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私に季節を教えてくれる小さな和菓子屋さんとおはぎ獲得までの道のり


町の小さな和菓子屋さんが好きだ

取り立てて特別なものが置いてあるわけではないけど、お寺が近いことと茶道教室が近くで開かれていることから
春夏秋冬をイメージした練り切りと季節の和菓子、そして普通サイズより1.5倍くらいの大きなどら焼きなどが売っている。


和菓子職人である店主のお父さん、そしてご家族はいつも誠実で穏やかだ。

このお店は朝一番に買いに行くと作りたての和菓子が食べられる。

以前、つくりたてのみたらし団子を買って食べた時はあまりのおいしさにびっくりした。

ほのかにあったかくてびっくりするくらいモチモチしていてものすごくおいしかった。

あんまりにも感動してそのことを伝えると「本当はいつも同じおいしいものをだせればいいのだけど、まだまだ腕が未熟で…なかなか同じ味は作れないんです。」と恥ずかしそうにおっしゃられた。

店主のお父さんはご高齢だが、真面目で謙虚で努力家だ。

台風で停電を数日間経験したときも、電気が復旧して最初に始めたことはあんこ作りだったらしい。

必死でがれきの撤去や復旧作業している人たちにふるまいたいのだと作り始めちゃったのよ、と接客担当の娘さんが笑いながら教えてくれた。


何年、何十年と同じ作業を繰り返して、飽きることなくその仕事に日々誠実に向き合うことは簡単なことじゃない。


自分ももっと仕事とかいろんなことに誠実に向き合わなければとおいしい和菓子を食べながら
私もその謙虚さをおすそ分けしてもらうような気持ちになる。


お彼岸の入りが近づくと私はソワソワし始める。今年は何個おはぎを買おうかな?

我が家の父と母は和菓子が大好きだ。
とくにおはぎは大好物で仏壇にお供えするやいなやすぐに自分たちも食べ始めてしまう。

お昼ご飯前だろうが関係ない
むしろ「これがお昼ご飯でいいからもう1個、いや2個食べてもいい?」なんて聞いて来る始末だ。

買ってくる数を間違えるとお彼岸の入りの日におはぎが全滅してしまう。

あと血糖値が上がって病院で怒られるので父は一度に2個食べるのは控えてほしい。


さてさて問題はこしあん、つぶあん問題だ。

私の大好きなこの和菓子屋さんはお彼岸に入るとこしあんとつぶあんのおはぎしか売らない。

私はつぶあんが好きなのだが、均等な数を買っていくとだいたい食べられない。
家族の誰かが必ずつぶあんを多く食べてしまうのだ。

小さな問題なのだけど、食べ物の恨みは怖い。
放っておいたら「誰がこしあんorつぶあんを多く食べたのか?」と犯人探しが始まってしまう。
そして迷探偵の推理で犯人はおすそ分けされた飼い犬になっていた。とばっちりもいいところである。

ならばとすべてつぶあんのおはぎにしてみれば、やっぱりこしあんも食べたかったといわれて、結局もう一度買いに行くことになった。和菓子屋のお姉さんに笑われてしまった。

そうした経験から最近はこしあん:つぶあん=4:6 の割合で買うことに落ち着いている。

おはぎを買う数と割り合いが大体決まったところで、次はおはぎを買いに行く準備と時間だ。

この和菓子屋さんは彼岸入りの朝は大変混み合う。そして午前中に売り切れてしまうこともある。

少し小さめなおはぎ
そして甘さが控えめなのでパクパク食べれてしまう。


なのでみんな大量におはぎを買うのだ。


「こしあん5個とつぶあん5個入り3箱」とか「つぶあん8個入り2箱」とか家族や知り合いに頼まれた分といって買っていく。

私はいつも早めに予約して、11時近くのお客さんの波が引いたころに買いに行くようにしているのだけど、今年はバタバタしていて、なんと予約を忘れてしまっていた!

買いに行ったときはつぶあんは完売でこしあんも残り少なくなっていた。

予約してないとお客さんと「あなた何個買います…?」なんてこそこそ話し合っていたら、奥から「まだ残っているから大丈夫ですよ!」と笑いながら娘さんが声をかけてくれた。

つぶあんはなかったものの無事にこしあんのおはぎを10個、買って帰れた。

姉がくれたルピシアのほうじ茶と一緒に。


お仏壇におはぎをお供えして心底ホッとする。

おいしいですか?今年はつぶあんのおはぎは買えませんでした。

父と母がおはぎ食べ過ぎないように夢枕にでも立ってちょっと注意してやってください。

そんな事を祖父や祖母・ご先祖様と心の中で語り合いながらおはぎを食べて、お茶をすする。


お彼岸が終わればお花見客の為に今度は桜餅と草餅が和菓子屋さんに戻ってくる。

そして桜が散れば柏餅。
そうするともうGWがあっという間にやってくるということか。
はやい、時間の流れがはやいなあ。


ああ、今度は何を買いに行こうかといまから楽しみだ。

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