記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

幾つかの物語の考察のまとめ,2024年5月5日


https://note.com/meta13c/n/n7575b6c0826b

この記事の注意点などを記しました。

ご指摘があれば、
@hg1543io5
のツイッターのアカウントでも、よろしくお願いします。
https://twitter.com/search?lang=ja&q=hg1543io5




注意

これらの物語の重要な展開を明かします。特に、PG12指定の映画『シン・仮面ライダー』にご注意ください。

小説

『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(web,書籍)

特撮映画

『シン・仮面ライダー』
『ゴジラ FINAL WARS』

テレビドラマ

『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』

実写映画

『SPEC 天』

漫画

『NARUTO』
『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』
『鉄腕アトム』
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』

個人の優秀さと権力は一致しない可能性

 アマゾンプライムで『ゴジラファイナルウォーズ』を改めて観て気付いたのは、「超能力で権力を手に入れる論理の限界」です。
 ドラマ『SPEC』などと比較します。

 『ゴジラファイナルウォーズ』では、地球の人間を家畜化しようとするX星人に、その地球人類とX星人の間に生まれたミュータントを含む人類が立ち向かいます。
 X星人は、自分と同じM塩基という物質により、ゴジラ以外のほとんどの怪獣やミュータントを操ります。
 しかし何故か主人公の尾崎だけは操られず、それは彼がミュータントの中でも何万分の一かの「カイザー」という強力な個体だったためでした。
 一方X星人側のカイザーである参謀は、人類を攻撃する怪獣を消す自作自演などで「平和的に」人類を管理しようとする司令官を射殺して統制官となり、怪獣を操り武力で制圧しようとしました。しかし、人類に滅ばれては困るにもかかわらず大規模な攻撃を仕掛け、なおかつ戦闘を明らかに楽しんでいました。
 ここで私が言いたいのは、そもそも戦闘能力の高い特異体質の「人」に「社会」の「権力」を得る資格が必ずしもあるのか、ということです。少年漫画にはよくあることですが、現実的にはそうでもありません。
 『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」でもそのようなところがありました。
 『ゴジラファイナルウォーズ』では、尾崎がカイザーでも、彼がミュータントの頂点に立とうという感情はないようでした。それは参謀との違いです。
 実際に、尾崎は人間の上司であるゴードンなどに、口答えすることはあっても下剋上を考えることはありませんでした。
 また、ミュータント部隊の教官の熊坂が鍵を握ります。彼は操られたミュータントを足止めして、尾崎達を逃がしました。しかし彼自身が操られていないということは、ミュータントならばもう1人のカイザー、あるいはミュータントでないことになります。
 前者ならば、優秀な特異体質を持つからこそ殿という地味で損な役回りをしなければならないということであり、後者ならば、ミュータントは通常の人類に教えられていることになります。
 ミュータントのカイザーでも、支配者になるのに向いていない可能性がどちらにしてもあるのです。
 尾崎も、仮に自分が支配、強制的に相手を言うなりに出来るとしても、それではかえって周りが指導や命令を「してくれない」と嫌がったかもしれません。
 つまり、優秀な人間だからこそ指導や命令をしてくれる教官や上司が必要だったり、優秀だからこそ地味な役回りが必要だったりするというのが、尾崎や熊坂の行動に現れているかもしれません。
 『SPEC』ドラマ版や『天』では、スペックという超能力を持つスペックホルダーが、政治家に「言うことを聞かなければ殺す」と脅して権力を手に入れようとしたところがあります。しかしそのような能力が、結局は社会を崩す犯罪者としての強さでしかなく、社会を作り変えたり管理したりするのには向いていない可能性が、『ゴジラファイナルウォーズ』から分かりそうです。
 『ゴジラファイナルウォーズ』と個人的に関連付けている『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(以下『ギフト無限ガチャ』)では、主人公のライトが率いる、ほとんどの敵より強い部下が社会を変革して行きますが、ライトと4人の部下が最高のレベル9999であるものの、その中で最強であるナズナは考えの足りずに、政治などの仕事は任せられていません。それがかえって現実的かもしれません。
 少年漫画『NARUTO』でも、忍者のうち、主人公のナルトこそ最終的に強い能力で火影という指導者になったものの、単独での戦闘能力は地味な方であるシカマルの出世が早かったのが、この問題を示しているかもしれません。

