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リアリティ・トランサーフィンの考察⑪『引き寄せの法則とトランサーフィン』

予定では「誘導転移と振り子のスパイラル」という内容について書くつもりでしたが、そのための前置きとして書きはじめたものが結構なボリュームになってしまったので、誘導転移と振り子のスパイラルについては次の記事で書くことにして、今回は余談というか閑話休題的なお話になります。

願望実現法のひとつとみなされていたトランサーフィンですが、前にも書いたとおり、わたしはトランサーフィンのことを単なる願望実現法であるとは思っていません。そこで、典型的な願望実現法といっても差し支えないであろう「引き寄せの法則」とトランサーフィンを比較考察してみたいと思います。

人の思考が発しているエネルギーは、そのエネルギーの周波数と共振する人生ラインへとその人を導いていくとトランサーフィンでは考えています。

いっぽう、「引き寄せの法則」では、自分が発しているのとおなじ周波数のものごとを引き寄せると説明していますね。

引き寄せの法則の考え方は基本的に世界(現実)はひとつの固定されたものであり、そのひとつの世界の中にさまざまな周波数のものが混在しているイメージです。そして当然ですが自分はその世界のなかで動いてはおらず、発している周波数に応じたものが自分に向かって集まってくると説明します。

これに対してトランサーフィンは、世界(現実)は無限の可変性と可能性をもっていて、周波数に応じた無数のセクター(できごとや状況の単位)と、それを横断していく人生ラインで構成されていると考えます。誰もが自分の思考エネルギーの周波数と共振する人生ライン上のどこかのセクターに位置しているわけですが、その人が発する思考エネルギーの周波数が変わると、その変わった周波数と共振する別の人生ラインへと転移します。

先にお断りしておくと、これはどちらかが正しくて、どちらかが間違っている、というような話ではありません。どちらも現実のある面を説明しようと試みている仮説的なモデルでしかありませんから、ほんとうに世界がそれらが言うような法則性を備えているかどうかは、すくなくとも、現時点の科学では証明することができません

しかしながら、あくまでもモデルだとしたうえで、どちらがより実用的かということでいえば、それはトランサーフィンであるとわたしは思います。

引き寄せの法則の問題点(限界点)についてはBLOGで以前、考察していますが、ここで簡潔に述べるなら、それは引き寄せの法則は願望そのものにフォーカスしすぎていて、その願望がどんな意識レベルから生まれてきているかについては考慮されていないというところにあります。

願望は誰にでもありますが、低い意識レベル(200以下)ではそれはただの欲望であることが多く、満たしても満たしても尽きることがありません。また、そのような欲望を満たすためなら他者を犠牲にしても構わないという自己中心的な態度を伴うことも、決して珍しくはありません。たしかにその意識レベルの人生には物質的、肉体的な快楽が多く存在している(逆にいえばそれ以上の喜びは少ない)ため、このレベルでは欲しい物が手に入るということはよく起こります。でも、それでその人が幸せになっていくかというと、事実はむしろその逆になることが多いでしょう。

意識レベルが上昇するにつれ、願望はより統合的になっていきます。願望が統合的になっていくということの意味は、自分ひとりの喜びのためではなく、より多くの人々にとっての喜びや、社会への貢献となるようなことが、その人の願いとなっていくということです。

独りよがりの肉体的な欲望を満たしたいという願望と、たとえばですが、世界の平和を願うという願望を、おなじテーブルに乗せることは奇妙なことです。なぜ奇妙にみえるかというと、それは人の意識レベルそのものを考慮せずに、願望だけをとりだして比較しているからなんですね。

引き寄せの法則では、このように様々な意識レベルから生まれてくる願望を一緒くたに扱って、どんな願望もそれを強くイメージすることができれば、その結果を引き寄せることができると説いています。そういうことが決して起こらないというつもりはありませんが、実際のところ、起こったり起こらなかったりというのが真相でしょう。起こった場合には、引き寄せの法則を使ったからそれが起きたと思うわけですが、それはただのストーリーでしかありません。そして、起こらなかったときは、まあそういうこともあるよねって、スルーしてしまいます。

しかし、意識レベルの観点でいえば、肉体的な欲望のレベルにいる人はその欲望を実際に満たせることもあれば満たせないこともありますが、いずれにしても肉体的な欲望に取り憑かれた人生を生きていることは間違いないといえます。世界の平和を願う人は、その人ひとりの力で世界平和を実現できるわけがないとしても、同じように世界の平和を願う他の人びとと共振・共感し、その願いを生み出している高い意識レベルの現実を生きているということも、疑いようがありません。

