見出し画像

アナログなデジタル

台湾の母、黄絢絢さんにハガキを書くことにした。
以前は毎月一通ほどの手紙を書いていた。それがいつからかLINEで近況が送られてくるようになり、今は電話になっている。

しかし、93歳というご高齢にはさすがの絢絢さんも勝てないようで、電話は自身が生活する老人ホームの職員さんにかけてもっていると言う。
着信したスマートホンの受話も自分で出来ないと言う。
私はいつも受けれるわけではないのですれ違いとなり、心配をおかけする事となる。

そんなわけでまた手紙を書こうと思ったわけだが、なんとなく気になりハガキだといくらで届くのかを調べたら、なんと定型のハガキならば世界中70円で送れるのである。

ハガキは70円で世界旅行をするのである。

今、70円で出来る事って何があるだろうか、そんなふうに考えていたらなんとなく嬉しくなり時々ハガキを出すことに決めた。
航空書簡も世界中90円だが、ペラペラで味気なく好きではない。
封書の航空便で300円くらいだったと思う。
ならば絵葉書を週に一度でも送ったほうがなんだか気が利いてていい。

しかし、この郵便と言うか物流の発展のスピードに凄まじさを感じる。
明治維新まで、飛脚の仕事だったのを明治政府の前島密(1円切手の人物)が飛脚の親元と交渉して手を引かせ、その代わり郵便事業の中の運送業務だけを飛脚会社に請け負わせた。
その会社が現在ある『日通』の前身である。
たった150年の間に世界のどこにでも70円でハガキを届けるシステムが作り上げられた。

2050年に向けて自動車が、自動化ばかりでなく電動化される。
トヨタ自動車が車を作り、まだ85年しか経っていない。
50年ほど前、愛知県で小学生をやってた頃、学年全体でトヨタの工場見学会に行った。
帰りにセリカのミニチュアのプラモデルをもらった。
水色の車体で屋根が白かった。帰りのバスの中で、クラスの全員が黙って組み立てていた。
まだその頃は各家にマイカーを持たせる啓蒙の最中だったのだと思う。
100年ほどで自動車も様変わりしていく。

100年、150年でハガキは70円で世界旅行をし、自動織機の会社が未来の街を創る。
まだまだ私も何か出来るな、と思うのである。

IT の進んでいる国台湾に住む絢絢さんが高齢にかかわらずタブレットを使う努力をしていたことを頷くことが出来る。
日本もこの先は台湾のような国を目指すのであろう。
高齢であっても新しい何かに飛びついていこうと思える魅力や吸引力が日本にもあっていいと思う。

フリーアナウンサーの山田幸子さんの note が好きである。
90歳の元気なおばあちゃんに出会える毎朝が楽しみである。
(山田さん、勝手に引用してごめんなさい。)
死んだ自分の母と照らし合わせてこうあるべきだったな、と私は反省している。

世のシステムのための IT ではなく、人が人として生きやすくなるための IT であるべきであろうと思う。
絢絢さんを見ていて台湾もまだそこまで進化していないように思う。

そう言いながら私はいつまでもこの70円の世界旅行のようなアナログを大切にしていきたい。
絢絢さんは私の手紙を全部大事に保管してて時々読み返していると言ってた。
おばあちゃんはアナログな方がおばあちゃんらしいかも知れない。
山田さんのおばあちゃんの手書きの絵と俳句のように。

アナログなデジタルがいいかも知れない。



この記事が参加している募集

noteでよかったこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?