「思考の整理学」外山滋比古

要約:整理とは、その人のもっている関心、興味、価値観によってふるいをかける作業にほかならない。整理するためには、忘れることが必要である。そして、真に創造的になるには現実世界に根ざした思考が必要である。


「思考の整理学」は自分の頭の中のとっ散らかった思考を整理したいと思って読んだ。
外山さんははじめに、情報収集の仕方を教えてくれた。

何を何のために調べるのかを明確にしてから情報を蒐集する

確かに、本を読む時など無目的に読み出してはなかなか頭に入らない。目的を持って読むのが大事だと思う。

話の初めにグライダー人間と飛行機人間の話が出てきたが、周りの力がないと飛べないグライダー人間を否定している訳ではなく、グライダーにエンジンをつけて飛行機にできるようにする必要があるといっていた。グライダーのままでは、コンピュータに仕事が奪われてしまうとも。

では一体どうしたら良いのだろう。

それに対するヒントもこの本の中には散りばめられていた。

忘れるのは価値観にもとづいて忘れる。おもしろいと思っていることは、些細なことでもめったに忘れない。価値観がしっかりしていないと、大切なものを忘れ、つまらないものを覚えていることになる。これについては、さらに考えなくてはならない。

価値観がしっかりしていないと、自分にとって大切なことを忘れてしまう。だからできるだけ早い段階で価値観を確立させることが大切なのだ。

仕事をしながら、普通の行動をしながら考えたことを、整理して、新しい世界をつくる。これが飛行機型人間である。日本人の知的訓練が、すでにのべてきたように、他者に引かれてはじめて動き出すグライダータイプであったことが、第二次的現実の中での知的活動のみを認める傾向となっている。
 汗のにおいのする思考がどんどん生まれてこなくてはいけない。それをたんなる着想、思いつきに終らせないために、システム化を考える。それからさきは、第二次的現実にもとづく思考と異なるところはない。真に創造的な思考が第一次的現実に根ざしたところから生まれうることを現代の人間はとくき肝に銘じる必要があるだろう。

飛行機型人間になるには第二次的現実(頭の中で考えた現実)だけではなく、第一次的現実(物理的な実際の現実)に根差した思考をすること。また思考するだけではなく、システム化し、リアルの世界で新しいものを作り出していくことが大切なのだと思った。

デザイン思考などでも、実際に手を動かすことが大事だと言われているし、学校で言われているアクティブラーニングもまさにこのことだと思う。
私の好きな落合陽一が行なっていることなんかはまさにこれである。

外山さんはこれからの時代の仕事についても言及している。

ただ、これからの人間は、機械やコンピュータのできない仕事をどれくらいよくできるかによって社会的有用性に違いが出てくることははっきりしている。どういうことが機械にはできないのか。それを見極めるには多少の時間を要する。創造性といった抽象的な概念を振り回すだけでは仕方がない。

技術の進歩によって人間が行なってきた仕事の多くが機械化された。そのことを「人間は自分が作った機械に仕事を奪われる」と表現していたが、では、機械やコンピュータではなく、人間が行う仕事は一体なんなのか?

創造性が求められている世界で、創造性という抽象的な概念だけを振り回すのではなく、もっと具体的な、第一次現実に根差したなにかを考えなくてはいけない。

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