私立恵比寿中学とは出会えたらラッキーなグループである。
──エビ中に出会えた私はLucky human.なのかもしれない。
数あるグループの中で、どうしてエビ中を選んだのか。そう問われると、正直それはもう偶然でしかなかったと思う。
私がエビ中に興味を持ったきっかけは、当時大好きだったグループが出演する回のMステにエビ中がたまたま出ていたからであった。お目当てのグループを見返すことが出来るように録画をしていたその日のMステ。まさか「ゲタ箱に靴がない!」と同年代の8人の女の子たちが無邪気に歌う姿を何度も見返すことになるとは思いもよらなかったものだ。
エビ中を好きになる前に夢中になったグループはいくつかある。ここであえて名前は上げないが、CDやDVDを買ったり、夜更かしをしてテレビやYouTubeを見たりとそれなりに熱中していたため、今でもその人たちの曲が流れれば口ずさむことができる。ただ、基本一人で楽しんでいたし、福岡に住んでいた中学生だったこともあって、ライブや直接会えるイベントなどは行くことが出来ず…というかそんなことがあることを知らないくらい、私にとっては画面上の存在だった。
そんな私が高校受験を終えて中学校を間もなく卒業するという時、Mステでエビ中に出会った。かわいらしい見た目をして、その日の披露曲である『放課後ゲタ箱ロッケンロールMX』を歌い叫ぶ姿を初めて見た人は、おそらく全員が検索バーに『私立恵比寿中学』と打ち込んだのではないだろうか。例に漏れず、私はすぐにエビ中について調べた。受験を終えてようやく買ってもらえたスマートフォンを駆使し、私服を身に纏うメンバーの画像を保存して必死に顔と名前を覚え、そのまま流れるように好きになった。そして、年末にはファンクラブに加入していたのだが、ここまで自分を動かした原動力として大きかったのはTwitterを始めたことによって、人生で初めて、自分と同じまたはそれ以上の熱をもってグループを応援している人たちと出会ったことだった。今まで、家で一人楽しむことしか知らなかった私が初めて出会ったヲタク仲間は通称“エビ中ファミリー”であり、楽しそうにライブやイベントに行く人がいることを、SNSを通じて初めて実感したのだ。そこから「みんなのように会いに行きたい!」と思うようになり、初めて会いに行けた時の感動は今も忘れられない。
アイドル戦国時代、なぜエビ中を選んだのか。そのアンサーは、「タイミングよく出会ったのがエビ中だったから」である。受験終了に伴い自分のスマホを手に入れ、SNSを使い始めた時。その時に出会ったのがエビ中で、本当に偶然でしかなかったと思う。私の場合は、エビ中の“何か”の部分に強烈に引かれて好きになったというわけではないため、この質問に答えるのは難しい。
では、質問を変えて。エビ中のどこが好きか、と問われたら。これはもう即答で饒舌にベラベラと喋ることが出来る。
エビ中はまず、楽曲がいい。最近エビ中を好きになった人は、楽曲を入口としている方も多いのかもしれない。Mrs. GREEN APPLE、Saucy Dog、マカロニえんぴつ、石崎ひゅーい…エビ中へ楽曲提供してくださった方々の名前を並べるだけで、豪華すぎて眩暈がする。また、曲のテーマも様々で、エビフライを揚げているかと思いきや、環境問題について歌い、元気しかない!と言いながら、同じライブの終盤では壮大な愛を星空の下で歌う。いやほんと、エビ中の曲って200曲あんねん。
そして、そんな多種多様な曲を歌いこなすパフォーマンス力がある。常日頃から歌やダンスに対して真剣に向き合い、ライブでは綺麗に整えられた前髪をあっという間に行方不明にさせ、口を大きく開けて全身全霊で観客を魅了する。口パクをしないだけで褒められる世界で、一度ライブを体感してしまえば、もう音源で満足出来る身体には戻れない。そんなパフォーマンスをする。
しかも、メンバー全員が、だ。これは贔屓目なしと思うが、エビ中メンバーはみんなかわいい。超かわいい。明らかに顔がいい。さすがスターダストプロモーション。誰がどう見ても顔の良い10人の女の子たちが、その顔をくしゃくしゃにして魂をぶつけてくる。心を動かされないわけがない。
そして、その中でも紹介したいメンバーがいる。安本彩花。かつてボーカロイドと呼ばれた彼女は、今ではエビ中の核だと言える。本当に色々あったグループで、自身も病に襲われ、挫けて逃げ出してしまってもおかしくない状況で、それでも「エビ中が好きだ」という気持ちで復帰し、今も笑顔でステージに立ち続けるエビ中の主人公。彩ちゃんはエビ中で幸せになってほしいと心から願っている。
