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コロコロ

第六回 笹井宏之賞に出した五十首連作です。

随分前(2023.09.15締切)に応募して、結構前に(2023.12.04結果発表)落選したんだけど、今更なんとなく勢いでネプリで公開したのでここにも出しておきます。
GWの暇な時間があれば、読んでみてください。

感想をもらえると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

正直に言うと、いまだに落選したことが悔しい。
結果が発表された『ねむらない樹 vol.11』は、発売後すぐに購入したのだけど、まだ開いてすらいない。
Twitterで交流している人たちが、個人賞や最終選考に残っているを知っているから、それを読みたくない。多分、嫉妬してしまうから。
短歌を始めて一年ちょっとだし、自分自身にそれほど期待をしていいないので、自分の作品が評価してもらえるとはあまり思っていないのだけど、今回の落選がはっきりと悔しい。それだけ気合い入れて作ったからだろう。
今、この連作を読み返してみると、ダメだなと思う部分も多数あるのだけど……。

まぁ、第七回の締切が七月十五日だから、そろそろ踏ん切りをつけて応募作品を作らないとなと思っている。まずは『ねむらない樹 vol.11』を読もうかな。

  1. 足元の石を蹴ったら転がって意味が出ちゃった見なきゃよかった

  2. ドロドロと蛹の中は蠢いてプリンが漏れた容器なわたし

  3. 蝉の抜け殻みっちりと付着するカプセルだらけのガチャガチャの森

  4. 午前二時バズるツイートあふれだす鏡地獄の中の男は

  5. 「おどりゃぁ」と産声あげたものばかり拾い集めていく物語

  6. ゆびさきを二本つきたて俺のカチどのパズルにも嵌まらぬピース

  7. おかえりと口では言ってみるけれど手垢まみれのいのちの出口

  8. 「見ているか?これをよんでるお前だよ。カッコをつけてばっかりだよな。」

  9. お風呂場で「とうさんおしっこ」偉そうに「いいよやれよ」とこっそり俺も

  10. (かなしみは)たとえば父に頼まれた連帯保証の真っ赤なしるし

  11. (にくしみは)たとえば腕を毒手にし勝ち残っても抱擁できず

  12. (よろこびは)たとえば悲しい事があり人に伝わる言葉にできた

  13. そういえば「しっこ」には『お』が付いてたな「とうさん?」いいか……、水に流そう……。

  14. まさかさぁまっさかさまにかみさまはあめのたまったさかさまのかさ

  15. なめられた感触だけが残ってるやわらかい爪ただただ見つめ

  16. 求めてる物が何かがわからずにドンキホーテで選んだ無闇

  17. 二軒目のナフコで計画的に買うバールのようなものを探して

  18. 「綺麗だね年のわりには」内科医が褒めてくれたわ内面だけを

  19. バービーを全部脱がして舐めていたなぜあんなことしてたのだろう

  20. 目が覚めてメガネを探す午前二時この辺に置いたはず はず はず はず 無い

  21. 中指でトリガーをひき吐き出した胃液まみれで出てきた胃液

  22. 「言っちゃうの?これをよんでるお前だよ。どうせなんにも分からないだろ。」

  23. 電線は夜とは同化せずにいて月に引かれたアンダーライン

  24. ただいまといってきますと神様(バカども)が手垢まみれで振り子を揺らす

  25. 空気→マイク→デバイス→見えない世界→デバイス→イヤホン→空気 ゆらぐ

  26. 秘密基地 廃車置き場はなくなってバックミラーに映れ!!ガラクタ

  27. 目を瞑り口閉じ潜ったバスタブでシャワーの音を遠くに聞いた

  28. この世には頭痛で溶けるモノもある悲しみ憎しみ喜ぶいとなみ

  29. 夏休み息子が泣いた 割り切れずたかしも残したりんごの行方

  30. この中に、八十億の人がいます。世界はいくつあるでしょうか?

  31. 神様と人間と蟻 認識が出来ないデカくなればなるほど

  32. 繋がりがなかった人を集めたら俺はみんなに神と呼ばれて

  33. かるがるしくおれを使うなよっていう神を人のようだとおもう蟻

  34. 幸運だ!!持病は糖尿しかないし死んだツレとかまだ一人だし

  35. 胸踊る初の個展がコロナ禍に ひとりで描いて飾ってひとり

  36. 線をひき輪郭を描き似顔絵が境界線を明確にした

  37. わたしにはかげをみつみるめがあって影だけを塗り光がうかぶ

  38. 似顔絵が描けちゃう人の似顔絵を描いてやったら下手でも笑顔

  39. 公転と同じ軌道の階段で少しだけでも月に近づく

  40. つたわった体温ですら感じたと考え文字になるつまらなさ

  41. 「聞いとけよ!これをよんでるお前だよ。カッコをつけて生きていこうや。」

  42. 出口からニュルっと入れて美しいひだの裏まで見るコンテスト

  43. 飲み込んで消化されてく文字たちが肉になったりクソになったり

  44. 咀嚼してひだに揉まれた幻想の臭うものだけいってらっしゃい

  45. 抜け殻を落としておけば抜け殻に入って遊ぶ人が生まれる

  46. 産声を集めたミックステープとか逆再生で聴けば夕暮れ

  47. ワンカップ大関のビン利用してみんなに配る手作りプリン

  48. いま一歩前へ進めと言われてる小便まみれの便器の前で

  49. ある日もしくはあくる日知らんぷりして歩くし、いつか軽くあくび。

  50. 足元の石に気づかず躓いてまた意味が出るこころころころ


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