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【短歌&エッセイ】恐竜と約束
普段、文通を一ヶ月おきに交わしている人が手紙の中でこう告げた。「偶然にも今度、万里コさんの住んでいる土地で仕事をすることになったので良ければ会いましょう。」
その文通相手の彼とはかれこれ二年ほど文通をしていて、ありとあらゆる話題について話してきたけど「実際に会うこと」についてだけは暗黙の了解でお互いしないものだと思っていたゆえに、まるで週末のカフェに誘うかのように突然さらりと告げられて、およよと
【短歌&エッセイ】ライブハウスとケーキ
誰かを一方的に見つめることが許されているとライブを観る度に思う。その代わりにぜったいにつまんない顔をしてはいけない気がしてしまう。ステージからわたしの顔がはっきりと見えているとは思わないが、ライブハウスの大小にかかわらず、あなたの音楽に魅了されていますという顔でステージをまっすぐに見つめていないと自分が許してくれないときがある。ほとんどの場合、心から魅了されているのだが、その日の体調や気分、曲をそ
もっとみるワールドスタンダード、デビュー前の3作品が40年の時を経て、デジタルリマスターで初CD化!
今年と来年がデビュー40周年イヤーとなる、鈴木惣一朗率いるワールドスタンダード。そこで6月5日(水)、ワールドスタンダード(略称:ワルスタ)がデビュー前の1982年から84年にかけて、カセットテープのみでリリースした幻の3作品がCDリイシューされます。いずれも40年の時を経て、本人監修の元、デジタルリマスターされています。
鈴木惣一朗が「エブリシング・プレイ」名義で残したアルバムのリマスター音源
エイドリアンの死について。最愛の友、兄弟、師に想いを馳せる。
修理工の待合室で半分目を覚ましたまま座っていた。この2か月の間に4度目のことだ。顧客と部品の注文を取り扱うフランシーヌは、おそらく店で唯一の清潔な手を持つ従業員として、他の仕事についても責任を持っていたが、私たちの椅子の間でペレットストーブを修理しようとしていた。私は窓際の手指消毒剤のボトルと点火用のライターを彼女に手渡した。先週の記録的な嵐の雪は、外の街灯の下で粉砕されたウィンドウガラスのように
もっとみる【短歌&エッセイ】また会えました
音楽に出会ったきっかけは中学1年の終わりか2年の始めくらいにラジオで流れたSEKAI NO OWARIの『虹色の戦争』という曲を聴いたことがきっかけだった。それから10年以上が経ち、たくさんの音楽に出会い、たくさんの音楽を聴いた。その中で聴かなくなった音楽もたくさんある。中学生の頃から、まだ世間では知られていない音楽を探すことも好きだった私は本当にたくさんの種類の音楽を聴いていたと思う。新しい音楽
もっとみるHACOへのロングインタビュー!生い立ち、作曲への初期衝動、アフター・ディナー結成からソロまで、その軌跡を辿る
アヴァンポップ・グループ、アフター・ディナー(After Dinner)やホアヒオ(Hoahio)での活動が世界的に注目されている、音響系ミュージシャン、HACO。音楽活動を開始した80年代初頭から現在に至るまで、ソロ・コラボレーション問わず、数々のプロジェクトを展開し、近年はサウンドアートの文脈でライヴ・インスタレーションやレクチャー、ワークショップも精力的に行うなど、活動の幅を広げています。
もっとみる【短歌&エッセイ】ふくよかな娯楽
歌舞伎を観てみたいなあ。と思いつつも、チケットを取るのはなんだか難しそう…となかなか行動に移せずにいた私の耳に朗報が入る。市川海老蔵改め、市川團十郎さんの襲名披露と、その息子にあたる市川新之助さんの初舞台公演が2週間にわたって名古屋の御園座で執り行われるらしい。しかもネットで調べたところ、通常なら一万円以上するチケットが学割でなんと三千円で観劇できてしまうらしい。学割史上、いちばんテンションの上が
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