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いっぱい食べる人が好き

好きなタイプはなんですか?
このテーマで、友人と小一時間語れるほど盛り上がる。おばあちゃんになっても盛り上がることができる自信がある。

小学生の頃は、『ツンデレな人』と答えていた。
生意気だ。何がツンデレだ。
漫画『こっちむいてみい子』の主人公のクラスメイト・江口竜平くんの影響である。
普段はみい子をからかい、クールな振る舞いをするが、みい子が教室の花瓶を割った時自分がやったと庇ってくれたり、みい子が引っ越しすると知った際『会いにいくからよ』と涙を拭ってあげたりする、優しい一面を持っている。ちなみに、小5。
これがツンデレかあ、と当時小学生の私は未知なる遭遇を果たすのだった。
ツンデレ好き。そういう奴は、好きな相手からツンデレのツンの部分で打ちのめされて『もうツンデレはこりごりだ〜!』と泣いて街中を駆け回るのがオチだ。
実際、大人になるにつれて、『一瞬でも好きな相手から冷たくされたら悲しい』ということに気づき、ツンデレは架空の世界で楽しむことを知った。
ちなみに、今なら竜平くんより、彼の友人であるケンタくんの方がタイプだ。彼は性格に裏表がなく、真っ直ぐで、彼女のユッコを大切に思う気持ちを隠すことがない。

20歳そこそこの頃は、『かっこよくて、背が高くて、すらっとしてて、手がゴツゴツしてて、おしゃれで、POPEYE読んでて、音楽の趣味も良くて、suchmosとか車の中で流してて、コーヒーが好きで、美味しい飲食店をたくさん知っていて』とタイプというものが泉のように湧いて出てきたが、今はそんな人はいない、いたとしてもその人が自分にとって『いい人』なのかは別問題だ、ということを覚えたため、あまり気にしていないようになった。かっこよくて手がゴツゴツしてても、舌打ちばかりしてモラハラで煽り運転されたのでは困るし。

現在は、もしタイプを聞かれたとしたら、『優しくて、穏やかで、ご飯をいっぱい食べて、早くしてって言わない人』こう答える。
優しい、穏やかは絶対条件だ。むしろ、これらを拒む人はいないだろう。早くして、と言われたい人も恐らくいないだろう。私は特にマイペースのため、プライベートで急かされるようなことを言われたら必要以上に傷つく。
つまり、私のタイプは、『ご飯をいっぱい食べる人』になる。これって、呪術廻戦に出てくる灰原と全く同じじゃないか。
ご飯をいっぱい食べる人が好き、というひと言に『食を一緒に楽しみたい』という真理が隠れている。デートの時に『ここに行きたい』と提案してくれたら嬉しいし、休日に一緒に夕飯の支度をするのも楽しい。餃子とか、ロールキャベツとか、一緒に包んで、下手だなって笑われたい。
昔のタイプに挙げていた『美味しい飲食店をたくさん知っている』は、ここから来ているのだと思う。
もし食に興味がない人なら、楽しさは半減するだろう。なんでも美味しそうに食べる人がタイプ。26歳の時点でこれって、小学生のませた時代の私が見たら、幻滅しないかな。

周りの友人と、タイプについて話すと、決まって『でも、よくわかんないよね』といった着地で終わる。条件とも違うし、タイプだからと言って好きになるとも限らないし。よくわからなくなるのは、タイプが全てではないことを知ってしまったからだ。

学校や職場など、日常生活において自然と出会い、自然に相手の内面を知ることができれば、自然と好きになるだろう。しかし、SNSやマッチングアプリでの出会いだと、『知りたい』と思ってもらえないと会えないのだ。それに、一度会っただけで、たかが数時間で、自分の良さを伝え切るのは難しい。逆も然り。数時間で、相手の良さを全て知り尽くすのは不可能だ。
アプリって、そういうところが嫌だ。まるで物件探しの様に、条件を並べ、ちょっとでも欠点を見つけたらお断りする。この物件、2階以上で日当たりいいし築浅だけど、キッチンが狭いよね、みたいな。

どんな人のタイプですか?
いっぱい食べる人です。
そして、私の鈍臭いところや詰めの甘さ、打たれ弱い部分を受け入れてくれる人です。
そんな人いるのかな。いないだろう。いないから、自分の欠点を直そうと思う。

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