佐原耕太郎
1951年生まれ。若い頃から書籍の制作や校正に携わっていました。いまは永田町近辺での仕…
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『死なれちゃったあとで』ノート
前田隆弘著
中央公論新社刊
書店で平積みにされたこの本を見つけ、書名に惹かれて手に取った。著者の名前はこれまで聞いたことがなかった。
著者の大学時代の後輩のDが、身近な人あての簡単な感謝と謝罪の言葉を綴り、最後に「情けない人生でした」と書き残して自死した。残された両親が、「もう息子のことを思い出す人間は誰もいない、忘れられた存在だ」というふうに残りの人生を過ごしていたらいやだなと思い、著者
『名場面の英語で味わうイギリス小説の傑作』ノート
斎藤兆史 髙橋和子 共著
NHK出版
「英文読解力をみがく10講」という副題が付いている。
有名なイギリスの小説10編を時代順に取り上げ、その名場面の原文を英文法に則って精読し、原作者の緻密に工夫された表現を理解するためのガイドブックになっている。
取り上げられている作品は、順に『高慢と偏見』(ジェイン・オースティン)、『オリヴァー・トゥイスト』(チェールズ・ディケンズ)、『ジェイン
『限界分譲地』ノート
吉川祐介
朝日新書
30年以上前の話だが、懇談の席でスキー愛好家の友人から、越後湯沢のリゾートマンションを購入し、家族や友人家族を連れて毎年スキーに行っているという話を聞いた。マンション内には温泉大浴場もあり、スポーツジムもありで、ホテルの予約をする必要もないので、いつでもスキーができると自慢していた。一度しかスキーをしたことがない筆者には縁遠い話であった。
その彼も歳を重ね、以前ほどスキ