見出し画像

9週の壁を越えるまで②

※不妊治療中で辛い方、食事中の方は閲覧を控えることをお勧めします。

長くて辛い不妊治療の後に赤ちゃんを授かって、本当は凄く凄く嬉しいのに
幸せよりも不安の方がかなり上回っていて
未だに両親と職場の上司以外には報告できずにいる。
前回、腹痛や出血といった症状がないまま、稽留流産してしまったからだ。
あの時のトラウマから今でも抜け出せずにいる。


-前回の続き。
8w6dはホルモン補充最終日でもあった。
血液検査もないままホルモン補充終了しちゃって大丈夫なのかと不安だったけど
毎日決まった時間に膣剤を入れるのは大変だったので、嬉しい気持ちもあった。

しかし、翌朝から毎朝のようにあった胸の張りが消えた。
元々軽めだったが、食べづわりも軽くなり、ワキ下体温も下がった。
眠さ・だるさもましになった。
ネットには、妊娠初期の様々な症状が同時に消えると、流産の可能性が高いと書かれてあった。

そして、流産する夢を見た。
「ただの夢やん」と思われるかもしれないが、実は前回流産した時、
亡くなったと思われる日の夜に流産する夢を見たのだ。

これはもうダメだと思った。お腹が張る感じもした。
在宅勤務中も仕事が手につかず、1人で大泣きしてしまった。

そして迎えた9w2d。
赤ちゃんは無事だった。(最初赤ちゃんが見えなくて先生が探していた時は気が気でなかった。)
成長がやや失速していたけど
実際の週数よりは大きいし、心拍もきちんと確認できるので問題ないと言われた。

先生と話している時に思わず涙が溢れた。
先生は、健康な赤ちゃんはお母さんの心配をよそに勝手に成長する。
そうやって心配する気持ちはとてもわかるけど、不安やストレスはマイナスの影響はあってもプラスの影響はない、と言った。

その通りだと思った。私は強くならないといけないんだ。
看護師さんから「心配はきっと、出産まで続くでしょうね。産まれてからも心配が続くものよ」と言われて、
今は心配性を克服するための期間なんだと思った。

魔の9週は、とにかく多少お腹が張っても、体温が低い時があっても何も考えないようにした。
幸いにも(?)、胸の張りが戻り、頻尿で毎日夜中に目が覚め、食べづわりが復活する日もあった。
私の妊娠はまだ継続しているんだと安心した。

そんな前向きになれた私に、再び試練が訪れた。
織物が突然黄緑色になったのだ。それは3日間程続いた。
それまでは透明~白だったのに…
ネットで調べたら、黄緑色の織物は良くないらしい。
前回流産した時も、黄緑色の織物が続いていた。
病院に相談したら、「溜まっていた織物が一気に出たり、量が増えたり、外気に触れたりすることでそのような色になることもある」との回答だった。
でも何かすっきりせず、受診まで不安を抱えることになった。

そして10w1d。
初めてエントランス入って左の不妊治療棟ではなく、産科棟に足を踏み入れた。
不妊治療が思い通りに行かなかった時、産科棟にいる妊婦さん達を見るのが辛くて、いつも目を逸らしていた。そんな場所に自分がいるのが信じられなかった。

産科棟は本当に同じ病院?と思うぐらい不妊治療棟と雰囲気が違った。
建物自体が先に出来ているので古いというのもあるかもしれないが
少し暗くて冷たい感じがした。(看護師さんもサバサバした人が多い印象)
オロオロしてしまった。
不妊治療自体はもう二度とやりたくないけど、先生や看護師さんや棟の雰囲気は何だか恋しくなった。何だかんだ2年弱もお世話になったので。
ホームシックのような気持ちになった。

産科ではエコーのみ夫の同伴が許される。
初対面となる産科の先生を待っている間、2人で赤ちゃんの無事を必死で祈った。
不安で不安で、ずっと無言で待っていた。

しかし、私達の不安は一気に吹き飛ぶことになる。


「織物の色を気にしてるんやって~???」の第一声と共に先生が登場した。ひょうきんな大阪のおっちゃんという感じだった。
「は、はい…」と返すと、早速下腹部をエコーでぐりぐりとし始めた。
赤ちゃんと、ぴこぴこ動く心臓が映っていた。
CRL(赤ちゃんの頭の先からお尻までの距離)も37.8mm(11w0d相当)と、ちゃんと大きくなっていた。
「これだけはっきり見えていたら、9割5分大丈夫」と言われた。「本当ですか?」と尋ねると「嘘ついてどうすんねん!!」と言われた。

