みーこ

ファンタジーとミステリーが好き。

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紫野原魔法探偵事務所 1

「オレはディサエル。神だ。妹を探すのを手伝ってほしい」  そう言ってソファに座りながら、出した覚えもない紅茶を優雅に飲む目の前の人物を見て、私――紫野原翠は戸惑うしかなかった。 (新手の宗教勧誘か?)  ここは開業一日目の探偵事務所である。とある事情から大々的に宣伝はしていないし、私は名前が売れているわけでもない新人だ。そのため、初日から客が来るとは思ってもいなかった。だが己を神と名乗る人間が来るなんてそれ以上に思ってもいなかった。 (でも妹を探すのを手伝ってほしいって言って

    • 『ゴジスカン対もじすきー』に潜む謎

      まえがき  本作は、私みーこが書いた一次創作小説『紫野原魔法探偵事務所』と、字書きや小説好きのためのSNS『ノベルスキー』のオリジナルキャラクターを(勝手に)クロスオーバーさせたお話です(クロスオーバーOKと言ってたのでその辺は大丈夫です)。  ノベルスキー合同誌vol.1用に書いたため、小説本編の内容を知らなくても楽しめるようになっています。ノベルスキーに詳しくなくても楽しめるはずです。ちなみにこの合同誌はBOOTHで購入できます。物理も電子も両方あります。 あらすじ  

      • 紫野原魔法探偵事務所1話

        自分で書いた現代ファンタジー小説『紫野原魔法探偵事務所』の第1話を自分で朗読してみました。何それ恥ずかしいやつじゃん、とか言わない。 小説本文はこちら↓ https://ln-street.com/novels/63c5a462-6a0f-4d4e-b4d5-37c6a0c41028/8d35a6f8-b26d-4b85-a863-3ab18a2634c2

        • VTuber夜見ベルノさんに読んでいただいた一次創作小説まとめ

           小説発掘系VTuber夜見ベルノさんの配信で読んでいただいた一次創作小説のまとめです。 紫野原魔法探偵事務所 この回の後半に読んでいただきました。  自分の作品をこのように読んでいただくのは初めてでしたので画面の前でめちゃくちゃに緊張していましたが、ベルノさんやリスナーの皆さんにも好評いただけてほっとしました。ありがとうございます! 作品はこちら↓ https://ln-street.com/novels/63c5a462-6a0f-4d4e-b4d5-37c6a0c41

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        紫野原魔法探偵事務所 1

          三者三様ハロウィン問答

           10月31日、ハロウィン。あの世とこの世の境界が曖昧になり、悪霊達がこの世にやってくる。子供達が悪霊に連れ去られないようにする為に、子供に悪霊と同じ格好をさせ、悪霊を追い払った。  現代社会ではハロウィンの起源も知らないような大人達が街中ではしゃいで迷惑を掛け、それが問題視されている。その騒ぎを煽るような報道も問題だと思うが、それはさておき……ここ、紫野原魔法探偵事務所はそうした喧騒からは掛け離れた場所に存在している。しかも居候達はハロウィンの存在すら知らなさそうな異世界

          三者三様ハロウィン問答

          恋愛(しない)談議

          エリー「うわ~ん! また調合失敗しちゃったよ~! ねぇカイトくん、手伝ってくれないかな」 ・手伝う ・手伝わない 「何度も失敗する奴の手伝いをした所で時間の無駄だろう」 「ロクドトさん的にはそうかもしれませんが、主人公のカイトくんはもっと優しい性格なのでここは手伝ってあげましょうよ。ていうかそうやってフラグへし折っていったら、いつまで経っても個別ルートにすら辿り着けませんよ」  今、私こと紫野原翠は訳あって、異世界から来た居候のロクドトと共に恋愛アドベンチャーゲ

          恋愛(しない)談議

          『夢十夜』第五夜朗読

          ノベルスキー内朗読チャンネルでの『十人十色夢十夜』という企画で、第五夜を担当しました。 ノベルスキーはこちら https://novelskey.tarbin.net/

          『夢十夜』第五夜朗読

          『夢十夜』第五夜朗読

          『翠と愉快な居候達』内容紹介

          私が書いた一次創作現代ファンタジー小説『紫野原魔法探偵事務所』及び『医者と神の七日間』に登場する、紫野原翠、ディサエル、スティル、ロクドト。 本編の終盤でこの4人が翠の家で一時的に同居しているが、その時何をしていたのか……いや、本編とか関係無しにこの4人がわちゃわちゃしている所を見たい……! そんな作者の想いを詰め込んで、短編集『翠と愉快な居候達』が出来上がりました。 8月19日からピコ通販さんで頒布開始します。 頒布価格は800円(+配送料)です。 そうは言われてもど