「自由」と「相手に損をさせる」も必ずしも一致しない

 また、『ゴジラファイナルウォーズ』では、モスラと共にいる小美人が、尾崎に「自分がどんな存在かは自分で決める」と話しています。
 X星人参謀が「人類は家畜」と言いつつ、自分と同じ「カイザー」の尾崎に「人類の味方をするのは愚か」と表現して、支配者になるのを促していたとも取れるのですが、尾崎は「自分がどんな存在かは自分で決める。俺達は家畜じゃない。人間だ」と返しました。
 また、参謀の操るモンスターXと、地球のゴジラの戦いが、参謀と尾崎の戦いに重ね合わされるところがあります。
 その意味では、ゴジラの行動にも、「自分がどんな存在かは自分で決める」と逆説的に重なるところがあります。
 尾崎は一見X星人の支配に逆らう、反抗的な「自由」を求めたようですが、戦いが終わっても、ゴードンなどの部下をやめるつもりはなさそうでした。「誰かの指導や命令の下のもとに入り続けることを自分で決めた」とも考えられます。しかし、それは尾崎自身のためでもあったのでしょう。
 ゴジラは人間を憎んでいるらしく、今回人間の兵器でカイザーギドラから助けられても、カイザーギドラのあとはその兵器ごと人間を攻撃しようとしました。
 その場にいた、ゴジラの同族のミニラを連れて来た民間人の孫と祖父が、最後に鍵を握ります。
 祖父はゴジラの怒りに一定の事情を察しながらも、「もう許してやれよ」という言葉に従わないゴジラを撃とうとしましたが、孫が祖父を、ミニラがゴジラをそれぞれ止めようとしました。
 そうしてゴジラも人類も戦いをやめたのですが、それは「自分がどんな存在かは自分で決める」を逆説的に使ったとも言えます。
 ゴジラをかばう人間がいるのも、人間をかばう怪獣がいるのも、生まれにかかわらず「助けたい相手を助ける自由」であり、同時にただ止めるだけでどちらも傷付けない選択は、「自分の自由を守ることは、相手に損をさせるとは限らない」とも言えます。
 「相手を傷付けない自由」もあることを、最後に『ゴジラファイナルウォーズ』が示したのかもしれません。
 「自由」とは自分が得をすることかもしれませんが、その代わりに周りが損をするとは限らない、ゼロサムとは限らないことを示しているのかもしれません。

『ギフト無限ガチャ』の搾取と公務員論

 『ギフト無限ガチャ』漫画版のおまけの小説で、ライトの妹のユメがヒューマン王国の王女のメイド見習いとして雇われているとき、その待遇が「悪い」というのを、ライトの部下は「搾取」と表現していました。ライトの故郷の貧農の基準では良い方だったが今の暮らしよりは遥かに悪いというのは考察の余地がありますが、問題にしたいのは「搾取」です。
 一応王女のメイドなので、現代で言えば公務員で、いわゆるマルクス経済学の「搾取」とは異なるはずです。そもそもこの時代の財政は、現代日本について積極財政の主張での「税は財源ではない」という概念と異なり、国民から収奪した税金で成り立つはずです。つまり、いかに公務員の中で低い立場であろうと、「収奪」した税金によって成り立ち、「搾取」される側かはかなり難しくなります。
 『いま生きる「資本論」』によると、マルクス経済学の『資本論』には税金などの話がなく、日本共産党の階級論は、公務員は平だけが搾取されるプロレタリアート、それより上だけが搾取するブルジョワだそうですが、佐藤優さんは無理があると表現しています。
 公務員と搾取の問題は難しそうです。

『ギフト無限ガチャ』のヒューマンの代わりの労働力

 『ギフト無限ガチャ』では、種族の中でヒューマンが弱いからと奴隷にされるなどの苦しい扱いをされるのを、例外的に強いヒューマンのライト達が変革しようとします。
 しかし、ライト達はモンスターを狩ることへの罪悪感はヒューマンが奴隷にされるのと別に考えているらしく、テイマーが仲間にするときは殺さないものの、強くなるためにダンジョンに入り殺すことの疑問は特にありません。
 そのため、モンスターのうちゴーレムを不眠不休で働かせることは、いずれSFのロボットのように、ゴーレムがヒューマンの代わりになる、問題の転嫁になる可能性を考えていました。
 ヒューマンのうち、例外的にライトが「世話になった」村を助けるために、ライト達の中では弱いレベル3000のゴーレムを、その村の護衛に付けたのは、レベルが低くとも不眠不休で働けるためですが、それは結局、便利な労働力のためには人権のない存在を求めるとも考えられます。

 『ロボットの脅威』という書籍では、労働者が全てロボットに置き換われば、かえって消費しなくなり、市場経済が回らなくなるとされています。
 その意味で、社会的弱者の消費も経済からは重要なのでしょう。
 ものを所有しないゴーレムが働くばかりでは全体が良くなるとは限らないことが、いずれ問題になるかもしれません。

 実際、ライト達はライトの「無限ガチャ」で物資を供給して、それ以外の食事のほとんどを不味いとみなしていますが、タコの干物などの例外的に好むものもあり、それが「消費の主観」として重要になるかもしれません。

『シン・仮面ライダー』漫画版

 『シン・仮面ライダー』漫画版で、イチローが一文字隼人の両親を殺害していたと判明しました。
 これが本編にどう繋がるか分かりませんが、「人を理解したい」というハビタット計画において、一文字がどうみなしていたかも重要かもしれません。


参考にした物語


小説

明鏡シスイ,『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,小説家になろう(掲載サイト)
https://ncode.syosetu.com/n9584gd/
2024年5月5日閲覧

明鏡シスイ,tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,ホビージャパン

特撮映画

石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映
北村龍平(監督),三村渉ほか(脚本),2004,『ゴジラ FINAL WARS』,東宝(配給)

テレビドラマ

植田博樹ほか(プロデュース),西荻弓絵(脚本),2010,『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』,TBS系列(放映局)

実写映画

堤幸彦(監督),西荻弓絵(脚本),2012,『SPEC 天』,東宝

漫画

岸本斉史,1999-2015,『NARUTO』,集英社(出版社)
山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社
手塚治虫,2003,『鉄腕アトム』,小学館
作画/大前貴史,原作/明鏡シスイ,キャラクター原案/tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,講談社

参考文献

佐藤優,2014,『いま生きる「資本論」』,新潮社
マーティン・フォード/著,松本剛史/訳,2015,『ロボットの脅威』,日本経済新聞社


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?