんは
身長(しんちょう)        約 134cm 
からだのふとさ(直径:ちょっけい)約  43cm
体重(たいじゅう)        約 500kg 
人が近づけば すぐにしんでしまうくらい ものすごく強いほうしゃのうを出しています


1995年4月 はじめて高レベルくんが フランスから返ってきました 
日本のげんぱつどんのえさの残りを フランスの工場で
ドロドロにし おそろしいプルトニウムを 取り出したあとの 高レベルくんです
返ってきた高レベルくんは 青森県下北半島六ヶ所村(あおもりけんしもきたはんとうろっかしょむら)というところにつれていかれました
六ヶ所村には 50年後 つまり2045年まで いるという約束になっていますが ちかくのひとたちは
ずっと六ヶ所村に おいたままにされるのではないか
いつか ほうしゃのうがでてきて 土や海を 汚すのではないかと しんぱいしています


えらいおじさんたちは
「高レベルくんは 2045年までに ちがうところにもっていって 300m以上の地下ふかいところに あんぜんにうめる」 と いっています
高レベルくんのほうしゃのうは 年がたつごとに 
だんだんへっていきます
でも何億(なんおく)年たってもきえないほうしゃのうも
あります
「1万年たっても まわりの水や土に ほうしゃのうが出てこないようにします」と えらいおじさんはいいます
でも 1万年の安全を おじさんたちは どうやってほしょうできるのでしょう
50年もしたら おじさんたちは みんな いなくなってしまうのに 

高レベルくんは じっとしているしかありません
今は 青森の六ヶ所村で そのあとは 日本のどこかの地下ふかくで みんなの めいわくにならないように
じっとしているしかありません
1万年って どんな長さなのか わからないので
1mmを 100年として えを かいてみました
今 高レベルくんがいる 六ヶ所村で 5千年ほど前の 
人々が くらしていたあとが みつかりました
石のナイフや 土器(どき)を つかっていた人たちです
5千年前の人たちのくらしは 土器や木のみ、貝などで 知ることができます
でも 5千年先の未来(みらい)のことは だれにもわかりません


1万年以上もの 長いあいだ 高レベルくんは みんなに めいわくをかけず じっとしていることが 
できるでしょうか
今 できることは これいじょう 
高レベルくんを つくらないこと
プルトニウムを とりださないこと
そして げんぱつを うごかさないこと
「こどもたちのために」というおじさんたちに
どうか 大きなこえで いってください
「高レベルくんなんて いりません」と

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