          『翠と愉快な居候達』内容紹介

          翠とロクドト

          「キミの血を分けてくれないか」  片手にメスを持った長身痩躯に長髪の目付きも顔付きも悪い男に突然こんな事を言われた場合どうすればいいのか。私の頭には瞬時に二つの選択肢が浮かんだ。 一、逃げる 二、戦う (戦うのは無理だろ……)  つまりは逃げる一択。私は瞬時に身体を捻って男とは逆方向に走り出そうとした。走り出そうとして、滑って転んだ。 「ったぁ~……」 「キミは何を馬鹿な事をしているのだ」 「馬鹿な事をしようとはしてません」  立てるか、と言って差し出された手を無視し

          翠とロクドト

          翠とスティル

          「み~どり!」 「わっ」  いきなり後ろから抱き着かれ、私はよろめいた。片足を一歩前に踏み出してなんとか踏みとどまる。 「どうかしましたか、スティルさん」  首だけ後ろに回すと、抱き着いてきた張本人(張本神?)のスティルがにこやかな笑みを浮かべている。彼女の赤い瞳はルビーの様に輝いていると思う時もあれば、血だまりの様に恐ろしく感じる時もある。今は前者だから、何か恐ろしい事が起きる可能性は極めて低い。まぁ他所でならいざ知らず(それもどうかとは思うけど)、家の中で恐ろしい事態を起

          翠とスティル

          翠とディサエル先生

          「今日はジャンジャル・バーバルを作るぞ」  厨房でエプロンを着せられ、まぁ場所が場所だし料理の手伝いをさせられるのだろうと思っていたら、聞きなれない言葉が聞こえてきた。ディサエル他この家の居候達が、会話中に私の知らない単語を出してくるのは珍しい事ではない。 「はあ……?」 「おい翠。そこは”はあ……?”じゃなくて”はい、先生”だろ。この話のタイトル読んでねぇのか? ”ディサエル先生”って書いてあるだろ」  そう言ってディサエルはふくれっ面をした。ディサエルは異世界から来た神な

          翠とディサエル先生

          執事の館の本宅に帰宅した

           ご機嫌よう諸君。  諸君らは執事の館をご存知だろうか。愛知県名古屋市に存在する執事喫茶だ。  ちなみに私が一昨年帰宅した際のレポがこちら。  あれから1年半。本宅が出来た、という事でまた帰宅してきた。  そう、本宅である。  今まで帰宅していたのは仮住まい。そこも素敵な場所だったが、執事の館はガチの本宅を作ったのだ。と言っても元々あるお屋敷を買い取ってリフォームした、という形なのだが、それでもガチっぷりが凄い。しかもまだ完成はしていない。今日帰宅した段階でも十分凄い

          執事の館の本宅に帰宅した

          医者と神の七日間 6

           ここに残っている団員全員が広間に集まり、車座になって昼食を食べた。カルバスも外出している事もあり、スティルの隣に誰が座るかで阿呆共が揉めていたが、当のスティルが私と副団長を指名した為にその不毛な争いは終わった。次にじゃあ誰がその近くに座るかでも揉め合っていたが、副団長が階級の高い者から順に座れと一喝したおかげでこの騒ぎも収まった。なるほど。これが上手く対処できる人に任せる方法か。  その後はスティルと同じ空間にいるというだけで満足したのか、阿呆共も無駄な騒ぎは起こさず銘々に

          医者と神の七日間 6

          医者と神の七日間 5

           その日は雨が降っていた事をよく覚えている。遅い時間になっても帰ってこない妹を心配して、私は家を飛び出した。  結論から言うと、妹はすぐに見つかった。家の裏手にいたのだ。ずぶ濡れになった身体を震わせながら、縮こまって泣いていた。私が声を掛けると妹はびくりと身体を跳ね上がらせ、恐る恐るといった様子で顔をこちらに向けてきた。濡れて顔にへばり付いた髪の間から覗く目が私の姿を認めると、先程までよりも大きな声で、わっと泣き出した。こんなにも泣いている妹を見るのは初めてで戸惑ったが、兄と

          医者と神の七日間 5

          医者と神の七日間 4

           その後黙って階段を上り広間へ出ると、運よくセンマードンと遭遇した。スティルは魔王しか要求してこなかったが、それをそのままセンマードンに伝える程私も馬鹿ではない。彼女の着ている服は昨日と同じものだった。着の身着のままここに連れてこられ、持ち物は何もないのであろう。服を二、三着と、何か暇をつぶせるような物を調達してほしい旨を彼に伝えた。暇つぶしに私がまた殺されてはたまったものではない。  怪我をした蛮族共を医務室で治療し終わる頃には(怪我をさせたのがカルバスだったせいで、普通の

          医者と神の七日間 4

          医者と神の七日間 3

           翌朝、私は医務室で起床した。机に突っ伏していた顔を上げると、窓から差し込む朝日が眩しくて思わず目を細める。 (腹が減った……)  朝食はもう出来ている頃合いだろう。軽く身支度を済ませ外へ出ると、予想通り、調理班が外で食事を配っていた。 「おう、おはよう、ロクドト」 「おはようセンマードン」  センマードンから朝食を受け取ろうとすると、彼は器を差し出そうとした手をふと止めた。 「お前、スティル様の分も持っていって届けてくれねぇか」 「……何故ワタシが」 「昨日ギンズから聞いた

          医者と神の七日間 3