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WONK最後のライブ

妹の机周りの荷物の整理をしていると、2022年と2023年のスケジュール帳が出てきました。

2022年のスケジュール帳は、4月くらいまでは数カ所に予定を書いていましたが、5月以降はほとんど白紙に違い状態でした。
多分、4月くらいから、体調が急激に悪くなり始めた頃かと思われます。

それからは手帳は使わずに、リビングに飾ってある母が使っているカレンダーに、母と一緒に簡単に予定を書き込んでいたようでした。

なのに、机に置かれた荷物の傍らから出てきたのは、真新しい2023年のスケジュール帳。

2022年の秋頃に買っていたのでしょうか。
それとも仲の良いお友達にいただいたのかな?

新しいスケジュール帳では、前年度分のページになる2022年の11月からの予定をいくつか書き込んでいて、12月の自分の誕生日や、ライブ、観劇の予定も書き込んでいました。

まさかその時には、12月の自分の誕生日を迎えられないことになるとは、思いもしていなかったんだろうと思います…。

WONKが大好きな妹でしたが、最後に見たLIVEは、10月の大阪での公演だったようです。
亡くなった後荷物の中から、お友達に取ってもらったチケットの半券が出てきました。

実は12月の東京でのLIVEのチケットも買っていて、本当なら最後にお友達と一緒に見に行くつもりでした。

人生最後のLIVEチケット。

妹はどんな気持ちで予約を取ったのだろう。

それを思うと胸が締めつけられそうになります。
予約したチケットが取れた10月頃は、既に体調はかなり悪くなっていました。

しかし、一緒にLIVEに行く約束をしていたお友達が11月に入ってから、遠方から自宅までお見舞いに来てくださり「車椅子でも、御神輿ででも、二人で担いで連れて行くからね!」とまで言ってくださっていました。

それは本当に心強い励ましで、短い余命を宣告された妹にとって、かけがえのない唯一の生きる希望となっていたことと思います。
しかし残念ながら、その願いは叶いませんでした。

ここ1年ほど前からは、遠い会場でのLIVEの際には、会場近くにホテルも併せて取り、LIVEの前後にはホテルで休養を取って、移動で消耗してしまった体力を回復させてから、LIVE会場に行っていました。

そしてようやく、なんとか翌日に大阪の自宅まで帰って来れている、というような状態でした。

12月のLIVEの予約の際にも、一緒に東京のホテルも予約していました。亡くなった後にお友達から「ホテルもキャンセルしておかないといけないかも!」と教えていただきました。

最後までホテルをキャンセルしていなかった妹。本当に最期に、何としてでも東京のLIVEには行きたかったんだと思います。

11月2日に主治医から余命宣告を受けた妹。

その日の夜に、WONKのLIVE配信があったようで、配信チケットを買っていて、母が寝た後(高齢者は早く寝ますので)一人で部屋で見ていたようです。

しかし、亡くなった後から見つけたスマホのメモには「最後のLIVEやのに、涙、涙で、ちゃんと見れなかったわ」と書かれていました。
妹は12月のLIVEには、もう行けないことはわかっていたのです。
それが妹が見た、WONKの最後のLIVEとなってしまいました。

妹が亡くなった後、取っていた12月のLIVEには、チケットが取れていなかったWONK仲間にお友達が連絡を取ってくださり、妹の代わりに行ってくださいました。
LIVE後に「彼女もきっと聴きに来ているはず、と一緒に行ってるつもりで聴いてきました」と連絡をくださいました。

一昨年の12月の東京のLIVEには、たくさんのWONK仲間と一緒に行ったようで、その時の写真をお友達が送ってくださいました。
みんなで楽しそうに映る写真は、本当に素敵な笑顔でいっぱいでした。
今年も妹と会えると思っていたお友達からの連絡が、TwitterのDMに数件入っておりました。

葬儀後、バタバタとしているうちに年が開け、1月に入った頃に、WONK仲間のお友達数名から、連絡をいただきました。

WONKのファン向けのSNSの中で、WONKメンバーの方が、妹に向けたメッセージを投稿した文中に書いてくださっているとのことでした。

妹のスマホアプリから、見る事が出来ました。

【古くから応援してくれていたリスナーの方の訃報をマネージャーさんから聞いていました、ご冥福をお祈りします】とのメッセージでした。

WONK仲間のお友達さんからお聞きしましたが、アーティストが一ファンに対して個人的なメッセージを記述する事は、本来はなかなか難しい事ではないかと。
それをお聞きしてなおさら、妹の思いが、WONKのメンバーの方々にも届いていたと。短い文章ではありますが、本当に嬉しかったです。妹も喜んでいる事と思います。

2年前の日付で残されていた、妹のスマホ内のメモを印刷して、葬儀の際に会場に掲示させていただきました。通夜と葬儀の際には、ずっとWONKの曲をかけさせていただきました。

余命を宣告されたその2週間後には、既に意識混濁を起こしていて、起きている事さえ出来なくなっておりましたが、そんな中でも妹は、最後までWONKの曲を胸に、頑張って過ごしておりました。

WONKのメンバーの皆様
LIVEでお友達になってくださった方々
SNSで仲良くしていただいた方々

皆様、本当に本当に、ありがとうございました。

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