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【本解説】お金のむこうに人がいる

今回解説するのは田内学さん作の『お金のむこうに人がいる』について解説していきます。

田内学さんの本を解説しようと思ったのは以前解説したこちらの記事

こちらの本が面白かったことをきっかけに今回の『お金のむこうに人がいる』を読もうを思いました。(順番は逆かもしれませんが)

皆さんは経済について考えたことはありますか。税金や年金・GDPなど経済に関することについてテレビ番組を見たりネット記事で読んだりしたことがあるかと思います。しかし経済について考えようとすると専門用語や難しい計算式が出てきて経済に対する興味がなくなることはがあるのは私だけでしょうか。

私たちが暮らしている社会は様々な経済問題を抱えています。先ほど挙げた税金や年金もその中の1つです。しかしそんな社会で生きている私たちが経済に興味を失ってしまうのはかなり深刻な問題だと思います。私たちに関わる問題なのにみんな経済に対する興味がなく、解決を他人に任せっきりでは良い方向には進みません。

とはいえ経済の話は簡単ではありません。むしろ眠たくなるような専門用語や計算式が出てきます。そこで今回紹介するお金のむこうに人がいるが専門用語も難しい計算式もなしにあなた自身で経済が考えられるようにしてくれます。

本書は元ゴールドマンサックスの金利トレーダーだった田内学さんが書かれた経済の入門書です。

結論

早速結論です。本書では『誰が働いて誰が幸せになるのか』を考えることで経済を考えるときの本質を見抜くことができます。

しかしこの説明だけでは抽象的で分かりづらいと思いますので、なぜこれを考える必要があるのかについて紹介していきます。

誰が働いて誰が幸せになるのか

まずはあなたが消費しているのはお金ではなく誰かの労働です。突然ですがピラミッドを建設するのにどれくらいの費用がかかったと思いますか。


答えはゼロ円なんです。実際にピラミッドを現在で同じ規模同じ方法れ作ろうとすると約4兆円もかかるそうです。しかし当時の人たちは現代とは違ってピラミッドを建設するのに予算の確保する必要はなかったんです。そもそも当初は貨幣もなく金を貰って働く人はは誰もいませんでした。そこでエジプトの王はお金を使って働かせたのではなく王の莫大な権力によって多くの労働者を確保してピラミッドを建設しました。

物を作るためにはお金ではなく労働を確保する必要がありました。これは現在でも同じです。現代の私たちはお金を使った生活をしています。100円200円出せば自動販売機でもコメディでも飲み物を簡単に手に入れることができます。

しかし単純にお金が飲み物に変わっているわけではありません。その裏には必ず誰かが労働をしています。その飲み物を作るための工場で働いている人、 飲み物を運ぶ人、飲み物を売っている店員さんなど様々な人の労働が存在してい ます。

物を作るには労働が必要なのは理解しましたが原料を買うにはお金が必要なのではと思うかもしれません。しかし本書は原価は存在しないと書かれています。本書では原価が存在しない理由について食べ放題を例に解説されています。食べ放題に行く時に必ずもとを取ってやると意気込んでいますか。

食べ放題で元を取ることは不可能です。一皿あたりの金額から何皿食べれば元が取れるという計算をすることができます。しかしそれはレストラン目線での金額です。

レストランにお肉が届くまでにはそのお肉を卸したお肉屋さん、お肉屋の仕入れ先である食肉工場の原料となる子牛を育てている農家、お肉を運ぶ運送業者など多くの労働が裏には存在しています。そして子牛は誰かによって作られたものではなく、自然界によって生み出されたものです。

そのため原価はゼロ円なんです。原価0円ということは食べ放題で元を取ることはできません。

ではなぜあなたがレストランでお肉を食べる時にはお金が掛かるのでしょうか。それは労働に対しての人件費や利益が原価ゼロ円の子牛に加算されていくからです。もちろんこのコストには牛は運ぶためのガソリンや工場で使われる設備や電気代なども掛かっています。

しかしガソリンや設備も細かく辿っていくと最終的には自然界が生み出したものに行き着きます。そのため原価はゼロ円です。このようにあなたが食べている100g500円のお肉を辿ると原価0円の自然資源と500円の人件費と利益にいき着きます。

ここで大切なのが全てのものは労働によって作られるということです。お金によって物が作られているわけではありません。レストランで出されるお肉の裏側にはレストランで働く人以外にも多くの労働が存在しています。だからこそ経済を考えるときには誰が働いてを考えることが大切なのです。

誰が幸せになるのかを考える必要性

続いては誰が幸せになるのかを考える必要性について解説していきます。100g500円のお肉と100g5,000円のお肉のどちらが美味しいでしょうか。

100g5,000円のお肉の方が10倍もするのだから美味しい決まっていると思われるかもしれません。しかし答えは『人による 』です。

人によって100g500円のお肉の方が美味しいと感じる人もいれば、100g
5,000円の方が美味しいと感じる人もいます。このように価値を決めるのはあなたです。好みは1人よって異なります。

この好みは目に見える形で表すことはできません。そこで価格という物差しで代用しています。しかしこの価格が好みとイコールになっていると錯覚していませんか。先ほどのお肉の問題のように価値を決めるのはあなたなのに、値段が高いほうが好みと決めてしまってます。

