見出し画像

原書購読:Alice’s Adventures in Wonderland『不思議の国のアリス』


『不思議の国のアリス』の表紙

 このページは、『不思議の国のアリス』原書購読の紹介だ。ジャパ・アニメ調の可愛いイラスト付きで、『鏡の国のアリス』も入っていて、お得な本だったりする。英語で読みたいが、長くてモチベーションが保てない人向きかもしれない。なお原文は変わらない。そのままだ。
 イラストが特徴だが、元の挿絵も意識した構図も多く、中々凝っている。

 言語:イギリス英語
 表題:Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking Glass
 著者:Lewis Carroll (1832~ 1898年)
 出版社:Seven Seas
 発行年:2014/8/19(初版は1865年)
 ページ:320
 イラスト:Kriss Sison
    金額:¥1,798(2018年5月18日)

 ちょっと古くて、四行詩(quatrain)も多く出て来るイギリス英語だ。と言っても、読めない程ではないが、易しいとも言えない。原文は変わらずで、現代的なイラストで飾られた素敵な本だが、もはや子供向けの英語でもないので、大人が童心?に帰って読む本になっている。
 

アリスと黒猫?


 中表紙に張った付箋に寄ると、04,09,2018とあるので、読んだのは5年前だ。実はあんまり覚えていない。イラストだけ脳裡に焼き付いていて、あとはやたらと出て来る変な四行詩だ。脚韻配列は「abab」型が多かったような気がする。意味よりも音を楽しむ感じか。
 この辺りはヴィクトリア朝の文学と関係があるかも知れないが、よくは知らない。
 
 内容は、Spirited Away系で、神隠しに近い。子供が世界の歪み、時空の揺らぎを見つけて、異世界・別世界に迷い込む。そこでは、ヘンテコな存在と出くわすのが常だ。
 有名なのが、Cheshire cat(チェシャ猫)だろう。この猫は人の言葉を話す。化け猫の一種か。Humpty Dumpty(ハンプティ・ダンプティ)も有名だ。「aabb」型の脚韻の四行詩で登場する謎のたまご?人間だ。他にもトランプの兵隊とか出て来るが、これはもう妖怪の世界だろう。


Humpty Dumpty(ハンプティ・ダンプティ)

 日本も妖怪が多い国だが、イギリスも妖怪が多い国だ。同じ島国で、どちらも空気とか、霧に覆われて、人々が惑わされている。島の人々を支配する大気が存在する。こういう土地には、不思議な話が発生しやすい。『不思議の国のアリス』が誕生する土壌だ。

 原作者のルイス・キャロルは、数学・論理学が本業らしいが、今ルイス・キャロルと聞いて、学者と思う人は殆どいないだろう。Charles Lutwidge Dodgsonが本名で、Lewis Carrollはペンネームだ。学者としては、チャールズ・ドットソンの名前で活動していた。記号論理学の本も書いている。アリストテレスの三段論法を独自に解釈したと聞く。
 この人は、写真好きで、幼い少女の写真ばかり撮っていた。しかもギリシャ風の衣装や、中華風の衣装を着せていた。ロリコンでコスプレ好きだったのかも知れない。ヌード写真まであったと聞くから、少女たちの親からクレームも出ていた。ま、時代だろう。


ナポレオン式に自ら女王に戴冠するアリス

 1862年7月4日、チャールズ・ドットソンは、友人とリデル3姉妹で、川にピクニックに行った。そこで『不思議の国のアリス』の原案を思い付いた。モデルとなったのは、三姉妹の次女アリス・リデル(1852~1934年)で、彼女にせがまれて、物語を書く事になった。愉快な話だ。
 なおチャールズ・ドットソンには、子供友達が、常にいたらしい。これは恐らく彼の秘密と関係がある。この子供友達が創造の泉になっていた可能性が高い。
 
 

扉絵の一枚

 とまれ、素敵な本なので、ご一読を!

                                                                                                     原書購読:001




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?