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双子出産記#5 病院や分娩方法を「選ぶ」ことはできたのか


ちょっと話が前後するけれど、病院や分娩方法について書き残しておきたい。

個人的な情報になるので、後半の感想部分は有料記事にさせてもらいます。病院や分娩方法に悩んでいて、いろんなサンプルを知りたいな~という方向け。
ひとつだけ後悔していることを書いたので、今現在リトドリン点滴を受けている人は読まないほうがいいかもしれません。
あくまで私の感想なので、自分で調べて、主治医や助産師さんにたくさん相談してみてください。
そして有料部分はスルーしても今後の話の展開に影響はないのでご安心を!

〇〇〇

まず病院選びについて。
こちらは私の場合、ほぼ選択肢はなかった。近所のクリニックで双子妊娠を確認し、「うちでも帝王切開であれば、受け入れた実績はあります」と最初は言われていた。
しかし診察の度に転院を勧められ、妊娠5か月ちょうどで紹介状をもらって大きい病院に移ることになった。特に何か母子に不安要素があったわけではなく、ただ「双子は何があるか分からないから、設備が整っている病院がおすすめ」ということだった。

転院先はNICUのある総合病院。住んでいる市内にはNICUのある病院がなく、車で片道30分ほどの隣の市にある病院に通うことになった。
長男のときは里帰り先のバースクリニックで出産したため、総合病院での出産は初めて。なんとなく、総合病院は忙しくて、先生が怖いようなイメージがあった。病院となるとごはんが美味しくなさそうなのも残念で、転院が決まった時は少し憂鬱だった。

しかしいざ初診に訪れ、蓋を開けてみると、イメージは大きく変わった。先生は親切丁寧で、優しかった。長男のときのバースクリニックより、近所のクリニックより、どこより丁寧に診察をしてくれる。4Dエコーや心音の録音などの「思い出づくり」的なコンテンツはないけれど、診察のたびに念入りに経腟・経腹エコーをしてくれるのはとても安心で、その安心こそが、何より求めていたものだった。

次に、分娩方法について。
こちらは私の場合、選択肢は2つあった。近所のクリニックでは帝王切開一択だったけれど、転院した総合病院では条件次第で経腟分娩も選ぶことができた。
・経産婦
・双子のどちらも頭位(逆子ではない)
・母子ともに健康
・胎児が推定体重2500gを超えている
上記の項目をすべてクリアしていれば、経腟分娩も希望できる。できれば下から産みたいと思っていた私には朗報だった。

経膣分娩を希望していた理由は、ただ単に手術が怖かったからだ。「経腟の方が母親からの腸内細菌が〜」とか、「陣痛を経験して母性が〜」とか、そういうのは全く気にしていなくて、ただただ、「絶食、麻酔、お腹を切ること、縫うこと、そして水をしばらく飲めないこと、その帝王切開に関わるすべて」に恐怖心があった。長男出産時に、同じ日に出産したにも関わらず、数日後もヨロヨロと点滴とともに歩いていた帝王切開後の女性の姿も忘れられなかった。

また、長男のときのお産が自他ともに認めるスピード安産だったことも、経腟分娩を希望した理由のひとつだ。夜中の1時に破水して2時過ぎに陣痛開始、朝7時には出産した。陣痛約5時間で、もちろん痛かったけど、でも人から聞いていたほどではないな、という印象。産後2時間後くらいには朝ごはんを食べれていたし、会陰切開もせず、産後の回復も早かった。だから「今回も安産だろう」と信じきっていた。

とはいえ、選択を迷わなかったわけではない。病院は「家から1番近いNICUのある病院」に何も疑わず通っていたけれど、分娩方法はかなり悩んだ。長男出産の経験があってもなお、双子ゆえのリスクを聞くと気持ちは揺らぎ、気がかりなことが増えていった。

まず、病院の過去実績がかなり少ないようだった。もう何年もその病院では双子の場合は帝王切開しかしておらず、主治医も、担当の助産師さんも、双子の経腟分娩は立ち会ったことがないという。「10年くらいやってないかも」とベテランの助産師さんに言われ、急激に不安になった。

双子の出産件数が少ないわけではない。むしろ地元のクリニックでは産めないと言われた近隣市町村の双子妊婦が流れ着く終点になっているような病院で、毎月3~5組くらいは双子が生まれているようだった。つまり10年で400人ほどの双子妊婦がその病院でお産をしてきたけれど、全員帝王切開ということ。それだけのレアケースになって、本当に大丈夫なのだろうか。ノウハウの蓄積がない病院で安全にお産ができるのか、正直心配だった。

また、経腟分娩を選んだ場合も「帝王切開はしない」と確定するわけではないのも悩ましかった。出産予定日に急に双子のうち1人でも逆子になれば帝王切開に変更になる。そして経腟で1人産んでからも、2人目が逆子になったりお産に時間がかかったりしたときには、緊急帝王切開になると言われていた。当日に急に手術になるのは心の準備が追い付かなそうだし、陣痛を経て1人産んでからさらに帝王切開になるフルコースも避けたい。それならいっそ、最初から帝王切開と決めて覚悟して予定日を迎えたほうがいいのではないかという気もした。

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幸いなことに、私は双子出産経験のある友人が2人いたので相談に乗ってもらえた。1人は高校時代から仲の良かった友人で、2022年に双子の女児を帝王切開で出産。「術後はたしかに痛かったけど、出産はあっというまだった」とのこと。
もう1人は夫の友人家族で、長男と同い年の双子男児ママ。初産でも経腟分娩を選択可能な病院で、経腟で出産。双子のうち2人目が逆子になってしまって、途中で緊急帝王切開の可能性も浮上したけれど、ベテラン医師が足から上手くひっぱりだしてくれたらしい。産後の回復が早くて、経腟分娩にして良かったと話していた。

ほかにも、妊婦でも参加可能な双子ママの集まりで先輩ママたちに話を聞いたり、SNSで出産レポを読み漁ったりした。そして結局、なんだかんだ言って、お産は「運」と、生まれてくる子次第なのかもなと感じた。
帝王切開のつもりでいたのに陣痛がきて間に合わず経腟で産んだという人もいれば、経腟分娩途中で緊急手術になった人もいた。単胎、多胎に関わらず、皆一応出産方法を選ぶ権利は得ているけれど、最終的にどうなるか決めることはできないのだ。迷って決めた選択肢でも、そちらに進めるという保証はない。

となれば、どちらでも、どうにかなる。そう思うしかないだな、と気づく。いろいろ悩んだ末に、当たり前のことがようやく腑に落ちた。どちらのパターンも想定しつつ、無事に子どもたちが産まれることを祈って、状況に合わせて頑張るのみ。

私は運と子どもたちに任せて、当日まで2人とも頭位なら経腟分娩、逆子になったら帝王切開ということに決めた。
「身を任せる」ということを、「選ぶ」ことにした。

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さてここからは、選択の結果と、その感想を書いていく。私がずっと後悔していることも、ここに残しておきたい。

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