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【本メンター #5】失敗が価値を生むためには - 「失敗の科学」対談からの教訓

失敗すれば怖くて隠すし、 みんな逃げたくなる。
仕組みで失敗に向き合えるようにしておこう。

こんにちは。LayerX バクラク事業部 インサイドセールスチームの星野です。
最近は目覚ましい技術の発展に対して、追いつききれていない自分にもどかしさを感じています。
さて、今回は現在LayerXで行われている企画「本メンター」から「失敗の科学」という本を題材にCTOの松本さんと対談の機会をいただいた際の内容をnoteにしています

本メンター企画の詳細についてはこちらのnoteをご参照ください。

「失敗の科学」

今回、企画の中で私が取り上げた本は「失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織」です。

この本では、一般的にネガティブな印象を持たれがちな失敗と向き合うことの重要性が様々な事例を通して説かれています。(kindle unlimitedに入っている方はすぐに読めます!)

松本さんとの会話の中では、この本をお勧め書籍として取り上げた背景から、その内容がいかにLayerXに組み込まれているのかを話しました。

この本を選んだ背景

星野:今回この本を読む中で、一般的には否定的に捉えられがちな失敗がすごく尊いものとして扱われているという印象を受けました。
失敗があるから成功があるのだと、LayerXにも活かされた内容だと思いました。

今回松本さんがこの本をお勧めしてくださった背景にはどんな考えがあったんですか?

松本さん:僕は人間はそんなに賢くできてないと思っているんですね。
失敗すれば怖くて隠すし、 みんな逃げたくなったりする、できれば失敗しないようにってことを考えるじゃないですか。これって大失敗につながったり、事業成長しなかったりするんですよね。

LayerXでBe Animalって置いてるのは、きちんと成長させるために大胆なことをやろう、とは言えそこで失敗を隠すような文化だと、大事故が起きて事業が止まってしまいます。 そうならないように仕組みで失敗に向き合えるようにしとこうねっていうことを伝えておきたかったんですよ。

Bad News First、Bet Technology
仕組みで向き合うことで悪い情報をちゃんと共有できる状態にあること。 これらができてない組織って、いかに大冒険をしようが、多分大失敗の連続で死んでしまうし、学びがないです。 一方で安心・安全ばっかり求めていくとスタートアップしにくくなっちゃいますよね。
そのいい塩梅を取るための科学です。これがこの本を取り上げた理由、経営する上でとても大事にしているので、取り上げたかった理由です。

LayerXに於ける「失敗」

星野:ここでの内容が行動指針に直結しているんですね。確かに、普段slackのインシデントチャンネル(インシデントの可能性がある場合、誤報だとしても即投稿するためのチャンネル)でも「ナイス共有」や、「ありがとうございます」スタンプがよく見られますね。

報告が個人への非難ではなく、仕組み改善への機会として捉えられている組織だと感じます。

松本さん:以前の本メンターで「世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方」という本を取り上げていましたが、あれもまさに仕組みの話なんですよね。 頭の中で仕組み化をすごい考えているんです。

あと人間の感情のバグと戦うことを。
人って大失敗したくないはずなのに、小さい失敗を隠して大失敗するんですよ。 バグじゃないですか。 そういう人間の感情のバグとどう戦ってける組織にするかが大事なんじゃないかなと思ってます。

FactBaseに向き合う話の事例として、この本の中にいい病院と悪い病院の話が出てきますよね。いい病院って、実は医療ミスの報告件数がめっちゃ多いんですよ。 でも大事故がない。 ダメなところは大事故ばっかり起きてるみたいな。

何が起きてるかちゃんと計測してない、Factに向き合ってないから、 みんな隠蔽したり、怒られたくないから隠していって、結果として大事故につながる証拠を何も科学できていない。そうじゃなくて、計測して、仕組みで失敗について改善するサイクルができていれば、 大事故は防げるし、いいオペレーションになっていきますよね。 これってめっちゃLayerXっぽいですよね。

星野:確かに、そうですね。今の話の中で気になった点として、失敗に向き合う・そこから改善に向かえる仕組みが作られていても、とは言え起こったことに対して責任を取ることは大事ですよね。万が一、大失敗が起きた場合や、起きる可能性に対してはどんな風に考えられているんですか?

