紫野原魔法探偵事務所 1
「オレはディサエル。神だ。妹を探すのを手伝ってほしい」
そう言ってソファに座りながら、出した覚えもない紅茶を優雅に飲む目の前の人物を見て、私――紫野原翠は戸惑うしかなかった。
(新手の宗教勧誘か?)
ここは開業一日目の探偵事務所である。とある事情から大々的に宣伝はしていないし、私は名前が売れているわけでもない新人だ。そのため、初日から客が来るとは思ってもいなかった。だが己を神と名乗る人間が来るなんてそれ以上に思ってもいなかった。
(でも妹を探すのを手伝ってほしいって言って