死生観を感じる①
ダブルケアで介護が始まったり、病気のケアをしていると「死」や「看取り」という言葉が頭をよぎることもあるのではないでしょうか。
「もしも余命があと半年だとしたら」
あなたはどうしますか?
もしばなゲーム
千葉県亀田総合病院の医師が先頭に立って創立した一般社団法人iACPによって作られた「もしばなゲーム」を体験してみました。
もしばなゲームの「もしばな」とは「もしものための話」
アメリカで終末期医療における医師・患者のコミュニケーション・ツールとして作成した「Go Wish game」を日本語にしたものだそうです。36枚のカードの中ら大切だと思うカードを通して、他の参加者と対話をして、自身の価値観を深めていきます。
今回、体験したのは私含め、3人で行いました。
〈私にとって大事なこと〉と〈人から見える大事そうなこと〉
最期の時「大切だと思うこと」をカードの中から1つ選んでみようということになりました。そして、そのまま発表するのではなく、せっかくだからお互いどんなカードを選ぶのか推測してみました。
自分自身で考えていることと他人から見えることは違うと思います。他の人から自分がどんなふうに見えているのかとワクワクしました。
私のターン
私が選んだカードは「いい人生だったと思える」でした。
他2人がいっせーので指さすと、2人とも「いい人生だったと思える」を指さしていました。周りに伝わっていたのがうれしいと思いつつ、どうして分かったのかな~と不思議に思っていると。
私自身、うつ病で未来が全く見えず「30歳まで生きれられるのか・・」と思い悩んだ時期がありました。希死念慮を感じ、実行に至る寸前までいったこともあります。様々な人と出会い、心理学や認知科学を学び、紆余曲折を経て、今に至ります。
そのプロセスの中で、今際の際には「いろいろあったけど、良い人生だったなー」と思えるような人生を歩みたいなと考えるようになりました。
1カ月前にAdvanceCareCommunicater(旧:看取り対話師)の研修を終えた時、うれしくて涙ながらに「良い人生だった」と最後を迎えたいと話をしたことが印象に残っているとのことでした。
覚えていてくれたことがとてもうれしかったです。そして何か大切なことを誰かに伝えたい時は、言葉にしていくことが大切だと改めて感じました。研修を終えた時にその話をしなければ、2人ともそのカードを指さすことは出来なかっただろうと思います。
Sさんのターン
30代の訪問看護師さん。初めてちゃんと会話したのは半年前くらいから。Facebook上でなんとなく存在は知っていました。
私が選んだカードは「家族と一緒に過ごす」
Kさんが選んだカードは「家族の負担にならない」
人との繋がりを大事にしているSさんだからそういったカードを選ぶかなと思ったところ。Sさんが選んだカードは「清潔さが維持される」でした。
出来るなら毎日お風呂に入りたい。
お気に入りのパジャマを着せて欲しい。
とても意外でした。今は当たり前にお風呂に入れているかもしれないけど、余命半年ともなると1人でお風呂に入ることは難しいかもしれません。
例えば、デイサービスに通ってお風呂に入るにしても週2~3回となるかもしれません。訪問看護や訪問入浴のサービスを使ってもその程度かもしれません。
Sさんが選んだカードを見て、思いを聞いていると「確かに~」とちょっと自分の中の意見が変わっていくような感覚がありました。
Kさんのターン
40代のクリニック勤務の看護師さん。
半年前に会ったのが初めてで、ミステリアスな雰囲気をまとった看護師さんでした。
私とSさんがどんなカードを選んだか忘れてしまいましたが・・
Kさんが選んだカードは「ユーモアを持ち続ける」でした。「祈る」と迷ったそうです。
ちょっと先に見て来るねー。
じゃあ行ってくるねーって笑って逝きたい。
私とSさんが選んだカードとは全くかけ離れているカードで意外でした。でも「笑って逝きたい」というのは、確かにそうかも、と納得するような、腑に落ちるような感覚がありました。
〈初めてもしばなゲームをしてみて〉
やる度に選ぶカードは変わるんだろうなと思います。状況や経験したこと、参加者が同じことはあり得ません。少しずつ、私たちは年を取っていきます。身体も少しずつ変わっていきます。経験を重ねていきます。
Aだと思っていたけど、やっぱりBだった。
ダブルケアという状態でも、〈もしも〉の時を考えて、私だったら?他の人はどうかな?と考える機会があると良いかもしれません。
また定期的にやっていきたいなと思います。
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