そして、小林歌穂。私はこれからも誰かを推すことを糧に人生という荒波を超えていくと思うが、彼女と同じくらい夢中になれる推しに今後出会えるのだろうか、と考えてしまう。思わず息を呑むような美しく端正な顔立ちで、曲に合わせて様々な表情を魅せる姿はまさに女優だ。そんな女優についたキャッチフレーズは「縁側系アイドル」。老後を楽しみに生きているという彼女は、見た目に反してコミカルで親しみやすいところがあり、羽毛布団のようなあたたかい声で歌を語る。一生見ていても飽きる瞬間はないだろうと思える生粋のエンターテイナーだ。あと、なんかちょっと変な人でおもろい。かわいい。ほんと好き。
今あげた二人以外にも、支えたくなるエビ中の大黒柱や、Born to be idolな姫、圧倒的ビジュアルを持つエンジン、NGなし顔強グラビアギャル、マイペースな小久保、真面目でストイックなダイヤモンド、普段はネジが緩んでる次世代のエース、聡明で奇天烈な純情博多っ子。個性しかない生徒たちが1つの学校に集まり、私立恵比寿中学というグループとして爆発的なパフォーマンスを行う。
そして、「再びさいたまスーパーアリーナに立つ」という目標を掲げ、泥臭く、不器用ながらも色んな事にチャレンジしていく姿は、思わず応援したくなるのだ。
私は、友達やそれこそTwitterで知り合ったオタクに、別のアイドルグループを勧められることがしばしばある。また、今はSNSの発達もあり色々なグループを目にする機会が増えた。その度に歌が上手いグループ、面白くて個性的なグループ、可愛くてキラキラなグループなど、魅力的なグループはたくさんいることを知る。もしかすると、出会う順番が違えば他のグループを好きになっていたのかもしれない。
私が数多の中からエビ中を選んだのは偶然だった。
たまたま好きになったエビ中は、楽曲がバラエティーに富んでいた。
たまたま好きになったエビ中は、心臓を震わすライブパフォーマンスをしていた。
たまたま好きになったエビ中は、全員顔が良い個性豊かなおもしろ集団だった。
たまたま好きになったエビ中に、安本彩花という主人公がいた。
たまたま好きになったエビ中に、小林歌穂という推しがいた。
たまたま好きになったエビ中は、デビューから10年以上経った今もメラメラと燃え滾っていた。
私は本当に運がいい。ここまで夢中になれた初めてのグループが、たくさんの魅力に溢れたエビ中だった。アイドルというノンジャンルを存分に活かすエビ中を好きになった私は、他を求める余地がないくらいエビ中を応援出来ていることに満足している。そして、今でも十分満足しているというのに、エビ中はまだまだ貪欲に進化し続けているからすごい。直近の目標はさいたまスーパーアリーナだが、加入三年目の桜木心菜は「エビ中で東京ドーム公演をしたい!」そのように各メディアで語ってくれる。なんて頼もしいのだろう。なんてワクワクするのだろう。
“あぁ、だって今ここで出会えただけでラッキーなのにさ、それ以上がありそうなんだよ”
よく「〇〇を知らないなんて人生の半分損してる」という言葉を耳にすることがあるが、私はあの言葉は無責任だと思っている。たった一つのことを知らないだけで人生について勝手に決めつけられるのはおかしな話だ。だから私は、エビ中が大好きだけれども、エビ中を知らないからといって「損をしている」とは思わない。
ただ、知らないからといって損はしないが、エビ中というグループを知っていて応援が出来ていることはラッキーなことだと思う。そして、私みたいなラッキーな人がたくさん現れてほしいが故に「もっと売れてくれ」と願うのかもしれない。みんな、どうかエビ中に出会えてほしい。知れば絶対好きになるし、応援するのは本当に楽しいと責任をもって言える。エビ中とはそれほど素敵なグループであり、証人は私たちエビ中ファミリーだ。
この世界に1人でも多くのLucky human.が誕生しますように。
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2023.07.16.9:00 公開
「私立恵比寿中学とは〇〇である」を書き出しにファン13人が作る非公式文芸アンソロジー『私とエビ中』https://note.com/watashi_to_ebc/n/na8defe7aadc8
上記企画に参加させていただいた時に書いた文章です!今日がちょうど初めてエビ中のライブに行って7年らしい!と言うことで今更公開してみました😊
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