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知っているようで知らないキーワードNo.1「スタートアップ」って何ですか?

先日、ピッチイベントで登壇企業から「スタートアップって何ですか?」とご質問を頂き、スタートアップの共通認識が無いことに気が付きました。
民間企業はもちろん国や自治体・大学もスタートアップ支援やオープンイノベーションに乗り出して随分経ちますので、充分理解している方も多いのですが、定義が曖昧なのでお互いの共通言語になっておらず、その結果、ちぐはぐなプログラムや支援策を展開しお互いに無駄な時間を過ごす結果になっているケースが未だに見受けられます。本noteはスタートアップ支援やオープンイノベーションの担当になったばかりの方の基礎知識となることを目的に浅く広くご説明するものです。


スタートアップの定義

①広義のスタートアップ=「起業」全般
②狭義のスタートアップ=短期間に急成長を目指す企業


スタートアップというとき、①と②の2つの意味で使われていることがあります。この認識がずれていると、
・ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達したいから相談にのって欲しいと言われ話を聞いてみたらスモールビジネスだった
・スタートアップイベントだと聞いて参加したら、地元の中小企業が登壇していた
・「広義のスタートアップ」を育成しているのにVCとのマッチングを成果に据える自治体
といった、行き違いが起こります。

「広義のスタートアップ」の場合、急成長を目指すスタートアップや中小企業(スモールビジネス含む)、ソーシャル系、個人事業主・・・と、その形態はさまざまです。
一方、「狭義のスタートアップ」の場合は主にベンチャーキャピタル(VC)の皆さんがイメージしているスタートアップになり、短期間で急成長を目指す企業を意味します。
事業の形態に応じて成長のプロセスや、とるべき手段が異なります。ターゲットとする市場規模が異なれば、戦略が変わり、資金調達方法も異なります。狭義のスタートアップの特徴については以下のとおり書かれていますのでご参考に。

スタートアップとは何か?

以前(古くなってしまいましたが)、内閣府イオープンイノベーション担当 企画官(当時)の石井芳明さんにお聞きした際、スタートアップとは「新規性」と「成長性」を備えた企業であり、成長性に関してはファイナンシャルとソーシャルインパクトの両方があるとのことでした。詳しくはご登壇頂いたyoutubeをご覧頂ければと思います。

スタートアップとスモールビジネスの違い

広義のスタートアップ(≒起業)は大きく分けて「狭義のスタートアップ」と「中小企業・ベンチャー」の2つが含まれています。

図2スタートアップのベン図
起業の種類

どのように成長するのか?
スタートアップは短期間に急成長するモデルと言われjカーブの成長曲線を描くのも特徴です。何らかのイノベーションを有するスタートアップは初期は商品・サービスの開発やマーケットの開拓が続きますので最初に赤を掘って、そこから一気に成長する、ということです。
一方、中小企業・ベンチャーは、商品の販売やサービスの提供等掛けたリソース分収益が積み重なりますので、得られた収益を元手にリソースの拡大を図ることができ、リニアな成長線を描くことになります。

図3プロセスの違い
成長プロセスの違い

誰からどうやって資金を調達するか?
こうした成長の違いは、資金調達の方法にも影響があります。狭義のスタートアップの場合、不確実性が高く、何等かの担保をもってお金を借りることができませんので、エンゼル投資家やVC等外部からのリスクマネーを集めエクイティにより資金を調達することになります。内閣府が推進するスタートアップエコシステム拠点都市施策では便宜上エンジェル投資家を含むエクイティファイナンス(株式による資金調達)を行っているかどうかをスタートアップの条件としているとのことです。
一方、中小企業・ベンチャーは、金融機関や投資家からお金を借り入れることで資金を調達するデット・ファイナンス(借金・負債)、公的融資などを活用します。こうした企業のうち、必ずしも規模は大きくないが優良な企業をスモールビジネスと呼ぶようになりました。

成長ステージと資金調達

スタートアップの成長段階は「ステージ」で表現されます。ステージごとに経営上の検討すべき点等がことなりますので、成長段階を理解しておくことも重要です。

スタートアップ企業の成長ステージ

GLOBIS CAPITAL PARTNERSさんが分かりやすく解説されてますので、そちらご覧ください。
スタートアップの成長ステージ | COMPASS by Globis Capital Partners

皆さんがよく聞くのは、成長ステージに応じた投資ラウンド(資金調達ラウンド)になるかもしれません。投資ラウンドも事業領域や成長状況によって企業ごとに異なります。

投資ラウンドイメージ

こちらは東大ICPさんが分かりやすく解説してくれているのでそちらを読むのが良いと思います。
投資ラウンドとは?スタートアップが知っておくべき資金調達と注意点 | コラム | 東大IPC−東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 (utokyo-ipc.co.jp)
起業LOGさんも分かりやすく解説されておりますのでご参考
投資ラウンドとは?資金調達金額の相場・特徴を表で解説! - 起業ログ (kigyolog.com)

さいごに

国としては将来的にユニコーン企業(起業10年以内で評価額10憶ドル以上の非上場のテクノロジー企業)100社を目指してスタートアップ施策を推進しています。政府方針については、令和4年度に閣議決定された「スタートアップ育成5か年計画」sdfyplan2022.pdf (cas.go.jp)を見るのが良いと思います。

また、見ておくと良いと思うものリスト化しておきます。

ICTスタートアップ支援センター | 事業計画作成とベンチャー経営の手引き | NICT-情報通信研究機構
↑かなり古いですが、全てが凝縮されていると思います。

一般財団法人 ベンチャーエンタープライズセンター VEC|ベンチャー白書
↑ベンチャーについて趨勢をみたいならベンチャー白書を眺めておくのが良いと思います。

経済産業省「スタートアップ支援策一覧」
20220621001-d.pdf (meti.go.jp)
↑政府のスタートアップ支援策が網羅的にまとめられています。

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