本書に載っていることですが一本1,000円のワインと10万円のワインについて、あるソムリエがこのように言っています。

1本10万円のワインは良いワインです。良いところを100個も200個も持っています。1本1,000円のワインも良いワインです。1個か2個は良いところがあります。1,000円のワインが美味しいと感じる人は味がわからない人ではありません。その逆です。たった1個か2個しかない良いところに気づくことができる幸せな人です。良いワインかどうかはあなたが決めればいいのです。1,000円のワインは物差しで代用された1,000円ではありません。あなたを幸せにするものです。

ほとんどの方がお金を貰って働いています。物を作ったりサービスを提供したりしながら働いています。そしてあなたが作った物やサービスによって誰かが幸せになっています。単に労働=お金ではなく、お金のむこうには人がいて幸せになっている人が必ず存在しています。その幸せの度合いは価格ではなく人によって異なります。だからこそ経済を考えるときは単に物の価格ではなく誰が幸せになっているのかを考える必要があるのです。

ここまで全ての物は労働によって作られていることと物の高揚が誰かを幸せにすることについて解説しました。

誰が働いて誰が幸せになるのかを考える

まとめとしてこの2つのポイントを元に、誰が働いて誰が幸せになるのかを考えることがなぜ大切なのかについて解説していきます。

本書では私たちは異なる2つの軸から経済を眺めているといいます。

その2つの柱いうことは
空間軸と時間軸

これまで解説してきた経済の眺め方は社会の中には誰かが働いていて誰かを幸せにしているという空間軸でした。そしてもう一方の時間軸とは私たちが普段している経済の眺め方です。

あなたが大学または高校で勉強をすることができたのは誰のおかげか。多くの人は両親や保護者が真っ先に浮かんだと思います。過去に両親が働いてお 金を稼ぎ供給をしてくれたからこそ高校・大学に進学して勉強することができたと思います。これは時間軸での味方です。

それに対して空間的な見方をするとあなたが高校・大学で勉強することができたのは教えてくれる先生や学校の事務員の方、バスの運転手などみんなが働いてくれているからあなたが勉強できていたと考えることができます。あなたが幸せになっていたり、豊かになっているのはそんな裏で誰かが働いてくれているからです。

このように考えると経済を人中心に捉えることができます。社会はあなたの財布の外に広がっています。みんなが自分の財布の中ばかりに目がいってしまうとあなたを幸せにしてくれている他人の存在に気づくことができません。他人 の存在に気づくことができず自分のことだけを考えるようになってしまうと社会全体で支え合うことができず最終的にはみんなが困ってしまいます。

だからこそ経済を考えるときは財布の中ではなく財布の外に広がる社会の誰が働いて誰が幸せになるのか考えることが大切です。

誰が働いて誰が幸せになるのかの考え方を実際の例をもとに紹介してます。

オリンピック・パラリンピックのために1,500億円かけて建替えられた新国立 競技場について考えていきます。1,500億円も払って税金の無駄使いだ。新 国立競技場を建てるために税金を納めているんじゃないと怒りを持っている方もいると思います。しかしこれはお金中心の経済学の見方です。

国が1500億円を借金する。借金を返すために将来1500億円分の増税が必要になる。将来の私たちの負担になる。このように新国立競技場に起こっていることの多くがお金中心の経済学で経済を眺めていると思い ます。

そこで誰が働いて誰が幸せになるのかを考えていきましょう。まず政府が借金した1,500億円は新国立競技場の工事に関連するあらゆる会社従業員、工事現場に配達されるお弁当、作っている会社、そのお弁当の材料を作っている農家の人と言ったようにお金はどんどん移動しています。

さらに辿っていくと工事現場で働いている人が貰った給料から買い物をすればそのお店にお金が移動します。日本が借金をした結果、日本にいる人が働いている以上、日本からお金が消えるわけではなく私たちのところに巡り巡って移動しています。

またオリンピックが開催されたことによってテレビでオリンピックを楽しんだということも多くいると思います。全ての人が楽しめたというわけではないと思いますが確実に幸せになった人はいます。もちろん政府の借金1,500億円は将来の私たちに税金という形で負担になります。

しかし同時に政府から移動でしている1,500億円も将来の私たちに受け継がれています。さらに将来の私たちは新国立競技場を使い続けることができます。将来の私たちからすると昔の国民のおかげで新国立競技場を使うことができ、その効用分得していると考えることができます。

このように誰が働いて誰が幸せになるのかという人中心の経済学で眺めてみると考え方がガラリと変わります。

人中心の経済学で日本の借金を眺めるとなぜ日本が潰れないのかも見えてきます。その理由については本書で分かりやすく解説されていますので興味のある方は是非読んでみてください。リンクを貼っておきます。

まとめ

今回の内容についてまとめです。経済を考えるときは専門用語や難しい計算式ではなく、誰が働いて誰が幸せになるのかを考えることが大切です。

私たち現代人はお金を使って生活をしていますが、お金が物に変わっているわけではありません。必ずその裏がには誰かが労働しています。その労働をしている人が作った物や提供しているサービスがあなたや他の誰かを幸せにしています。

だからこそ経済を考えるときはあなたの財布の中ではなく、財布の外に広がる社会の誰が働いて誰が幸せになるのかを考えることが大切です。

今回のnoteでは重要なポイントに絞って解説してきましたが、この他にも行動量を増やすための方法や部下のマネジメント方法などかなり具体的に書かれて、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください。リンクを下記に貼っておきます。

今回の知識が何か少しでもあなたの人生の役に立てれば幸いです。
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ではまた次の投稿でお会いしましょう!


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