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皆様にお願いしたいこと

妹が常々言っていた、皆さんへのお願いで、お伝えしたいことがあります。

妹が皆さんにお願いしたいことは
【がん検診を受けてください】
です。

妹は経過観察期間を含めて、18年もの間、がん治療を行なってきました。
最初のしこりを見つけたのは29歳の時。当時勤めていた会社の健診で、乳がん検診を受けたことがきっかけでした。

がんが見つかったこと、がんにかかってしまったことは不幸でしたが、がんを早くに見つけられたことは、今から振り返れば、不幸中の幸いであったと言えるのではないか?と考えます。

姉である私は、某自治体の保健センターで事務アルバイトとして働いています。
住民さんに対し、がん検診や特定健診(血液検査など)の受診を勧めたり、検診結果などのデータ登録をする業務に携わっています。

通常、市町村が実施する費用助成が受けられるがん検診は、40歳以上となっています。(ただし、子宮頚がん検診については20歳以上)

がん検診は保険の種別に関わらず(社保でも職場等で受ける機会がない方については受けることができる)、胃がん・肺がん・大腸がんについては年に1回、乳がん•子宮頚がんについては2年に1回、無料または一部自己負担で受けることが出来ます。

妹が当時勤めていた会社は、女性用服飾関連の会社だったこともあり、従業員の健診に乳がん検診を付けてくれていたと聞いています。

その会社で、乳がん検診の受診があったからこそ、早期発見することが出来ました。
もしその職場で乳がん検診を受けていなければ、もっと遅れての発見となった可能性があります。

当時、健診にオプションとなる乳がん検診をつけている会社は、なかなか少なかったように思われます。
女性に特化した商品を扱う会社であったからこそ乳がん検診をつけてくれていたのでは?と思われます。

職場で検診があったおかげで、20代という早い段階から経過観察が出来た。それもあり、31歳の早い段階から治療を開始することが出来たからこそ、18年もの月日を生きることが出来たのでは?と。

妹の人生を振り返ると、そのように思うのです。

もし、当時の職場で乳がん検診を受ける機会が無かったら、妹の乳がん発見は遅れていたかもしれません。

発見が遅れていたならば、妹とのお別れは、もっともっと早かったかもしれません。

妹が治療を受けていたのは、大阪市内の大きな病院で、最初の手術から、最後の治療を受けるまでの16年余りをその病院で受けていました。

その病院では、同じ病と闘う方同志を繋ぐ患者会などにも参加し、情報交換や悩みの相談などの交流を持ち、またSNSなどを通じても、同じ病の方と交流していたようです。

しかし、罹患の発見が遅かった方や、進行の早いタイプの乳がんであった方々の中には、妹より早くに亡くなられる方がおられました。

自分は早くに発見できたから、長く生きることが出来ている。
若くして見つかったことは辛いけど、幸運だった。
亡くなられた方の分まで生きなくては。
生きたくても生きられなかった人に対して、申し訳ない。
そう言いながら泣き崩れる日が、これまでに何度もありました。

私は職場で、がんの集団検診の受付や勧奨業務を行なっており、予約を行ったり、未受診の方に受診を勧めたりしています。
毎年夏には大規模な集団住民健診(600人規模)を行うのですが、その際には、がん検診で再検査が必要となられる方がおられます。
その中には少数ではありますが、がんが見つかる方が実際におられます。

受診勧奨の電話をかけた時に、
「実は昨年の健診でがんが見つかり、手術したのよ。早く見つかって本当に助かりました、ありがとう」
と、この数年間の中で言われたことが幾度もあります。
そんな時は本当に早く見つかって良かったと、心から思うのです。

やはり、もしもの罹患の際には、早期発見が一番大事なことなのです。

大切な人との暮らしを一日でも長く。
やりたいことを一つでも多くやりとげる。
かけがえのない時間を少しでも多く。

そのために、もしもの時の早期発見するために。
妹と私と、そして母からのお願いです。

40歳になったら、仕事や育児が忙しくてもぜひ、市町村のがん検診を受けてください。
助成で無料や一部負担で受けられる範囲でいい。年に1回受けられるものは、出来るだけ受けて欲しいです。

乳がん検診、子宮頚がん検診の助成は2年に1回になりますが、その時に自宅で行う自己診断の方法などについての資料をお渡ししています。
次に受けるまでの間は、自己診断を継続し、早期発見に繋げて欲しいのです。

乳がん子宮頚がん検診は2年に1回の受診助成ですが、もし対象年に受けることが出来なかった場合には、経過措置として、翌年に去年の分を受けることができます。

近年は昔とは違う、かなり効果のある抗がん剤が多く出てきました。
また分子標的薬という、がん細胞だけに効かせて、良い細胞にはダメージを少なく済ませることが出来るお薬も出てきました。
そのため、乳がんにおいては、5年生存率も10年生存率も高くなりました。

しかし、乳がんは小さなしこりの時期からも、全身にがん細胞が転移しやすい特性を持っていると言われており、妹も良性か悪性か確定しづらい時期に手術を行ったのですが、実際に手術をしてみると腋下のリンパ節に転移があり、診断は一気にステージIIとなりました。

色々なケースの方がおられますが、妹のように早期発見したにも関わらず「全身転移の可能性があるがん」として、治療を開始しなければならない場合もあるのです。

だからこそ、何度もお願いします。
がん検診を受けてください。

自分だけのためではないのです。
家族のために。
大切な人のために。

そして、ご自身が受けられた後には、周りの方へも受診を勧めていただきたいのです。
家族、同僚、お友達。
大切な人に。

私も母も妹が罹患してからは必ず職場の健診と住民検診のがん検診は受けるようにしています。
それが妹との約束でした。

どうか妹からのお願いを聞いてあげて下さい。
そして大切な人にもお伝え下さい。
自治体のがん検診助成については、お住まいの市町村の保険センターへお問い合わせくださいね。

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