どんな人も、自分の意識レベルに応じた現実を個々に創造しています。この個々の現実をわたしは My 宇宙と呼んでいます。それぞれの My 宇宙はほかの人の My 宇宙と共振・共鳴してくっついたり重なり合ったりして、そこに  Our 宇宙(共有される現実)ができます。

意識レベルが変われば、My 宇宙の中身がまるっと変わります。すると当然ながら、その人の人生そのものも、まるっと変わります。変わったことによって、いままで Our 宇宙を共有していた人と共振・共鳴できなくなることもありますが、代わりにまた新たな人と共振・共鳴できるかもしれません。これもモデルにすぎませんが、人生のすべてのできごとに意識レベルが反映されているということはお分かりいただけるかと思います。

つまり、そもそもでいえば、あるなにかがあって、それを望むということと、それが実現されるということと、あるいはそれが実現されない、ということはエネルギーの周波数的にはどれもおなじで、すべてはその意識レベルのことだというわけです。引き寄せの法則では、実現されることと実現されないことはまったく別の状態(異なる周波数)であるということを前提としていますが、疑うべきなのはここです。

そして、多くの人が、この前提に立ってしまっています。それゆえ、引き寄せの法則に惹かれる人もまた多いです。ですが、意識レベルの観点に立つなら、そもそも意識レベルが違えばその願望は生まれてこない、ということが理解されます。それが実現されるにせよ、されないにせよ、その意識レベルで起きていることです。

トランサーフィンは悪い人生ラインから望ましい人生ラインへと移動することを主眼にしていますが、その前に、悪い人生ラインに存在している破壊的振り子(煩悩と言ってもよいです)との関わりを断ち、過剰ポテンシャル(これも実は煩悩です)から解放される必要があると教えてくれています。これはつまり、意識レベルを高めるためには、低い意識レベルの領域に存在しているアトラクターフィールドの影響から脱する必要があることを意味しています。すなわち、トランサーフィンは意識レベルを考慮しているモデルであるということができるでしょう。

ちなみに、わたしがこれまで読んだことのある引き寄せの法則では「欲しい欲しい」と思っているのは「持っていない」と言っているのと同じだから、そのように願うのではなく、「それをもう手に入れている」と思い、そのときの感情や感覚にフォーカスしろとも言っています。たしかに、それを持っている人の周波数を発することができれば、それを持っているという現実を引き寄せられそうな気はしますね。でも、これは嘘です。なぜなら、どうやったところでそんな風に自分を偽ることはできないからです。

もちろん、引き寄せの法則の最新版とでもいうべき内容をわたしは知りません(わたしが主に読んでいたのはエイブラハムのシリーズです)ので、もしかしたらわたしが指摘したようなことはすでに解決(改善? 克服?)されているのかもしれません。ただ、そうであるにしても、この手のものをこれから読まれる方は、上記のようなことを念頭に、注意深く読まれることをおすすめします。

また、トランサーフィンが万能であるとも、最良であるとも、わたしは思っていません。もっとも、他のなんであれ、万能で最良の人生ツールなどというものはこの世界には用意されていません。それがもしあったら、この世界にはチート技が存在しているということになります。でも、本当はひとつだけ、あてにできるものはあります。それは、あなたの内なる声です。その内なる声が、あなたをこの記事へと誘ったのであれば、トランサーフィンは学んでおけということかもしれませんね。

なお、引き寄せの法則についてのわたしの考えをまとめたBLOGの記事はこちらです。5年前のものなので、さきほど書いたこととまったく同じ趣旨ではないかもしれませんが、参考としてお読みください。

また、その記事の内容を踏まえて書いたこちらの記事では、パラレル・リアリティ(並行現実)という概念について紹介しています。さきほども「引き寄せの法則は意識レベルを考慮していない」と書きましたが、それはつまり、引き寄せの法則には現実を根本的に変える力はないということです。それに対して、では現実を変える、現実が変わるというのは、どういうことなのか? ということを説明したのがこのパラレル・リアリティの記事です。


これらの記事を読んでいただいたうえで、もう一度トランサーフィンに戻ってきてもらえれば、トランサーフィンはパラレル・リアリティにおいて機能するモデルであることがお分かりになるかと思います。実際、バリアント・モデルとはパラレル・リアリティそのものです。わたし自身も、このパラレル・リアリティの記事を書いた時点では、その内容とトランサーフィンの関連性に思い至ってはいなかったのですが、それがこうして繋がってくるというのはなんとも不思議で面白いものだと、わがことながら思ってしまいました。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。読んでくださってありがとうございました。

記事中で出てくる「意識レベル」という概念について詳しく知りたい方は、ホーキンズ博士のこちらの著作を読んでみてください。ものすごくお勧めです。


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