見出し画像

L-フェニルアラニンを含む旨

食品の栄養成分表示や一括表示といったものについて調べてきましたが、特殊な例を一つ見つけました。それは、「L-フェニルアラニン」という物質については別の決まりがあるというものらしいということです。いったいどういうことでしょうか、そして「フェニルアラニン」ってどんな物質なんでしょうか。

まずフェニルアラニンという物質についての話です。

フェニルアラニンという物質はアミノ酸の一種で、人間にとっては「必須アミノ酸」と呼ばれるほど重要な物質の一つです。アミノ酸ですから食品として摂取する物の中ではたんぱく質に多く含まれています。

体の中での役割としては、筋肉などのたんぱく質を作る材料となりますが、他にも重要な役割を受け持っています。

まず、神経伝達物質の材料になります。フェニルアラニンは肝臓で代謝されてチロシンという別のアミノ酸に変換されます。このチロシンという物質が、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンになるんです。ノルアドレナリンやドーパミンって、よく耳にする物質ですよね。これらの物質は脳に興奮をもたらしりたり快感を起こしたりします。つまり、脳が活性化しやすくなるので、物事に対する集中力がましたり、意欲が向上したりする、そんな効果が期待できる物質の材料になるんです。

また、これらの物質は脳の働きを活発にさせることから、反対の状態である抑うつ感のような感情などが軽くなっていくという効果もあるようです。

他には、慢性的な痛みを伴う疾患、例えばリウマチや神経痛、偏頭痛といった疾患で、その痛みを和らげる効果が認められています。これは、フェニルアラニンがエンドルフィンを生成させたり分泌を促したりする働きがあるからとされていて、実際に鎮痛剤には成分として含まれているとのこと。ちなみにエンドルフィンとは別名「脳内麻薬」といった名前が知られていて、幸福感を高めたりする物質です。

他にも、白斑の治療での使用されているとのことでした。

それじゃ、いったい何が問題なのかという事になりますが、実は大きな問題を抱えている物質でもありました。

先ほど、フェニルアラニンは肝臓で代謝されてチロシンという別のアミノ酸に変換されることを書きましたが、人によってはこのチロシンに変換するための酵素が生まれつき弱いということがあります。そのために、体の中にはフェニルアラニンは溜まっていくのにチロシンに変換できなくて、チロシンが欠乏した状態になってしまうという事態になってしまいます。

このような状態を「フェニルケトン尿症」という名前で呼んでいて、先天性の疾患となっているんです。症状などについては省略しますが、発生頻度は8万人に1例ほどとのことで、危険因子といったものは見当たらないようです。また、このフェニルケトン尿症は難病にも指定されているとのことでした。

こういった人がいる以上、口にする食品については厳重な注意が必要になります。ここで本題の食品の表示の話題に戻りますが、こんな話があるなら、その食品にフェニルアラニンの化合物が含まれているかどうかを判断できるような表示が必要になってきますよね。

記載がなければフェニルアラニンの含有量は問題視しなくてもよい程度の量だと判断してよいでしょう。どんな食品が問題になるかというと、人工甘味料のひとつである「アスパルテーム」が対象になります。

一括表示として「人工甘味料」とだけの記載であったとしても、アスパルテームを使用している場合は「L-フェニルアラニン化合物を含む」というような、判断しやすい表示をしなければなりません。なぜなら、フェニルケトン尿症の人は、低フェニルアラニンの食事が必要だからです。とくに小児や幼児の場合、注意が必要です。

フェニルアラニンは特別の注意を要するものですから表示が必要なことに加えて、もしも体調に異変を感じたりした場合はすぐに医師に相談すべきことなどについても、記載しておく必要があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?