松本さん:大事故は数年に一遍起きるんですよ。 起きることが大半かなと思っていて、その時に個人を責めちゃ絶対ダメだと思っています。仕組みをどうやって改善すれば良いのかを考える。

だから今、僕らがやっているセキュリティ委員会での取り組みはまさにこのためにあるんですね。 定常的にちゃんとインシデントを僕らが共有して、仕組みを改善する方向で議論するためのテンプレートにしてます。 大きかろうが小さかろうが失敗は個人のせいにしない、仕組みのせいにすることが大事かなと思っています。

許す許さないでいうと、失敗は極力許さない。 ミスはできるだけ減らそうっていうプロ意識が大事なんですよ。起きた時に「じゃあその人のキャリア終わりです」みたいなのがダメだと思う。 失敗が起きてしまったら次どうやってなくせるのかっていう方が大事。ある程度予測の範囲内で失敗して、できる限り大事故だけは減らしとく。そういう考え方が大事ですね。

"ちゃんと"失敗するということ

星野:本の中にリーンスタートアップ的な、「量を求めたグループ」と「質を求めたグループ」の最終的なアウトプットの差では前者の方が上だったという例も挙げられていて、松本さんの話を聞いていると完璧を目指すよりちゃんと失敗することが大事なのかなと思いました。

最近自分自身、とにかく量をこなそう!と思って動いていたんですけど、やっぱりその分上手くできないことも多いんですよね。ただ、動かなかった場合と比較すると失敗の知見が溜まっている状態って良いサイクル回せているのかなって思います。

松本さん:上の人に言われたことを言われたままやっておしまいだと面白いことないですよね。下手すると、右から入って左に抜けちゃうので。

星野:そうですね。もっとガンガン失敗して悩んでいきたいなって思いました。

松本さん:武道とかをやると、最初に練習するのって受け身なんですよね。受け身を練習して、頭を打って終わることがない様に、怪我をしないようにする。ちゃんと受け身さえ取ればどんなに転んでも大丈夫なんだよって。

これをお仕事的に例えると、 どう失敗すればいいのかって、失敗してから学ぶみたいなところになってくるんですかね。失敗を予見して、どういう風にリカバリ策を作っておくかが大事だと思います。
自分はどれぐらい失敗していいのか、 何が起きたらまずいですか?どこまで暴れていいですか? っていうことを学ぶ機会とも言えますね

星野:意思決定の数だけ成長する。」とおいう新卒採用サイトで掲げてるフレーズにも通じそうですね。意思決定にも失敗が付きものですし、後の成長のためにもちゃんと失敗することが大事になってきそう。

松本さん:意思決定の数を稼ぐためにも失敗時の受け身が大事なんですよ。そういった姿勢を作る意味でこの本はおすすめしたいです。 大事故する人に数は任せられない。そのために小さい失敗報告をし合える組織でありたいですよね。

星野:そうですね。ちなみにその観点から、今松本さんはLLM Labを立ち上げられてるじゃないですか。そこで考えられる失敗って何かありますか?

松本さん:そうですね。強いて言うなら、時間を無駄に使うことですかね。
今は成功するかは分からないけど、必要なことをやってる状態なんですよね。 不確実性が高い状態はそもそも予算もかけないので、 失敗リスクは小さいんですよ。

失敗期待値みたいな概念を頭に思い浮かべてほしいんですけど、 不確実性大きいので失敗率が高い。高い失敗率にかけ算で小さい予算だと、 まあ期待値はそんな大きくないじゃないですか。要は今日LLMラボ止めますって言っても、 特にダメージないんですよ。
いろんな失敗の大きさ、期待値、予見性みたいなものをすごく意識するといいのかな。

星野:なるほど。何かを得るときに期待値を考えることはよくあるんですけど、失敗に対しての期待値は考えたことなかったです。

インターンや新卒っていう、ある意味不確実性が高くて失敗のダメージが少ない状態の時期に転び方や起き上がり方を学ぶことはすごく大事そうですね

あとがき

最後まで読んでいただいた皆さん。ありがとうございました。
今回松本さんとは30分お話しさせていただいたのですが、濃かったです。
こういった機会をいただけた松本さんにも大感謝です。

LayerXのアピールポイントには、こういった役員メンバーとの距離の近さがありますね。企画の他に、割と食事の席でご一緒させていただくこともあるので贅沢な環境だなと思います。

現在LayerXでは一緒にこの様な環境で一緒に頑張っていける方を大募集しています。もしご興味あれば下記のOpenDoorでも、TwitterのDMでもお気軽に話しかけてください。

文中にも登場していましたが、新卒採用サイトにも色々詳しく載っていますので、ぜひ覗いてみてください

次回は、本メンター企画第3回でも執筆していた羽倉くんとCEO 福島さんとの対談を直接Podcastからお届けします!

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