そして4Dエコーには感動した。
赤ちゃんを肉眼で見るように、立体的にリアルタイムで見ることが出来た。頭や手足がはっきり映っていた。
最後の方は赤ちゃんが手足をバタバタと動かし始めた。初めて見る光景だった。
「赤ちゃんお目覚めやで」と先生。この子は私の中で生きているんだ、生まれた後の赤ちゃんのように寝て起きてを繰り返していたんだ…と感動した。

下腹部を結構ぐりぐりとされたので、驚いて起きちゃったのかな?苦しいのかな?と思い、先生に「エコーって結構強めに押すんですね、大丈夫ですか?」と尋ねると「ん?そんだけ脂肪がついてれば大丈夫やろ」と言われた。

私は妊娠前からお腹周りだけデブだ。
夫は当然笑ったけど、傍にいた看護師さんまでクスっとしててつら。

「ごめんな、失礼なこと言うて」と先生。

初回なので、子宮頸がん検査も受けないといけなかった。
「痛いでぇ、血ぃ出るでぇ!血の混じった織物出るけどパニックになったらあかんよ!」と最後に通告されてエコーが終わった。
「あの織物は気にしなくて良いんでしょうか、、、」と尋ねる間もなく先生は嵐のように去っていった。

その後、先生はお産で暫く不在となった。
その間不妊治療棟と産科棟を掛け持ちしている看護師さんとお話をして、気が楽になった。不安も色々聞いてもらった。
産科の先生は穏やかで落ち着いている不妊治療棟の院長先生とは対照的だけど、情に厚く、優しくて、1人1人の患者さんを気にかけてくれるとても良い先生らしい。

先生が戻ってきた後、少しお話した。
次回は2週間後と言われたので「あの…心配なので1週間後に来ても良いでしょうか」と尋ねると「あぁ、ええよ。明日でもええし」と言ってくれた。
流産は辛い経験やけど、いつまでも気にしてたら前に進めないよ、と言われた。

その日は安心して、夫と焼肉を食べに行った。
雨が降っていた。前回流産を告げられた日は電車が止まる程のどしゃぶりの雨だった。
もう雨が降っても大丈夫、と思えた。

12-13週までは、まだまだ流産が多く油断できないけど、
お腹に赤ちゃんがいることの幸せを実感できるようになった。
料理嫌い・好き嫌い多めなので辛いけど、自炊してなるべくバランス良く食べるようにしている。葉酸やカルシウムは意識して多めに摂取するようにしている。

仕事は平日に無理したくないから、土日にちょこちょこやっている。虚しいけど、上司に妊娠を報告したところで仕事を減らしてもらえる訳でも、気遣ってもらえる訳でもなかった。
課長は気遣ってくれて、私がやるはずだった新人教育を自ら引き受けてくれた。感謝しかない。
けれど、部長は祝福してくれたものの、「12週までは自分の身体のことを第一に考えてね」と言った。何で12週まで限定やねん。
仕事やめてぇ。

休日の今日。
今度は左上の歯が時々ズキンと痛むようになった。
虫歯であれば妊娠中は早産や低体重児出産の原因となるので、早く治さないといけない。
加えて、今朝方は昨日からの便秘によるガス溜まりで、下腹部に激痛が走った。
一難去ってまた一難という感じ…
出産まで、心配事は尽きないんだろうな。
それでも、お腹の子は今のところ元気に生きている。本当に強い子だ。

次は12週の壁。無事に越えられたら良いな。

*サムネは私の愛猫です。
いつも私の身体の上で寝るのですが、妊娠してからは猫が身体の上に寝るのは良くないので
猫が近づくと身体を横向きにしていたら、もう乗らなくなってしまいました泣
寂しい思いをさせているかな。その分沢山撫でています。
流産した時、私がソファでしくしく泣いていると私の手に自分の手をちょこんとのせてくれました。もしかしたら、妊娠したことを分かっているのかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?