振り返る【#シロクマ文芸部】

振り返ると、

あれ？
何もないんじゃない？

何もないことはないはず。
私は、あんなにがんばって生きてきた。

ちゃんとしていた。

学生時代はクラブ活動に明け暮れて、華やかな賞をもらえたこともあった。
人並みにお金も稼いだし、家庭も持った。
友人もいた。

好きなこともやった。
海外旅行に何度も行ったし、人から多趣味だと言われるほど、色んなことに興味を持って、日々それを楽しんだ。

そんな私だったのに、振り返ると、何もない？

そんなバカな。。

誰かがいう。

無いよ。
何かあると思ってたのは気のせい。
ほら、あると思うんなら見せてごらん。

私は自分の手帳を出した。

カレンダーに予定が書かれている。

ほら、こんなに書かれてるじゃん。
毎日予定入ってたよ。

また、誰かがいった。

でも、今無いじゃん。

家族や友達も、私のこと知っているよ。
私のことを好きだと言ってくれる人もいる。

でも、今ここにいないじゃん。

そんなこと言い出したら、本当に何にもなくなるよ。
生きてる意味もなくなる。
屁理屈って言うか、戯言。
そんなことに付き合いたくない。

それでもいいよ。
できるかな？

突然、何か変なスイッチが入った。

私の中から色んなものが消えていった。
掃除機に吸い込まれるように、しゅるしゅるしゅる〜、と吸い込まれて。

消えていった。

しばらくすると、

ナンニモナクナッタ。

ココハナニ？

無であって、有。

ソウイウコトカ。

感覚の中で理解する。

どうする？
選べるよ。

そんなこと言われても。

こっちは孤独なんじゃ？
いや、あっちの方が孤独か。。

こっちは大変なんじゃ？
いや、あっちの方が大変か。。

こっちは心配？
いや、あっちの方が心配か。。

今決めなくてもいいよ。

そうなの？

うん。
好きなタイミングでどうぞ。
早い方がいいとか、遅い方がいいとかも無いから。

ふ〜ん。
決めたらどうなるの？

始まりも終わりも無くなるよ。

幻想になるんだね、全部が。

分かった。
ありがとう。

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シロクマ文芸部の企画に参加しました😆

小牧幸助様
素敵な企画をありがとうございます✨✨✨

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